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特集 三笘薫と天皇杯 ~インタビュー前編~

サッカー 2023年7月11日(火) 午後7:00

熱戦続く天皇杯はJ1リーグ、Jリーグカップと並ぶ国内3大タイトルの一つです。プロチームだけでなく、社会人チームから大学のサッカー部まで年齢制限のない幅広いチームに参加権が与えられる、まさに“日本一”を決める大会です。今回、第103回天皇杯のアンバサダーに就任したのが三笘薫選手です。天皇杯を経験して日本を代表する選手となった三笘選手に天皇杯への思いを聞きました。インタビューの前編です。

 

⇒天皇杯のダイジェスト動画などは特設ページで

三笘薫選手と天皇杯

 

 

Q.三笘選手の記憶の中で一番覚えている天皇杯は、いつのどんな大会ですか?

A.川崎で優勝した試合、決勝もよく覚えていますし、僕自身大学生で出た試合でベスト16までいったので、その試合も覚えていますね。

 

Q.子どもの頃に見ていた中で記憶しているシーンはありますか?

A.どの試合が天皇杯かというのは、ちょっとあいまいなところがありますが、国立でやっていて播戸さんが決勝点を決めた試合ですかね。

 

2009年1月1日 天皇杯決勝

その試合は覚えています。

 

Q.播戸さんのゴールを、一番に思い出したのは、やっぱり点を取るポジションというのがあったのでしょうか?

A.まあちょっと劇的な展開だったっていうところだと思います。

 

 

やっぱり得点した選手を思い出すところはあるので、そういったところで攻撃の選手でしたし、記憶に残っています。

 

Q.三笘さんがお子さんの頃は元日開催が続いていました。生放送で観ていましたか?

A.生で観ていました。家でゆっくりして、ちょうどお昼過ぎにあるので、いい時間だなと思って。笑

 

Q.元日の決勝っていうのは、子どもながらにどんな舞台だと思っていましたか?

A.ここまで残るチームが少ないですし、日本のいろんな方々に観てもらえるチャンスというか、そういったところもあります。やっぱり歴史的に元日に試合をするというのはなかなかないので、歴史を感じていましたね。

 

Q.子どもながらにいつか立ってみたいという思いはありましたか?

A.もうプロサッカー選手になりたいという気持ちは強かったので、そういった思いで注目される試合に出たいなとは思っていました。

 

アンバサダー就任について

 

Q.今回天皇杯のアンバサダーに現役選手として就任されました。改めてアンバサダーという役回り、オファーが来た時はどんな心境でした?

A.そういう役割があるというのは知らなかったですし、話を聞いた時にはなかなか光栄なことだなと思いました。

 

 

現役のうちにいろいろなことに関わり、日本のサッカーを盛り上げていけたらというのは感じていたので、すごく光栄だなと思って引き受けました。

 

Q.天皇杯アンバサダー就任のリリースの中で、天皇杯での経験が今の自分の礎になっているとおっしゃっていました。どんなところが今の自分につながっているでしょうか?

A.僕が大学生の時に天皇杯でプロの選手たちと試合をする機会がありました。

 

 

そこでテレビで放映されたことがあって注目され、少し活躍できたので、まあそこで人生も少しずつ変わっていったというところがあると思います。ほんとに自分がより恩恵を受けた大会というか、天皇杯があったからこそ自分も上に上がっていくことができたなというのは感じているので、天皇杯なくしては今の自分はないかなと思っています。

 

筑波大学として出場した2017年大会

Q.あの仙台戦(2017年の2回戦)でのゴールはまさに印象的でした。やはりあの活躍で注目されて変わっていったという実感がありますか?

