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特集 落合博満 好調の”阪神タイガース”をオレ流深掘り!

野球 2023年6月5日(月) 午前10:30

首位に立つ阪神タイガース。(5月21日現在) 好調の理由はどこにあるのか?落合博満さんにオレ流解説していただきました。(サンデースポーツ 2023年5月21日放送)

 

 

村上さん:落合さん、阪神が今好調だと思うんですけど理由はあるんですか?

 

落合さん:シーズン前に、岡田監督が言っていた“守り勝つ野球”。それに徹しているのが全てなんだろうと思います。

 

豊原キャスター:岡田監督、開幕前からこう話しました。

 

今年のプロ野球セ・リーグ監督座談会の岡田監督(2023年3月放送)

岡田監督「守りなんですけどね。失策がなんか5年連続、(阪神が)1番多いみたいですけど、守りを重視した方が。はっきり言って打つ方はあんまり期待してないですよ。」

 

中川キャスター:その守りの面で去年と異なる大きな特徴は、内野を固定したことです。去年は各ポジション5人から10人と多くの選手を起用していますが、今年はここまでほぼ固定されているんです。この中でまず、二遊間について見ていきましょう。

 

 

セカンドに固定されたのは3年目の中野拓夢選手。去年はショート、そしてWBC日本代表でもショートを守っていましたが、今シーズンチームではセカンドにコンバートされ、ここまで全試合に出場しています。そしてショートには、主に5年目の木浪聖也選手を起用。安定した守備を見せています。落合さん、コンバートは監督としては勇気がいることなのでしょうか?

 

左:木浪聖也選手 右:中野拓夢選手

落合さん:勇気よりもね、大体シーズン前から監督になる候補というので岡田監督があがっていましたよね?という事は、(岡田監督は)阪神の野球はつぶさに研究していたと思うんですよ。野球のフォーボール・失策っていうのは点数に絡むと言われているので、まずその芽を摘んでいくというのが大事なんで、そういう意味で適材適所に選手をどうやって守備位置につかせるかという事を一生懸命考えたんだろうと思います。それでキャンプ中に、内野手の強化をしたんだろうと思うんでね。それが今落ち着いて野球をやっている原因の1つなんだろうと思います。

 

 

中川キャスター:ここまでの二遊間のエラー数を去年と比較してみますと、去年はシーズン終わりで32でしたが今年は今のところ2人で計5つということで、このペースでいきますと17個くらいなので去年の半分ほどに減る見込みということですね。

 

豊原キャスター:落合さん、野球はセンターラインが大事だというのは私たちもよく聞くんですけれども、特に二遊間が固定できるというのは重要な要素ですか?

 

落合さん:それ皆さん言いますけども、本当は9つのポジション、ピッチャー除いて8つのポジションが固定できて、ゲームが終わったら9人で野球やっているというのが理想なんですけども、じゃあ打つ選手を使うのか、守れる選手を使うのかと考えた時に、守りって1回から9回まであるでしょ。どの場面でボールが飛んでくるか分からない。それで打席っていうのは大概4打席。どっちの比重を取るかなんですよ。だから、ピッチャーに与える影響が今年の阪神の場合は非常に大きいと思います。相手を見るというよりも、自分のところがどういう野球をやるのかということ。まず攻撃できるのはピッチャーだけですからね。バッターは受け身ですから。その攻撃できる最大の武器を、ここに打たれたらエラーするんじゃないのかなという不安感を持たせて投げるよりも、ここに打たせたら絶対アウト取ってくれるんだという安心感のもとで野球ができているというのが1番大きな要因なんだろうと思います。

 

豊原キャスター:そういう意味では、二遊間だけではなくて他も固定できるにこしたことはないという事ですね。

 

中川キャスター:実は岡田監督は初めてリーグ優勝した2005年にも同じような采配をしていたんです。プロ5年目の藤本敦士選手をセカンドに配置転換。そして藤本選手が守っていたショートには、2年目の鳥谷敬選手を抜擢。全試合ショートで出場させました。落合さんは実際に対戦されていますけれども、この二遊間はどんな印象をお持ちでしたか?

 

落合さん:いや、あんまり印象を持ってないんですよ。最初から鳥谷はショートで、藤本がセカンドをやっているっていう、そのイメージしかないんですよ。だから相手の守備位置とか、誰が守っているかというのはあんまり気にしたことないです。

 

守備練習中の左:藤本選手、右:鳥谷選手(2004年)

豊原キャスター:先ほどおっしゃっていた、守りというのは対相手じゃなくて対自分たちということですね?

 

落合さん:はい。自分のところのチームがどうやって優位にゲームを運んでいくかということを考えたときに、“この布陣がベストだよな”っていうところで監督は決断していきますから。だから、今岡がセカンドからサードに行ったのも、最初から今岡はサードを守っているというその印象しか持ってないんです。

 

中川キャスター:なるほど。

 

2008‐2009年当時の今岡誠選手(現:今岡真訪)

豊原キャスター:今お話出てきました他の守備位置に話を移していきます。2005年、岡田監督はサードに今岡真訪(当時・誠)選手を起用しました。今岡選手は、もともとはセカンドやサードを守っていましたが、この年はサードに固定され全試合に出場しました。バッティングでは、プロ野球史上3位となる147打点。リーグ優勝に大きく貢献しました。この図式を今シーズンに当てはめてみると、今岡選手と同じような活躍が期待されるのが佐藤輝明選手です。去年までライトやサード、さらにセカンドを守ることもありましたが、今年はここまで出場した試合がすべてサード。ここまでエラー6個と不安もあるんですけれども、打つ方ではリーグ2位となるホームラン8本を打っているということで、落合さん、これは守備のポジションが固定されるとバッティングにも良い影響が出ると言えるでしょうか?

 

佐藤輝明選手

落合さん:去年までライトやサードやっているでしょ。じゃあ、今日はどこ守るんだっていうようなものが自分の中で解消されて、俺はもうずっとシーズンを通してサードを守るなら守るっていうことで打つことに専念できると思うんですよ。そういう意味では4月は1割台と不調だったけども、ここにきてだんだん状態がよくなってきた。良いめぐり合わせしているんじゃないですか。

 

村上さん:これまでのお話を聞いていると、やはり岡田監督に選手の能力を見抜く力があるんじゃないかなと思うんですけど、どうですか?

 

落合さん:これはね、どこの監督でもその能力っていうのは持っているんですよ。ただそれを実行するかしないかっていうところの決断にかかっていると思います。だから、ないものねだりしたら駄目なんですよ。今現状あるものにどうやって最大限それを活用していくかということが大事なんであってね。もうちょっと打ってくれれば良い、もうちょっと守ってくれれば良いなというのは絶対避けなきゃいけない部分なんでね。だから今の阪神というのは良いまわりの野球をやっているんだろうと思います。

 

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