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特集 大相撲夏場所終盤戦を占う ~武隈親方の目~

相撲 2023年5月24日(水) 午後1:00

休場明けの横綱・照ノ富士の初黒星、大関昇進がかかる霧馬山の10日目での勝ち越し、幕内復帰の朝乃山の活躍・・・。見どころたっぷりの大相撲夏場所は中盤戦が終わりました。連日、満員御礼が続くここまでの土俵は、優勝争いの行方は。今場所から始まった企画「親方の目」でズバリひもときます。3回目は前回に引き続き元大関・豪栄道の武隈親方に分析してもらいます。

 

(武隈親方)

「横綱・大関そろう中、久しぶりに上位陣が締まっていて見応えある場所ですよね」。

 

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1敗で照ノ富士と朝乃山がトップで並ぶ

10日目を終えた夏場所。

 

 

1敗で横綱・照ノ富士と大関経験者の朝乃山がトップで並んでいます。

 

 

そして、2敗で関脇・霧馬山、平幕の明生と北青鵬の3人が追っています。

武隈親方

優勝争いは照ノ富士、朝乃山、この2人になると思います。ただ2人とも、このまま1敗ではいかないと思うので、2敗勢もまだまだチャンスはあると思います。

横綱・照ノ富士に不安も

武隈親方があげた優勝候補の1人、横綱・照ノ富士

 

10日目 琴ノ若を破る

9日目に平幕の明生に敗れ1敗を喫しましたが10日目は小結・琴ノ若に土俵際まで攻め込まれながらも、最後は落ち着いて寄り切りました。4場所連続の休場から復帰した横綱の状態を武隈親方はどう見たのでしょうか。

 

勝ち名乗りを受ける照ノ富士

武隈親方

休場明けにしては体も動いてるし、1敗はしたが10日間は順調に来ていると思います。相撲勘も戻ってきていると思いますが、10日目に勝ち名乗り受けたとき、そんきょがすごく高かったので、ひざの痛みが再発しているんじゃないかと不安ですね。

 

さらに、終盤戦に向けて両ひざに不安をかかえる照ノ富士をこう分析しています。

武隈親方

(得意の)右四つになる相撲も出てきてよかったと思うが、(9日目に敗れた)明生との対戦のように相手に横から攻められて動き回られると、ひざが不安定な分、そこが弱点だと思います。前に出る圧力があって横から攻めることができる力士、突き押しの馬力のある相手は本人もちょっと怖いんじゃないかな。

 

その「突き押しの馬力のある相手」が関脇・大栄翔だと言います。

 

突き押しが光る大栄翔

ここまで7勝3敗と今場所も安定した強さを見せています。この対戦で白星をあげられるかどうかが、照ノ富士の1年ぶりの優勝を左右すると指摘しました。

武隈親方

とりあえず大栄翔にうまく勝つことができれば、気持ち的にも優勝の意識は出てくると思うし意欲も増してくると思う。

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1敗の朝乃山 カギは右四つの相撲

照ノ富士と並んで優勝候補にあげた朝乃山

 

右四つから竜電を寄り倒す

幕内復帰の場所で、中日に黒星を喫しましたが9日目に勝ち越しを決め、大関経験者としての存在感を示しています。得意の右四つを貫けば、久々の賜杯にも手が届くと評価します。

武隈親方

先場所よりものびのび取れていると思うし、きのう(9日目)勝ち越して、少し落ち着いた部分もあると思います。左の上手を浅い位置で引くこと、それができれば自然に勝てると思います。本人もここまできたら優勝を目指してやると思うし、周りのファンもそういうのを望んでいるのをわかっていると思うので、優勝目指してやってほしいですね。

 

霧馬山”これが大関という相撲を”

照ノ富士と朝乃山を2敗で追う関脇・霧馬山は10日目には若元春との関脇どうしの一番を制し、勝ち越しを決めました。

 

大栄翔に土俵際まで追いつめられる霧馬山

2場所連続優勝と大関昇進がかかる場所だけに、取組の内容に少し注文があるようです。

武隈親方

勝ち星は伸びていますけど、まだ強いなと思わせるような相撲が少ないですね。残り5日間で、これが大関と言われるような、そういう相撲が見たいですけね。やはり立ち合いで当たって、そこから突っ張って持っていくような相撲が出れば、大関も自然に見えてくると思うし、上がったあとも力を発揮できると思います。

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北青鵬 親方ならどうする?

2敗の力士でもう1人注目が幕内2場所目の北青鵬です。

 

土俵際、朝乃山を下手投げで破る

身長2メートルを超える長身を生かした相撲でここまで連日土俵を沸かせています。中日に朝乃山を下手投げで破った相撲はスケールの大きさを感じさせました。伸び盛りの若手についてうかがうと・・・。

武隈親方

北青鵬とやるときは右上手を取らせない、これができれば勝てますよ。僕だったら左前みつを取って、とりあえず頭をつけますね。脇が甘いので右を深く差して、切り返し気味に寄っていくといった作戦でいきますね。身長高くて足が長い力士は足元を攻められると弱いんです。足を狙って切り返しとか、そういう攻め方をされると絶対に嫌だと思います。

 

苦しい土俵が続く貴景勝は

優勝争いとともに気になるのが角番の大関・貴景勝です。

 

10日目 金峰山に敗れる

9日目から2連敗で4敗目。この2日間を忘れて大関らしさを出してほしいとしています。

武隈親方

中日の正代との相撲はすごくよかったけど、きのうもきょうも絶対に勝たないといけないという気持ちが強すぎて、体がかたくなったと思う。気持ちはわかるんですけどね。強い当たりが持ち味ですから、ここまできたら、開き直ってほしいですね。

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残り5日 優勝の行方は…

中盤戦を終え、夏場所も残すはあと5日。終盤戦の盛り上がりに武隈親方も大いに期待を寄せています。

 

武隈親方

これから上位戦どうしが組まれるのでお客さんもすごくたくさん来てくれて、大きい声援がある中で相撲が取れることは力士にとって今場所久しぶりに感じてると思うので、最後まで熱戦を期待したい。

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この記事を書いた人

持井 俊哉 記者

持井 俊哉 記者

平成26年NHK入局

北九州局を経て、スポーツニュース部。小1から剣道をはじめ、現在、5段。「打って反省、打たれて感謝」をモットーに何事にも謙虚に誠実にチャレンジすることを目指す。

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