A.そうですね。僕自身が変わったというよりは周りの見方が変わって、大学生、筑波大学が注目されることになって。僕自身もああいうゴールをすることで、まあ少し注目されるようになって、どんどんどんどん自分もプロでやっていきたい(と思うようになった)。

 

 

だけど、まだまだギャップがあるという中で過ごしていました。大学2年生でああいったところまでいけたというのはすごく自信にもつながりましたし、大学生での経験というのはなかなかないので、どのカテゴリーでも日本一を目指せるというのは素晴らしい大会だなと思います。

 

Q.大学時代、プロとのギャップもあった中でとおっしゃいましたが、その中で天皇杯という大会は三笘さんの中ではどんな位置づけでしたか?

A.大学のリーグ戦はもちろん優勝したいという強い気持ちはありましたけど、天皇杯で勝ち上がっていくというのは、まあ「ジャイアントキリング」って言われますけど、それだけ注目されることにもつながりますし、大学生としても大学としてもすごく大きな大会でした。

 

 

過去にもそういった大会で、筑波大学の先輩がどんどんどんどん上に行くっていうところは見てきましたし、そういったところでプロの選手と、真剣勝負の場で戦えるということはなかなかないことだと思っていたので、当時はすごく楽しみにしていました。

 

Q.チームとしても当然大学のタイトルを狙いに行くというのがある中で、やっぱりちょっと違うモチベーションでのぞめる大会だったですね?

A.そういうことですね。プロの選手たちと素晴らしいスタジアムで真剣勝負できるというのは大学生ではなかなかないことなので。純粋に楽しい気持ちもありましたし、やっぱりこういったところで勝っていかないとプロサッカー選手としてはやっていけないという気持ちもあったので、すごく刺激になる大会でした。

 

Q.フロンターレに進む選択肢もあった中で大学に進学されてプロと戦うという意味では、ご自身の中ではプロとの差というか距離を測る物差しみたいな位置づけでもあったのでしょうか?

 

 

A.そうですね。高校でプロに行かずに大学に行って、大学を卒業した時に即戦力として戦えるかというところでは、プロの選手と試合をしていく中で自分の実力が分かっていくというところ(があると思います。)いい緊張感を持てたというとこもそうですし、実際にどれくらい成長しているのかを分かることも多かったので、そういった意味で現在地を測る素晴らしい大会でした。

 

J1仙台に自陣からドリブル、そしてゴール

2017年天皇杯2回戦

Q.その中であのJ1仙台戦での2得点。特に1点目のドリブルからのゴールは本当にインパクトを与えました。振り返ってご自身ではどんなゴールでしたか?

A.まあ、今ああいったゴールはできないので(笑)。大学2年生のドリブルがピークではないですけど、ああいったゴールが、うーん、僕のなんですかね、やっぱり、真骨頂ではないですがああいったところのプレーが自分のプレーだって言えるように頑張っていきたいなという意味でも、いい得点になりました。ああいったゴールは大学リーグでもなかなか決められていなかったので、そういった意味で真剣勝負の場でああいう得点ができたというのは、すごくうれしかったです。

 

 

そうですね…人生でたぶん3番か、まあ5番ぐらいには絶対に入るゴールだと思うんです。今見れば、なかなかの距離を運んで決めきっているので、もっとこういう得点を、今したいなっていう気持ちになっています。

 

Q.人生で5本の指に入るというのはすごいですが、自陣からドリブルでペナルティーエリアの中まで入ってのシュートでしたが、どれぐらいからゴールまで行けるっていうイメージだったのですか?

A.えー、ハーフウェイライン越えて、この時は全然ゴールまで行けるって思ってなかったです。

 

 

相手の中間ポジションというか、相手に触られないポジションを取ることによって、意外とゴール前に行けたという実感があって、気付けばもうゴール前だったので、「打っちゃえ」って感じでしたね。

 

Q.決まった瞬間ってどうでした?

A.コースは甘かったんですけど、雨の日だったので少し滑ってくれて、ついてるなと思っていました。

 

Q.僕がもしこのゴール決めたら「すごいシュートを決めた!」って、しばらく余韻に浸りそうだなと思ったんですけど?

