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特集 スポーツジムのメリットと気になるコロナ対策

その他のスポーツ 2020年7月27日(月) 午後0:53

全国一斉の緊急事態宣言が明けても首都圏を中心に続く在宅ワーク奨励。ネットを飛び交う「コロナ太り」の文字を見るにつけ、以前は「運動って面倒」としか思わなかった編集部メンバーの間でも「ジムとか通ったほうがよくない?」という声もチラホラ。でも、ジムでクラスター発生ってニュースもあったし、通い慣れた人でも行くのは不安なんじゃ・・・ あれ?これって企画にならない??

 

 
ということで、ジム初体験の編集部代表が特派員として大手総合スポーツクラブを直撃!いま、スポーツジムは安全なのか、動画での<宅トレ>全盛のいま、ジムに通うメリットは何なのか、聞いてきました。

初歩的な疑問!そもそもジムって何ができるの?

都内某所のスポーツクラブ。平日の昼間にかかわらず、意外にも多くの人が出入りしていました。やっぱりジムで運動したい人はけっこういるみたいですね!

 

今回はジムの案内人の岸川誠一郎さんに連れられて、いろいろとお話を聞きながら施設を巡ってみることに。そこで、まったくのジム初心者である特派員には、ひとつ疑問が…。

 

そもそもジムってどんな場所なんだろう? さっそく岸川さんに質問をぶつけてみました。

岸川さん

ジムといっても、会員制かそうでないかによって、かなりサービスが異なります。私たちのジムは会員制スポーツクラブと呼ばれる種類のもので、マシントレーニングのほかにも、ヨガのレッスンや卓球教室など、総合的なスポーツをインストラクター付きで実践できるジムになります。それに対して、会員制ではないジムなどでは入場料などを払って、利用者が好きにトレーニングできる環境になっています。

 

ちなみに、こちらのジムでは、入会時にカウンセリングを受けたり、利用者の目的に沿って、どんなトレーニングをするべきかをいちから教えてくれたりもするそうです。

さっそく調査開始! 受付からガードは完璧!!

さて、初歩的な疑問が解消したところで、さっそく受付へ向かうことに。ドアをくぐると、そこには何やら注意書きが。どうやら入館する際の決まり事のようです。

 

 

こちらによると、利用者もスタッフもマスク着用は基本。ちなみに、マスクのほかにも、首から鼻まで覆うことができるネックゲイターでもいいそう。ネックゲイターのほうが「呼吸が楽」という人もけっこういるみたいです。また、会話も極力避けるように注意を呼びかけています。どちらも着用していない人は入館できません。もちろん、アルコール消毒などもしっかり用意されています。

 

この規定、実はFIA(日本フィットネス産業協会)によって定められているもの。この協会に加盟しているジムなどは、どこも同じ対策がとられているんです。感染症対策の専門家の意見も反映されているそうなので、しっかり守ることが肝心だそうです。

 

 

受付に向かうと、スタッフの皆さんが利用者を検温チェック中。

 

 

カウンターも飛まつ対策で、ビニールの仕切りが設けられていました。今やすっかり見慣れた光景ですが、かなり徹底されていました。

岸川さん

基本的には、スタッフやインストラクターはマスクを着用。お客様と直接会話をする機会の多いインストラクターはさらにフェイスガードを着用。利用者の方にはマスクなど、鼻から口を覆えるものを必ず着用していただいています。飛まつ対策とソーシャルディスタンスは、ガイドラインの遵守を徹底するようにしています。

 

さあ、入館手続きが済んだところで、トレーニングの場面ではどんな対策が行われているのか、さっそくのぞいていきましょう!

プールでもマスク!?ジムならではの感染症対策

家ではできないトレーニングの代表例がプール運動。プールはケガのリスクも少なく、全身運動ができるため、フィットネスに最適。ジムなら、インストラクターさんからレッスンも受けることができますし、プールの効果を最大限に発揮できますね。

 

ただ、不特定多数の人が同時に入るプールって、なんとなく感染リスクが高そうな気もしますよね?でも実は、プールは塩素などで消毒されていることから、コロナウイルスには感染しづらいともいわれています。事実、現時点(2020年7月)で、プール施設でのクラスター感染は確認されていません。ただ、水からあがったときに会話をしたりすると、感染リスクも。対策なしでは、インストラクターさんが生徒に教えることもままなりません。

 

そこで活躍するのがコレ!!

 

 

そう、プール用に開発されたビニール製マスクです。

岸川さん

プールの水中はマスクなしでもリスクは低いとされていますが、やはりインストラクターが直接指導する際、どうしても水面から顔をあげて指導しなくてはなりません。むしろインストラクターは、ほとんど顔を水面からあげていますし、指導によっては密接しなくてはならないケースもあります。プール用マスクは、欠かせないアイテムですね。

 

また、プールに入れる人数にも制限を設け、各コースの間隔も可能なかぎり広げています。こちらのジムではシャワーも個室タイプだったり、仕切りを設けたりと、感染リスクをかぎりなく下げる工夫をしていました。

マシントレーニングも教室もソーシャルディスタンス!

やはりジムといえば、ベンチプレスやランニングマシンを使ったマシントレーニングがだいご味。家ではできないジムならではのトレーニングですよね。

 

ただ、マシンは不特定多数の人が利用するので、感染防止の観点からは不安になりがち。なかでもジムとして、もっとも注意しているのがランニングマシン。ここで長時間トレーニングすると、汗や唾液が飛散することが想定されます。

 

 

そこで、こちらのジムでは、各マシンを減らし、ある程度の間隔をあけていました。いわば、マシンもソーシャルディスタンス!

