特集 秋場所終盤戦へ 優勝争いは? ~親方の目 秀ノ山親方 ~|推し相撲番外

秋場所は10日目が終わりました。若手力士の活躍、何度も優勝に絡んできたベテランの躍動、そして、大関が見せる意地、注目の土俵はまだまだ続きます。1敗と2敗が1人ずつ、3敗が5人と優勝争いも大混戦。今場所3回目の「親方の目」は、引き続き元大関・琴奨菊の秀ノ山親方に展望を聞きました。
優勝争いは平幕がトップ
星整理(10日目終了時点)
1敗/熱海富士 2敗/高安
3敗/貴景勝・北勝富士・阿武咲・遠藤・剣翔
若さあふれる熱海富士の進化
優勝争いが本格化する終盤戦を前に、単独トップに立ったのが21歳の熱海富士です。
10日目 熱海富士が高安を破る
19日は1敗どうしだった大関経験者の高安と対戦し、力負けせずに押し倒し、実力を示しました。新入幕を果たした去年の九州場所では4勝11敗と跳ね返され、ふたたび十両に戻るという屈辱を味わいましたが、その苦い経験を今場所、生かしているといいます。
秀ノ山親方
熱海富士の相撲は格段に変わってきていて、きょうの高安戦も立ち合いから押し負けることがなくなって前傾姿勢で相撲が取れている。苦しんだ分、戻ってきてしっかりと地力がついている。勝ち負けじゃなくてしっかり前に出て自分の相撲を取ろうという姿勢が相撲内容、勝ち星に表れているのかなと思います。
経験豊かな力士にも期待
熱海富士に敗れたとはいえ2敗で続く高安はこれまで何度も優勝争いに絡んできた実力者です。
8日目 高安が御嶽海を破る
そして、先場所優勝争いに加わり、大関3人を倒し3敗をキープしてきた北勝富士。2人のベテランも「要チェック」だといいいます。
3日目 北勝富士が大関・霧島を破る
秀ノ山親方
常に期待していて、本場所が始まると『高安が優勝かな』って自分は常に言いますけど、力を出し切れば高安は強いので、しっかり準備をしていってほしい。
北勝富士は先場所優勝争い、今場所は大関3人倒してからちょっと足踏みはしたけど、しっかり自分の相撲を取れている。これから意地を見せて、優勝争いに食い込んでいってもらいたいという感じです。
貴景勝が優勝争いの軸
若手・ベテランと勢いのある力士がいる中で、秀ノ山親方に「優勝争いを引っ張る力士」を聞いたところ名前があがったのは大関・貴景勝。トップの熱海富士とは星の差2つですが、やはり外せないといいます。
貴景勝が取り直しの相撲で宇良を破る
大関3人は今場所苦しんでいます。霧島が4敗。新大関・豊昇龍は6敗。その中でも3敗で踏みとどまっている貴景勝には際だった評価をしています。
秀ノ山親方
大関という地位の高さや地位の重圧を1番知っているのは貴景勝。霧島と豊昇龍はもっと自分の相撲を取りきらないといけないよね。ちょっと小手先でいっている。
貴景勝は9日目には平幕の豪ノ山を相手に持ち味の突き押しで圧倒。
豪ノ山を押し出す
10日目は取り直しの末、宇良に「はたきこみ」で勝ちました。ここに来て土俵を冷静に見た取組もできているといいます。
秀ノ山親方
きょう(10日目)は、物言いがついて取り直しの一番だったけど、あそこではたきにいける冷静さ、一番に対する集中力は貴景勝が一番あるんじゃないかな。
残り5日間の戦い
終盤戦の11日目。1敗で単独トップの熱海富士は初の三役戦で小結・翔猿との対戦が組まれました。
2敗の高安は関脇・大栄翔と、貴景勝は関脇の若元春との一番に臨みます。激戦必至の優勝争いをにらんで秀ノ山親方はこう締めくくりました。
秀ノ山親方
(優勝争いは)貴景勝が引っ張っていく感じになると思いますよ。若さとエネルギーでいく熱海富士の頑張りに期待したいですね。星のつぶし合いで今場所も12勝、13勝が優勝ラインかなと見ています。これから終盤戦になりますけど、場所の流れはある程度できていますから、リズムに乗っていってほしいなと思いますね。
大関が意地を見せるか、若手がさらに勢いに乗るか。ベテラン勢が黙っていないか。いずれにしても終盤戦の土俵にも注目です。
この記事を書いた人

舟木 卓也 記者
平成25年NHK入局。令和2年秋からスポーツニュース部。
プロ野球(ロッテ)担当を経て、現在は大相撲や柔道など格闘技担当。