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特集 正代 目標は大関昇進 上がりたい気持ちはある

相撲 2020年9月8日(火) 午後4:31

正代は7月場所で東の関脇で千秋楽まで優勝争いに残り、11勝を挙げる好成績を挙げて5回目の敢闘賞を受賞しました。

 

秋場所は大関昇進の起点となる正念場を迎えることになります。悲願の初優勝、大関昇進に向けての決意を聞きました。

照ノ富士戦は追う立場 思い切りいけた

ーー7月場所お疲れさまでした。場所が終わって一週間、何を考えていましたか。

 

ケガもなく終わって良かったという気持ちがいちばんでした。相撲を振り返ると取りこぼしもあったなと思っています。

 

ーーそれでも初場所のときの優勝争いの経験は生きていたのではないですか。

 

そうですね。初場所ほど緊張はしなかったです。追いかける立場だったし、勝ち越しも決まっていましたので初場所ほどではなかったです。

初場所の経験をもう少し生かしたかったですね。初日取りこぼしがありましたが、そういう流れだから勝ち越せたのかなあと思っています。

 

ーー今回9日目で勝ち越してほっとしたのですか。

 

はい。張り詰めていたものが一度途切れました。

ーーしかし14日目に単独トップだった照ノ富士を破りました。

 

追う立場だったので、攻め込むことができたのだと思います。思い切りいけました。立ち合いの踏み込みが良かったです。

中途半端に出ると相手に極められると警戒しました。そのあとの対応が良かったです。肩すかしで相手が引いてくれたので一気に攻めました。

優勝は意識していなかった いけたらいいかなくらい

豊山と稽古(6月25日)

 

ーー照ノ富士を破ったことで、自分にも優勝の可能性が出てきました。千秋楽はどんな気持ちで臨みましたか。

 

正直言って優勝は意識していなかったです。いけたらいいかなくらいですね。いちばん早い照ノ富士戦で優勝が決まるのではないかと思って、本当に決まったよと思いました。気が抜けたというほどではないですが、「ああー」という感じです。

 

ーー夏場所が中止になって7月場所でしたが、場所がない間の過し方はどうでしたか。

 

終わってしまうとあっという間でしたね。あっという間に場所がきたなと思いました。

最初の方は稽古で相撲が取れなかったので、筋力トレーニングをメーンにやっていました。日頃はサプリメントを飲むことはなかったのですが、自粛期間がいい機会と思ってプロテインを採りだしました。筋力が不安だったので、時間がたっぷりあるから体を作り直そうと思いました。

 

ーーその成果は出ていましたね。明らかに立ち合いの圧力が強くなりました。

 

それが自信になったかどうかは何とも言えないですね。相撲の内容は変わってきたと思います。その場所、その場所で調子が良すぎるよりも少し不安が残る方がいいと思います。

 

ーー優勝争いをした初場所13番勝って、そのあとの春場所で2桁にはいきませんでしたね。

 

関脇に戻って勝ち越したので悪くはなかったと思っています。今場所11番勝ったので、春場所でももう少し勝っていればと、今になって思っています。

優勝は2場所争っている、もう遠い存在ではない

三賞力士 右から正代(敢闘)、大栄翔(殊勲)、照ノ富士(優勝、殊勲、技能)、御嶽海(殊勲)は大関昇進レースの顔ぶれか

 

ーー関脇を長く続ける必要はないですよ。関脇はあと2場所でいいのではないですか。

 

もうワンステップありますが、まずは上に手が届く位置に常にいることです。チャンスをつかめるように体を鍛えていきます。

 

ーーまず関脇で実績を挙げ続けることでチャンスを手にするということですか。

 

そうですね。調子がいいときも悪いときもあると思うので、調子が悪くても8番勝って関脇に残るということです。そして次の場所に臨めれば、いちばんいいと思っています。

 

ーー今回11番勝っていますし、これはもう間違いなく大関昇進の起点になりますね。

 

まだまだ道のりは長いと思います。これからです。

 

ーー大関は相当近くにあると思いませんか。

 

近くはないです。まあとりあえずは大きな一歩は踏み出せたのかなとは思います。

 

ーー優勝はかなり近くに来たなとは思いませんか。

 

まあ優勝は2場所争っていますから、もう遠い存在ではないような気はしています。

 

ーーこの3場所で、そのうち2場所優勝を争っているのですよ。初場所は4枚目で上位と総当たりで13番勝っています。春場所9番勝っていれば、今回の11番と合わせて、次の場所は成績次第で大関という話が出てきますよ。

 

そのときはそのときです。

 

ーー先に朝乃山関が大関に上がっていますね。やはりもう自分も、そんなにゆっくりせずに上がるぞという気持ちは強くなってきたでしょう。

 

上がりたいという気持ちはあります。目標として大関昇進はあります。とりあえずその場所、その場所でできることをやり切って、それでそういう評価をしていただけたら、いいかなくらいの気持ちです。

 

ーーもう御嶽海関も起点になりますし、大栄翔関も起点になります。それにこの同じ年代の近い人たちが、大関昇進争いであると同時に横綱昇進争いのレースだと思うんです。

 

まあそうですね。そういう争いにはなりますね。

結婚は考えていない、タイミングもあると思う

ーーところで結婚とか考えないですか。

 

私はもう30歳に近いので、まあそのうちにとは考えています。そういうご縁があればということです。

 

ーー豊山関が結婚しましたね。

 

結婚しましたね。抜かれてしまいました。

 

ーー今ご縁はないですか。

 

今は全然考えていません。結婚にはタイミングもあると思っています。

 

ーータイミングはこれからいくらでも作れますよ。

 

来年はオリンピックもありますね。オリンピックがあるということは、来年はタイミングとして避けた方がいいのではないですか。その次の年になったら何が起きているか分からないじゃあないですか。

豊山が結婚したので、いろいろ考えるようになりました。意識はするようになりましたが、今は自分のことで精いっぱいです。守るものが増えるというのは厳しいです。

 

ーー守るものが増えることを力とする場合もありますよ。

 

守るものがあれば足かせになる場合もあります。メンタルに関わる問題になってきます。

 

ーーひとつひとつ積み上げて今大きなチャンスの中にいるというのは実感としてありますね。

 

そうですね。節目になるかもしれませんね。自分らしい相撲が取れたらいいです。

この記事を書いた人

北出 幸一

北出 幸一

相撲雑誌「NHK G-Media大相撲中継」編集長。元NHK記者。昭和の時代に横綱千代の富士、北勝海、大乃国らを取材し、NHKを定年退職後に相撲雑誌編集長となる。

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