特集 カップル結成のきっかけは1通のメール 村元哉中・髙橋大輔組インタビュー

11月27日から行われるNHK杯フィギュア。最大の注目は何と言っても2010年のバンクーバーオリンピック男子シングルで銅メダルを獲得した髙橋大輔選手のアイスダンス挑戦です。村元哉中(かな)選手と組む公式戦初挑戦となります。
村元哉中選手からの1通のメールが、髙橋選手の心を動かした
誰もが驚いた髙橋選手のアイスダンス挑戦。そのきっかけは、去年、村元選手が髙橋選手に送った1通のメールだったといいます。
「アイスダンスに興味があると聞いているけど、実際どう?」
髙橋選手はこのメールを受けて挑戦を真剣に考えるようになったと言います。そして悩んだ末に、新たな世界への挑戦を選択することにしました。「自分の価値観を広げたい」という思いからでした。
自分のステップは“ひよっこ” アイスダンスの方がいっそう難しい!
男子シングルでは日本選手として初めてオリンピックでメダルを獲得するなど輝かしい実績を残してきた髙橋選手。しかし、アイスダンスへの挑戦は戸惑いの連続でした。
「滑ることが一緒というだけで全くもう違うジャンル。いままでの当たり前は通用しない」
世界最高レベルと称された得意のステップさえも…
「別物です(笑)アイスダンスの方が、よりいっそう厳しい。エッジワークをどれだけ正確にディープにやるかっていうのがアイスダンスの勝負のポイント。ステップに関しては、全然、ひよっこっていう感じ」
髙橋選手の表現力に大きな刺激を受ける村元選手
2020 フィギュア アイスエクスプロージョン
一方、アイスダンスでは先輩になる村元選手は髙橋選手に大きな刺激を受けています。
「いろんな世界を経験してきて、いまの大ちゃんがいる。シングルでやってきた表現とか音楽のとらえ方とかは私がすごく求めてきたこと。大ちゃんが滑っている姿を見てこっちももっとスピード出してパワフルに滑らないと、と思ったり、少しなんか今までとは違う考え方で練習に挑めています」
リズムダンスとフリーダンスでがらりと雰囲気が変わるNHK杯のプログラム
NHK杯で初披露となる今シーズンのプログラム。前半のリズムダンスはポップな映画の曲「The Mask」にあわせた演技で、村元選手はその冒頭に注目して欲しいと語ります。
「曲の出だしにある大ちゃんのコミカルっぽい動きとかがすごい見どころ。お客さんの皆さんも巻き込んで盛り上げていきたい」
一方で、後半のフリーダンスは雰囲気ががらりとかわるクラシックバレエの「La Bayadere」髙橋選手は2人の特徴が出せるプログラムだと、自信を持っています。
「ゆっくりなところから、どんどん早くなって最後は壮大に。軽やかに、かつ、ダイナミックに動ける部分を思い切りできたら2人にしか出せない表現が出せると思う」
アイスダンスの大きな見どころでもある、男性が女性を持ち上げる大技の“リフト”。村元・髙橋組はすでに最高難度に挑戦しているといいます。
シングルとの大きな違いの1つでもあるリフト
“もっと2人の世界を見てみたい”と思ってほしい
いよいよ迎えるNHK杯。アイスダンスには全日本選手権2連覇中の小松原美里・ティム コレト組も出場するため、このカップルとの共演も注目です。
あらためて2人にNHK杯への意気込みを聞きました。
村元選手
「NHK杯は皆さんの前で初披露となるのですごい楽しみです。最終的な目標としては北京オリンピックを頭の隅に入れてます。ステップバイステップという感じで、積み重ねていったら結果は出ると信じています」
髙橋選手
「シングルからアイスダンスに(転向することに)なめんなよと思う人もいらっしゃるかもしれないんですけど、大輔アイスダンスいいじゃん、ハマるじゃんと思ってもらえるようにしたいです。うまくいけば絶対的に良いものができる。今後を期待できるような演技をNHK杯でできればベスト。“もっと2人の世界を見てみたい”とか思って頂いたら勝ちかな」