特集 十両復帰の宇良「苦しい時期を支えてくれた人へ」

横綱不在で初日を迎えた大相撲11月場所。注目力士の1人が、2度の大けがを乗り越えて十両に復帰した宇良です。苦しい時期を支えてくれた人へ、感謝の思いを胸に場所に臨んでいます。
関取の証し 白いまわしで
場所前の稽古場には、新しい白のまわしをつけた宇良の姿がありました。白のまわしは関取の証しです。
宇良
白まわしを着けるようになってから、番付が上がったんだなと実感しています。戻ってきたなって。
宇良を一躍有名にしたのが、この「たすき反り」
身長1メートル75センチ、小柄ながら多彩な取り口で人気を集め、幕内3場所目には横綱に挑戦し、金星を挙げました。
ひざの大けがで番付は序二段に
しかし、このあと、右ひざ前十字じん帯を損傷。復帰後も再び、ひざの大けが。これまでに2回の手術を受け、序二段まで番付が下がりました。
宇良
本当に一つの試練というか、修行というか、果たして本当に膝がよくなるのか分からない状態だったので、そこは精神的には、きついところがありました。
不安が募る日々に、ある出会いが・・・
復帰に向けてリハビリを続けていた宇良。再び土俵に戻ることが出来るのか、不安が募る日々に、ある出会いがありました。
福岡県に住む酒井佐津恵さん。タンパク質の異常によって代謝機能などが損なわれる難病で入退院を繰り返しています。復活へ努力を重ねる宇良に思いを重ね、励ましの手紙を送ったことで交流が始まりました。
宇良
自分の相撲を見て元気をいただいていると、おっしゃっていただいて、自分の相撲で人を元気づけられるのであれば、頑張ろうという気持ちが、さらに強くなりました。
元気な姿を見せたい。復帰後は少しずつ番付を上げていきました。幕下上位で迎えた秋場所で宇良は、大きく勝ち越して、関取に復帰。
これからは「ファンを心配させない相撲を」と稽古に励んできました。
3年ぶりの十両としての目標は
3年ぶりに十両で迎えた11月場所では、酒井さんから贈られた化粧まわしをつけて臨みます。
宇良
目標としては勝ち越しなんですけど、何より15日間、元気に相撲を取る姿を見てもらいたいですね。
酒井さんは、ふだんテレビだけでなく、タブレット端末を使って宇良の取組をチェックするほど熱心に応援しているということです。酒井さんは、入院しているということで、病室でテレビ観戦をしながら応援する予定です。
今後も宇良の活躍を期待したいと思います。
この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者
平成21年NHK入局 福岡県出身
長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。ヤクルト担当。