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特集 男子100m 坂井隆一郎選手 磨いてきたスタートで主役へ|日本陸上選手権

陸上 2023年5月31日(水) 午後2:00

陸上男子100メートルに出場する坂井隆一郎選手(25)(大阪ガス所属/大阪府豊中市出身)は、去年の日本選手権で自己最高の2位に入り、その後、日本歴代7位の10秒02をマーク。次に9秒台を出す“伸び盛りのスプリンター”として期待されています。

 

その持ち味はスタート。

 

序盤にリードして、連覇を狙うサニブラウン アブデル・ハキーム選手などの追い上げを振り切り、大会の主役になれるか?そのレースぶりに注目です。大会を前に坂井選手に話を伺いました。

 

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得意のスタート その秘密は

 

Q.坂井選手にとってスタートとは。
A.誰にも負けない自信がありますし、しっかり序盤からリードを取れることが心の余裕にもつながっていると思います。去年は、世界選手権でも世界のトップ選手を相手に30メートルぐらいまではリードをとることができて、手応えを感じました。

 

Q.スタートではどんなことを意識しているか。

A.セットした状態のまま、体を浮かせず、そのまま低く出ることを意識しています。

 

 

もともと、スタートしてからすぐに顔が上がってしまう癖がありました。腕を広げて静止することで自然と前かがみになって腰が上がるのを防ぐことができ、スピードに乗り切れるようになりました。大学生の時からこの構えでやっています。


Q.体勢を維持するのが大変そうに見えますが。

 

 

A.身長が低い(1メートル71センチ)ので、構えているときに腕がぷるぷるして、けっこうしんどいです。ただ、その構えのおかげで低く飛び出せているので、練習から常に意識しています。

 

基礎練習の繰り返しで後半の走りも強化

Q.スタートの勢いをレース後半につなげるために取り組んでいることは。

 

 

A.足をより速く回転させる感覚を体に覚え込ませるために、大学2年生のときから、ハードルで体を支えて、足を素早く上下に動かすなどの「ドリル(反復練習)」に毎日取り組んでいます。走りたい気持ちもあるんですけど、基礎が大切だとぐっとこらえています。

 

Q.手応えはどうですか。
A.「ドリル」で、筋力が増したため、後半の体のぶれがなくなって、安定感が出てきたと思います。タイムもしっかり伸びてきているので、やってきたことは間違ってなかったと感じています。

 

 

地味な練習で結構きつい部分もあるんですけど、その継続のおかげでいまの自分があります。どんな状況でも基礎練習で培った動きができていると思いますし、これだけやってきたから大丈夫という自信にもつながっています。

 

Q.スタートの構えも、練習の取り組み方も坂井選手独自のスタイルを貫いていますね。

 

 

 

A.僕としては、人と違うこと、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと考えています。それが結果につながっていけばいいと思います

 

地元大阪で主役の座を

Q.日本選手権は地元大阪での開催となりますが、どのような心境ですか。

 

 

A.大阪で開かれたこれまでの大会では、たくさんの方が声を掛けてくださって、温かい環境で陸上をやらせてもらっていると感謝しています。自分が注目され始めているんだなという実感があるので、皆さんの期待に応えられるようにもっともっと頑張らないといけないです。地元の大阪で優勝したいという気持ちはあります。自分の持ち味であるスタートで飛び出し、そのリードを維持して優勝する、そんなレースがしたいと思っています。9秒台も狙っていきたいです。

 

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この記事を書いた人

並松 康弘 記者

並松 康弘 記者

平成26年NHK入局。新潟局-仙台局(プロ野球・楽天担当)-大阪局

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