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特集 菊花賞 3年ぶりの京都コースを攻略するのはどの馬か!?

競馬 2023年10月20日(金) 午後6:00

「強い馬が勝つ」と言われる菊花賞。3歳馬のみが走ることができるクラシック3冠、最後のレースとなります。改修工事が終わり、3年ぶりに舞台が京都競馬場に戻りました。近年は長距離レースを回避する有力馬が多くいましたが、ことしは23年ぶり(2冠馬が参戦した年を除く)に皐月賞馬・ダービー馬が揃って参戦します。

京都競馬場 難関の坂を攻略!

ことし4月の改修後に公開された京都競馬場

ことしの“ダービー馬 対 皐月賞馬”、春の2冠では1着2着を分け合いました。3冠最後の淀の舞台で雌雄を決します。その菊花賞は馬の能力はもちろん、コース・距離を克服できるかどうかが最大のポイントになります。3歳馬があまり経験のない3000mという長丁場に加え、京都競馬場は3コーナーから4コーナーにかけて急な坂があります。小高い丘がコース上にあると想像するとわかりやすいかもしれません。「京都外回りコースが日本で一番難しい」と話すジョッキーがいるほど最難関の坂の攻略が、勝負の分かれ目と言われています。

タスティエーラ ~ダービー制覇以来のぶっつけ本番

タスティエーラ(奥)が日本ダービー制覇

ことしのダービー馬・タスティエーラが参戦を表明し、がぜん注目が集まるレースとなりました。皐月賞馬・ソールオリエンスの猛追をクビ差でかわし雪辱を果たした日本ダービーから、およそ5か月。ダービー馬の菊花賞出走は、無敗の3冠馬となったコントレイル以来3年ぶりです。過去10年でも他は2014年のワンアンドオンリー(9着)しかおらず、3頭目の参戦となります。

 

調教中のタスティエーラ

タスティエーラは前哨戦を走らず5月のダービー以来、中146日での出走。しかも今まで関東以外でレースをしたことがありません。

 

堀宣行調教師

久々・輸送・距離・コース…克服すべきことは多いですが、管理する堀宣行調教師は「これまでの競馬でもスタミナのあるところを見せている。馬自身がメンタルさえ整っていればしっかり能力を出せると思う」と語っています。

 

ジョアン・モレイラ騎手

騎乗するのはブラジル出身のジョアン・モレイラ騎手。海外での実績が豊富で、短期免許での来日となります。タスティエーラとは初コンビです。直前の調教に乗り「能力が高い。乗った感じだと落ち着いていてコントロールしやすく指示した通り動いてくれた」とダービー馬を高く評価しています。

 

モレイラ騎手はサトノクラウンで香港ヴァーズを制した(2016年)

またタスティエーラの父はサトノクラウン。モレイラ騎手は父に騎乗し、海外のG1を制したことがあります。「その子供に乗るのはうれしい。父と比べてタスティエーラのほうが落ち着いているので、3000mは特に問題ない。坂も、馬が力強い感じがしたので心配ないと思う」とコース攻略に自信を口にしていました。

 

持ち味である好位に付けてのレースを発揮できるでしょうか。ダービーとの2冠達成ならば1973年のタケホープ以来、実に50年ぶりとなります(史上3頭目)。

ソールオリエンス ~皐月賞馬の逆襲なるか

皐月賞を無敗で制したソールオリエンス

皐月賞を無敗で制し、日本ダービーも1番人気だったソールオリエンス。しかしタスティエーラにクビ差届きませんでした。そのタスティエーラとは過去1勝1敗。皐月賞・ダービーに続き3度目の対決となります。皐月賞を大外から差し切ったように、強烈な直線の脚が武器です。

 

ソールオリエンスと横山武史騎手

ダービーはタスティエーラに敗れはしましたが、その力は存分に見せました。秋は菊花賞のトライアルレースのセントライト記念から始動し2着。管理する手塚貴久調教師は「体形以上に距離は持つことが分かった」と振り返ります。

 

手塚貴久調教師

「春までは後躯(後ろの足)に弱いところがありコーナーで膨れたりしていたが、夏を過ぎてしっかりしたなという印象」と成長したことを示しています。こちらもタスティエーラと同じく、関東圏以外でのレースは初めてとなります。「これは不安な点ではあるが、過去にG1に使う馬を手がけた時も能力のある馬はクリアしてくれているのであまり心配はしていない」、また京都の坂については「最近は馬のレベルが上がって、以前ほど坂で仕掛けようがどうしようが伸びる馬が出てきている。強い馬は強気に乗る競馬をする。そこがどうこうよりも3000mをどう走り切るかということに自分は重きを置いている」と言います。坂を乗り越えて、最後の直線で豪脚が炸裂するか注目です。

 

意気込みを語る横山武史騎手

騎乗する横山武史騎手は「未知の距離で京都も初めて。イメージしにくいが、適応能力が高い馬なので期待している。ダービーは残念な結果だったが、そのリベンジができたらいい」と意欲を見せています。

 

皐月賞と菊花賞を制しての2冠達成ならば、芦毛の馬体と気性の激しさで人気のあったゴールドシップ以来11年ぶり6頭目(グレード制導入後)となります。

上がり馬への期待は!?

例年、菊花賞は「春の実績馬」対「夏の上がり馬」という図式があります。夏の上がり馬ではメジロマックイーン、マヤノトップガン、マンハッタンカフェなどが菊花賞でG1初制覇。このレースをきっかけにその後活躍しました。ことしも楽しみな馬が参戦します。先日の凱旋門賞で4着と健闘したスルーセブンシーズを管理する尾関知人調教師が手がけるドゥレッツァです。

 

調教中のドゥレッツァ

春のクラシックは未出走でしたが条件戦を勝って、4連勝で堂々と大舞台に臨みます。父はドゥラメンテ。皐月賞・日本ダービーを制した2冠馬です。ケガで菊花賞に挑めなかった分、子供に夢を託します。すでにこの世にはなく、残りの世代を考えるとことしはチャンスの年と言えます。

 

尾関知人調教師

尾関調教師は「持ち味は最後の切れ味。特に前をとらえる脚は凄い。“肉食動物”的な走りをしてくれる。これまで長めの距離を使ってきた。良さは出せているし折り合い面は心配していない。重賞初挑戦になるが、チャレンジする価値はある」と話します。菊花賞に限れば2勝に加え3着以内が7割超えの確率を誇るクリストフ・ルメール騎手が手綱をひきます。

 

調整するサトノグランツ(10月12日)

その他ではトライアルの神戸新聞杯をレコードで制したサトノグランツは、祖父(ディープインパクト)・父(サトノダイヤモンド)に次ぐ親子3代の菊花賞制覇に挑みます。

 

2月の共同通信杯で優勝したファントムシーフ

皐月賞3着と春は人気馬の1頭だったファントムシーフは、神戸新聞杯3着から巻き返しを狙います。騎乗するのは菊花賞歴代最多の5勝を挙げている武豊騎手です。

 

メンバーは多彩。クラシック最後の1冠・菊花賞。ことしの3歳馬の走りは、必見です。


10月22日午後3時から総合テレビで生中継

この記事を書いた人

大坂 敏久 アナウンサー

大坂 敏久 アナウンサー

平成10年NHK入局。ミスターシービーから競馬に興味を持つ。これまで、日本ダービー・有馬記念などを担当。

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