 

利用者はひとり1枚 かごからタオルを持っていきます

 

さらに、マシンを拭くためのタオルをひとり1枚配布。トレーニング開始時と終了時に、消毒液を使ってマシンを拭けるようにしているそうです。

 

また、ヨガなどのレッスン教室でも、生徒の間隔を保てるように、床に目印となるシールを貼付。これまでよりも人数を制限し、レッスン終了後には必ず1時間ほどのアイドルタイムを設けて、教室内の除菌や清掃を徹底。感染リスクを可能なかぎり低くする対策をとっていました!

 

では、感染防止策として利用者側が注意するポイントはあるんでしょうか?

岸川さん

基本的にマスク着用、アルコール消毒 、あとは体調に問題があるときは利用しないなどの最低限のことだけは守っていただければと思います。また、これからの季節は熱中症対策で水分補給だけはこまめにするように心がけてください。

自宅とジムの運動では何がちがうの?

ここまで施設を巡り、特派員はふと思いついてしまった。

 

「トレーニングするだけなら、自宅でもできるんじゃないか?」

 

最近は、ウェブ動画などで、さまざまなトレーニング方法が紹介されてもいるし、わざわざジムに来なくても運動はできる。ジムでトレーニングするメリットって本当にありますか?

 

今回施設を案内してくれた大手スポーツクラブ 執行役員の岸川 誠一郎さん

岸川さん

トレーニングの仕方やポイントを十分に理解している人は自宅でもいいのですが、客観的なアドバイスや専用のマシンを使ったより効率的なトレーニングを求める場合は、ジムに行くことをおすすめします。
ジムのメリットは、“適切”な運動ができることにあります。会員制のジムでは、入会時にどんな目的でトレーニングをしたいのかをカウンセリングします。痩せたいのであれば、どこを重点的に痩せたいのか、あるいは筋肉をつけたいのであれば、どのような体を目指しているのかなど、細かく要望をうかがって、そこからどんなトレーニングをすべきなのかを判断します。
 
今はネット動画などでもトレーニング方法を紹介していますが、それが必ずしもすべての人に当てはまるわけではありません。人によっては間違っている方法でトレーニングをしてしまうこともあります。そうなると、ケガのリスクも高くなるので、はじめてジムに行く際はぜひカウンセリングを受けてみてください。

スポーツジムに行くときの準備は?

普段から運動をしない初心者こそジムに来るメリットが大きい!とのことなので、早速ジムに行ってみようと思った特派員。でも、実際にジムに通うとなったらどんな準備をしたらよいのでしょうか?

 

まず必要なのは。

●トレーニングウェア
●室内シューズ
●汗拭きタオル
●着替え
●ドリンク
※現在はマスク着用が、ほとんどのジムで義務付けられています

 

 

このなかで絶対に必要なのがトレーニングウェアと室内履き。具体的にどんなウェアが良いのかも伺いました。

岸川さん

原則、ウェアは動きやすければ何でもOKですが、できれば速乾性にすぐれたモノがおすすめです。ジム内は、夏場や冬場でも一定の温度に調節されていますが、やはりトレーニングに汗はつきもの。なるべくすぐに乾くウェアがおすすめですね。今はファッショナブルなものもたくさん出ていますからスポーツ用品店やファストファッション店で、自分の好みに合ったウェアを選んでください。汗をかくと空調が寒く感じることもありますから、温度を調整できるパーカーなどを用意しておいてもいいですね。

また、今は体にフィットするタイプのウェアを着る方も増えています。というのも、体型が一目りょう然だからです。ジムにはよく全身が映る鏡が用意されていますが、これも自分の体型を意識することで、トレーニングのモチベーションをアップさせる効果を狙ったもの。フィットタイプのウェアであれば、より自分の体型を意識してトレーニングに打ち込めるはずです。ただ、最初は恥ずかしいという人もいるでしょうから、必ずというわけではありません。

 

室内シューズは、近年「フィットネスシューズ」という専門シューズも登場。なければジョギングシューズなどでもOK。ただ、どんなトレーニングをするかによって最適なシューズが変わってくるので、まずは入会時にトレーナーと相談するのがベストだそうです。

 

会員制スポーツクラブなどの場合は、タオルを忘れた場合はレンタルタオルで済ますことができますし、ドリンクも施設内で販売していることがほとんどなので、ウェアとシューズだけでよかったりもします。けっこう気楽に通えるんですね。

これだけはやっちゃいけない!ジム内でのマナーとは?

 

ジムを利用する際のマナーも知っておきたいところ。

1.インターバル中は、器具からすぐに離れる

どんなトレーニングでも必ずインターバル(休憩)をとります。その際、器具の前にずっと居座ったりしていると、他にもその器具を利用したい人の迷惑になることも。

2.器具の取り扱いは丁寧に!

バーベルなどの器具を使用したあと、豪快に落としたりすると、ケガのリスクが高まるうえに、器具そのものを壊しかねません。どんな器具でも丁寧に扱いましょう。

3.運動中の声かけは危険!

たとえば、ランニングマシンを利用している人に、後ろから声をかけたりすると、振り向いた瞬間に倒れてケガをしてしまうことも。そのため、トレーナーさんが運動中に声かけをするときは、必ず利用者の視界に入ってから声をかけるそう。また、ジムでは自分のペースで運動をしていることが多いので、妙に馴れ馴れしく接しようとすると、かえって嫌われることも…。

 

これらのマナーはきちんと守って利用しましょう。

 

ウィズコロナの時代にあっても、健康には適度な運動が大事。初心者でも安心なジム通い、始めてみてもいいかもしれません。

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