NHK sports

特集 朝乃山 ~休場明けでさっそく存在感~|番記者の推し相撲

相撲 2023年11月20日(月) 午後2:00

「早く出たいとうずうずしていた」。
19日の朝稽古を終えた朝乃山の顔は晴れやかだった。左足のけがで初日からの休場を余儀なくされたが中日8日目から出場することを決めた。

 

⇒取組動画など九州場所特設ページはここから

左足のけがで休場に

おととし1年間の出場停止処分を受けてから土俵に戻るまで朝乃山は大関から三段目まで番付を落とした。東の前頭筆頭まで戻ってきた九州場所は、もともと久々の三役復帰を目指すはずの場所だった。

 

福岡入りしてから稽古場で

しかし、番付発表の直前、10月末の広島市での巡業だった。ぶつかり稽古をしていた時に左足のふくらはぎに強烈な痛みを感じた。医師の診断は「肉離れ」。

 

土俵には入れず筋力トレーニングが中心

病院からは松葉づえの使用を勧められるほどの症状で、当初はしこを踏むことも、すり足を行うことも、そんきょをすることもできなかった。痛みがある中では相撲は取れないと初日から休場を選ばざるを得なかった。当初は途中出場も危ぶまれる状態だった。

朝乃山

途中出場は視野には入れているが、再発のことを考えるとしっかり治すべきかなと。全休はここまで来たからには余計にしたくないが、これからのことを考えると、出場してもっと大きなけがをして、相撲人生終わりたくはない。いろいろ頭の中で葛藤している。

 

土俵へ必死の治療

それでも途中出場に向けて必死に治療に励んだ。針や電気による治療、それにマッサージなどに取り組み、3日前には軽く相撲を取れるまでには回復した。

最後の後押しとなったのは医師からの一言。「だいぶよくなっている」と言われて出場への意欲が高まった。

 

中日の取組を披露する式守伊之助 朝乃山の名も

そして、師匠の高砂親方に中日からの出場をじか談判した。1つでも黒星を喫すれば、負け越しとなる状況でも土俵に立ちたいと強く望んだ。

朝乃山

「『だいぶよくなっている』という言葉を聞いたら、やっぱり自分も気持ちが高ぶって、
出たいという気持ちになった。7敗からのスタートで勝ち越しは厳しいかもしれないけど一番一番集中していきたい」。

 

いきなり貴景勝と

そして迎えた休場明け最初の取組。相手は貴景勝。2場所連続優勝に挑む大関との一番となった。経験豊富な朝乃山でも、途中出場の最初の日ということで、土俵の下で足が震えていたという。取組も思い描いていた通りにはいかなかった。

 

 

下がることで左足に負担がかからないように前に攻めると決めていたが、立ち合いから、貴景勝の持ち味である突き押しに引いてしまい土俵際に押し込まれた。

 

 

それでもとっさに左の下手を引き、思い切って投げを打った。物言いがつくきわどい勝負になったが朝乃山に軍配が上がり、休場明けの大一番を制して存在感を見せつけた。

 

八角理事長も「足に不安はあると思うがこれだけ相撲を取れれば立派」と賞賛のことばを惜しまなかった。

 

しかし、本人は前に攻められなかったことで反省も口にした。

朝乃山

相撲内容は悪い。受けてばっかりになった。土俵の上に立てばけがの言い訳はできない。でも観客に必死さが伝わってくれたらうれしい。必死さを持って土俵に立ちたい。

大事な8日間

場所前には大関にまで育ててくれた先代の高砂親方が亡くなり、恩返しをするためにも再び三役、大関に返り咲きたいという思いを強くした。

 

母校・近畿大でのパレード 師匠とともに

しかし、九州場所ではその思いをひとまず封印。1つでも番付を落とさないことに力を注ぐことにしている。

 

中日の取組を終え表情が緩む

前頭筆頭のため、9日目には大関・霧島との対戦が組まれるなど、今後も三役以上の力士と対戦が続くことも予想される。来場所以降に勝負をかけるために。朝乃山の大事な8日間が始まった。

朝乃山

ポジティブに考えて、力のある人と当てていただけるのはうれしい。途中出場したからには白星を積み重ねて、来場所以降のためにいい相撲を取っていきたい。

 

この記事を書いた人

足立 隆門 記者

足立 隆門 記者

平成25年NHK入局。甲府局、山形局から地元の大阪局を経て、スポーツニュース部。30代半ばにして初の東京暮らし。

 

関連特集記事