ストーリー相撲

現役引退の臥牙丸「日本は第2のふるさと」

2020-11-19 午後 02:50

「相撲、日本語、人生まで学んで楽しい15年間だった」

 

ジョージア出身、33歳の元小結 臥牙丸が土俵生活に別れを告げた。

 

平成17年、18歳で木瀬部屋に入門した臥牙丸。柔道や、アマチュア相撲の経験はあったものの、日本語はひと言も話せなかった。同じジョージア出身の栃ノ心とは所属部屋も近く、公園で落ち合っては母国語で励まし合うのが、心の支えだった。

 

 

体重200キロ近い体格を生かした突き押しで、番付を上げ、入門から4年で関取に。

 

 

平成24年春場所では最高位の小結に昇進した。

 

 

引退の記者会見で思い出の1つとして述べたのが、平成27年夏場所の横綱 日馬富士戦。得意の突き押しで一気に横綱を土俵の外に押し出し、自身唯一の金星をあげた一番だ。

 

2年前に亡くなった母国ジョージアに暮らす母親が最も喜んでくれたからだと言う。

 

「長く病気に苦しんだ、お母さんが、相撲が生きがいになると言っていて、自分の励みにもなっていた」

 

顔を真っ赤に紅潮させ、大きな体で力強い相撲を見せる土俵上の姿とは対象的に土俵外では、優しい愛きょうのある人だった。

 

 

取組後の支度部屋では「見過ぎちゃったな」「立ち合いは良かったけど」と質問の前から取り口を話し始め、「まあ終わってから言っても、しかたないね」と1人で結論を出して笑っていた。

 

木瀬部屋にカメラマンとともに取材に行くと「映像を撮れないから、こっちには立たないで」とわざわざ土俵周りの力士を遠ざけてくれた。しかし、その5分後には、みずから忘れ、カメラに背を向けて四股に集中。大きな体が邪魔をして稽古の撮影が進まなかったのも笑い話のひとつとして思い出される。

 

 

引退会見で師匠の木瀬親方が「自分がいない時も若い力士の面倒をよく見てくれた」とねぎらったように、後輩からも慕われる頼りになる兄弟子だった。

 

両ひざのけがが治らず6場所連続で休場し、引退を決断。この1年は特に苦しんだが、リモートでの会見の最後は、パソコン画面に向かって愛きょうのある笑顔を見せてくれた。

 

「これからも勉強して、まじめに一生懸命、頑張っていきたい。日本は第2のふるさと、皆さんのそばにいたい」

 

今後も日本に残って仕事を考えるという臥牙丸。どんな人生を選んでも、その人柄で、きっとやっていけるだろう。

この記事を書いた人

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鎌田 崇央 記者

平成14年NHK入局

さいたま局を経て、スポーツ部に。プロ野球、水泳などを担当し、格闘技担当は通算5年目

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