ストーリー野球

広島・會澤翼選手「鼻息荒く狙いたい」

2020-02-27 午前 09:00

プロ野球の担当記者が、東京オリンピックの代表候補に注目するシリーズ。8回目は広島のキャッチャー會澤翼選手です。昨季、念願の規定打席に到達し、得点圏打率セ・リーグトップとめっぽう勝負強い広島の正捕手。目指すはリーグ優勝奪還。そして「鼻息荒く狙いたい」という東京オリンピック出場です。すでに頭の中には金メダルへの戦略も。

14年目の早出練習


「ウラァー!もっと来い!」「僕は元気です!」

 

午前9時、広島のキャンプ地・宮崎県日南市の天福球場のサブグラウンドから聞こえてくる叫び声。若手がコーチに鍛えられているんだろうな・・・と見に行くと、そこにいたのはプロ14年目を迎えた會澤選手(31)。右に左に大きく揺さぶられるノックをおよそ1時間。30歳を超えた選手で早出練習に参加したのは會澤選手のみ。2年間務めた選手会長から離れ、自身の練習に集中して取り組む姿が印象的な今年のキャンプです。

 

會澤翼選手

へとへとです。早出練習はみんな元気もあって楽しいですね。今は追い込むところは追い込んでいく段階だと思うので、いい形でシーズンに入っていけるよう、頭に置いてやっています。

キャリアハイも残る悔しさ

 

昨季は正捕手として自己最多の126試合に出場し、念願の規定打席にも初めて到達。ホームランは2年連続で2桁に乗せ、得点圏打率はセ・リーグトップと、勝負強い強打のキャッチャーとして攻守でチームを引っ張りました。その一方でチームは、リーグ4連覇を逃し4位。何よりチームを優先する會澤選手にとっては、悔しさだけが残りました。

會澤翼選手

4位という結果に終わってしまったので、その結果はしっかりと受けとめてやっていかなくちゃいけない。この悔しさを晴らすために、もっともっと貪欲に、出場試合数は伸ばしていきたいと思っていますし、先発だろうが途中からだろうが、自分に与えられた役割を果たしていきたい。

バッターとしてキャッチャーとして

 

春のキャンプ。正捕手がやらなければならないことはたくさんあります。まずは自身のこと。打撃面では「とにかく振り込んで、体にスイングを覚え込ませる」がこの時期のテーマ。連日、全体練習が終わったあとも1人で黙々と打ち続けています。

 

 

そしてキャッチャーとして。ブルペンで積極的にボールも受けることも欠かせません。ルーキーや新外国人投手の特徴を把握することや、主力ピッチャーの変化を確認することがキャンプで重視していることの1つです。コミュニケーションを大事にし、課題や反省点など、自身が感じたことをありのまま伝えることを心がけています。

會澤翼選手

いいところはいい、悪いところは悪いっていうところを、ピッチャーに分からせてあげるのは大事なことだと思います。キャッチャーとしては1点でも少なく、打席では1点でも多く。キャッチャーとして打者として、それが僕の役割だと思っています。

“護摩行”と“メンタル”

 

燃えさかる炎の前で一心にお経を唱える會澤選手。金本知憲さんや、新井貴浩さんなど広島のOBが行ってきたことで知られる「護摩行」を、會澤選手も毎年キャンプ前に行っています。「こんなもので野球がうまくなるのか」などと言われたこともある「護摩行」ですが、會澤選手は野球をする上で最も重要だと考えている精神面を鍛えるために欠かせないと考えています。

會澤翼選手

護摩行をやっていると、弱さが絶対出てくる。そこでいかに自分をコントロールできるか、自分に勝てるか。

 

 

厳しい修行が、チャンスでの勝負強さや、長く苦しいシーズンを乗り切る力につながっていると、熱く語ってくれました。

會澤翼選手

野球っていうのはメンタルのスポーツだとも思っています。143試合ありますから、しんどいときやつらいときのほうが格段に多いんです。そこでいかに自分に負けないかということなんです。

“自信をつかんだ”プレミア12

會澤翼選手

鼻息荒く狙いたい

 

その熱い會澤選手が東京オリンピックについて聞かれた時に口にしたことばです。去年の国際大会「プレミア12」では主力として多彩な投手陣をリードし日本の初優勝に貢献。東京オリンピックへの思いが強くなりました。

 

「プレミア12」で初優勝を果たした會澤翼選手(左端)

會澤翼選手

僕の野球人生の中ですごくプラスになる1か月だった。小林(誠司・巨人)と甲斐(拓也・ソフトバンク)にも助けてもらったので、僕だけの力じゃないが、世界一になれたことは大きな自信になりました。

金メダルへの戦略は・・・

「プレミア12」で初優勝を果たし、山崎投手と抱き合う會澤選手

 

東京オリンピックの前哨戦と位置づけられた「プレミア12」。その戦いの中で、日本を金メダルに導く戦略も見いだしました。海外のバッターには変化球、とりわけフォークボールなどの落ちる球種が有効とされていますが、會澤選手が感じたのは、あえてストレートにこだわることの重要性でした。

會澤翼選手

落ちる球(フォークボールなど)が有効とよく言われると思いますが、僕はまっすぐがいいピッチャーの方が、変化球も生きてくると思うので逆に通用すると思う。(代表に選ばれたら)ピッチャーにもそういうところを伝えられると思います。

五輪へ“堂々と戦う”

東京オリンピックでの金メダル、広島でのV奪還と日本一。大きな目標をかかげて迎えるシーズンへ。覚悟をもって臨みます。

 

會澤翼選手

まずはチームでしっかりと結果を残してやっていかなくちゃいけない。しっかりとカープで成績を残して、自信を持って日本代表に選ばれたらいい。そして代表に選んでもらったら、国のために、自信を持って、堂々と戦っていきたい。

この記事を書いた人

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松山 翔平 記者

スポーツ新聞社での営業職を経て平成22年にNHK入局。
大分局、千葉局、広島局を経てスポーツニュース部。

 

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