A そうですね僕自身たぶん驚いているので、逆に驚いて感情をそんなに出してないみたいな感じだと思います。「あー入った、入った・・・・」 みたいな感じで、驚いていました。

 

Q.これまでもドリブルで自陣から一気にゴール前まで三笘選手が運ぶというシーンは良く見させていただいていますが、点を取った、決めきれたというところにもすごく価値を感じますね?

A.そうですね、やっぱりサッカーはゴール取ってなんぼのスポーツなので。結局、運んだ距離とかではなくて、チャンスを作れた数とかではなくて、最後ゴールを決めきれるかどうかのスポーツなので、そういった面では、自分でやりきったというところと、決めきったというのではすごく評価できる点だと思います。

 

Q.今ではなかなか難しいとおっしゃいましたが?

A.今ではなかなか難しいと思います。はい(笑)。その当時は、僕を知ってる選手も少なかったですし、特徴もバレてなかったですし、まあ今は少し警戒されるようになって、そういったところのカバーリングも早くなっていると思うので、難しいかなと思っています。

 

Q.なるほど。ただあのゴールはまさに三笘薫を全国に知らしめたゴールだったと思います。もしあのゴールがなかったら、今の自分のキャリアに変化があったとか思ったりしますか?

A.まああのゴールの時に僕の名前が広まったというよりかは、やっぱり徐々に徐々に、プロサッカー選手になって、少しずつ活躍できるようになってこその、あの天皇杯のゴールだと思います。

 

 

っぱりその1つのゴールを機に自分が自信をつけて、どんどんどんどん上に行けたっていうことを、いま振り返って注目してもらえていると思っていますし、積み重ねてこられたというのが大きいかなと思いますね。

 

Q.あのゴールがやっぱり自信になりましたか?

A.自信にはなったんですけど、大学2年生でしたし、まだまだ自分の能力っていうのは低いなって感じていたので、1試合素晴らしいプレーはできましたけど、これを継続してずっとやっていくっていうのはまだまだ足りないと思っていました。そこで自信っていうのはまだまだなかったですね。

 

天皇杯がもたらした自信

Q.1年生の時はコンサドーレに敗れました。2年生になって、この試合もあってベスト16まで行きました。そういった意味では、成長を感じられる大会と言えますか?

A.そうですね。僕が1年生の頃は、開始5分ぐらいで足首を捻挫して交代したんです。このすごい苦い経験があって、それで2年生ではすごく意気込んでいて、あれだけ勝ち進むことができたので、そういった面では成長を実感した大会でしたね。

 

Q.ジャイアントキリングを続けたっていうことの経験から得たものはありますか?

A.どんな相手にも臆することなくプレーできたっていうのは、大学リーグでやっているだけでは分からない経験でしたし、プロ選手とやっていく上でいろんな気付きだったり課題だったり発見をすることができました。

 

2017年4回戦 対アルディージャ

僕自身もまだまだ足りないところだったり、プロでやっていけるところだったりを見つけることができたので、ほんとうに現在地をしっかりと感じることができましたね。

 

Q.当時J1の仙台に勝った後っていうのはチームの雰囲気はどんな感じでした?

A.いやもう最高潮でしたね(笑)。でも次もJリーグ(福岡)が相手で、またJリーグの相手とやれるっていう楽しみが、すごくあったと思います。

 

Q.それで福岡と戦って、勝ってベスト16までいったらもっと上に行くぞっていう感じでしたか?

A.そうですね、そこで自分たちは(ベスト)エイト、フォーっていうのは目指していましたけど、やっぱりそんなに簡単じゃないなっていうのは感じました。だからこそやっぱ楽しいなという風に思えた大会でした。

 

Q.それが3年生、4年生、そしてプロ入りあの1年目の爆発につながったというところでしょうか?

 

 

A.まあ積み重ねなので、確実につながっているとは思うんですけど、やっぱり当時のチームメイトだったり監督コーチだったり、周りのサポートがあってのこの結果だと思います。すべてが2年生でうまくいったから3年生、4年生でうまくいったわけではないですし、いろんな失敗を重ねて今に至ると思います。

 

(後編に続く)

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