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特集 落合博満さんオレ流解説!犠打数と主力の不調

野球 2023年4月24日(月) 午前9:45

プロ野球は開幕して2週間あまり。新監督を迎えた阪神と広島はともに好スタートを切っています。今回の「落合独自」では、その2チームで対照的な“犠打数”について解説。さらに相次ぐ主力選手の不調への対処法について、オレ流解説していただきました。(サンデースポーツ 2023年4月16日放送)

アメリカ的な野球になってきている

中川キャスター:ここまでの犠打・送りバントの数を見てみますと阪神はリーグトップの15。逆に広島はゼロなんです。去年の同じ時点と比べますと阪神は増えていますが(昨年は10回)、広島は急減(昨年は18回)ということで、新監督のカラーが出ていると言えるのでしょうか?

 

落合さん:1点を大事にして1点勝負に持ち込みたいという阪神と、ある程度ピッチャーに不安を持っている広島の戦い方の違いじゃないのかなと思います。

 

豊原キャスター:全体を見てみますと、ノーアウトランナー1塁でも強攻みたいなシーンが増えてきたような気もするんですが、全体的にはどうなんですか?

 

落合さん:アメリカ的な野球になってきている事だけは事実なんだろうと思います。それと、何年か前にバントで送ってもそんなに点数が入らないというような著書を書いた人がいるから、そういうのにも影響されて日本の野球とは多少変わってきたのだろうと思います。

 

豊原キャスター:その中でリーグトップの犠打数の阪神ですが、これまで大事なところで1点を取りにいく攻め方をしてきました。12日の巨人戦では、1対1の同点で迎えた延長10回ノーアウトランナー2塁の場面。梅野選手が送りバントでランナーを3塁に進め、このあと近本選手のタイムリーで阪神が勝ちました。こういう場面でしっかり送って点を取ったという。

 

落合さん:ここは誰が監督でも送るでしょう。ランナーセカンドにいてワンヒットで点数取れるかっていえば、今の野球は外野が手前を守ったり、そんなに確率的に高くないので、ランナーサードに送るとパスボールもあれば、内野ゴロ、外野フライ、ヒット、いろんなケースで点数が取れるっていうことと、あとピッチャーに与える影響は非常に大きい。あのケースはどうやってもサードに送りたいと思うのが、監督であれば普通の考えだろうと思いますね。

 

豊原キャスター:得点圏に進めてプレッシャーをかけると。実際落合さんが監督時代にその辺り徹底されていたということで、1試合8回バントのサインを出した試合があったということですね。

 

落合さん:あります。バントで送ってエラーをしてくれたり。エラーしてくれたらまたバントで送ればいいということで、1試合8本バントを試みたって事はありますけどね。

 

豊原キャスター:それは打順に関係なくということですか?

 

落合さん:4番バッターにはさせません。4番バッターにさせるんだったら代えて、バントのうまい選手を使います。3番5番はバントありです。

主力選手の不調 どうする?

中川キャスター:開幕から5カードが終了しましたが、ここまでで気になるのが各チームの主力選手がスタメンから落ちていることなんです。

 

巨人の坂本選手は開幕から16打席ノーヒット、ここまで3試合先発から外されました。そして阪神の佐藤輝明選手。打率1割台で先発を外される試合もありました。さらに中日のビシエド選手は打率2割8分1厘と数字は残していますが、ホームラン・打点ゼロとチャンスで凡退することが多く、2軍に降格しました。

 

 

馬瓜エブリンさん:ビシエド選手、本当に心配ですよね。落合さんどうすれば調子が戻るんですか?

 

落合さん:ファーム(2軍)に行ったわけですから、そこでもう1回自分を見つめ直して、練習に取り組んで状態を上げるかということに尽きるんだろうと思います。あと中日は外野手を含めて外国人の野手は3人出ている。それもある程度影響しているんじゃないのかなと思いますけどね。

 

豊原キャスター:主力選手が不調の場合は、落合さんならどうしますか?

 

落合さん:俺だったらずっと使いますよ。それだけ責任を持って彼らは仕事をしているわけですから、外すという事は相手のピッチャーを楽させるってことですからね。だからいつかは打ち始めるっていう仮定のもとで、ずっと使い続けますよ。

 

豊原キャスター:その辺りは、落合さんが中日の監督時代も徹底されたんですね。2011年、4番の和田一浩選手が開幕から不調で打率1割台と苦しんでいた。それでも使い続けた。その時の思いは?

 

 

落合さん:彼らは彼らなりにゲームで打てなかったら、ゲームが終わってから室内練習場とかでどうやったら自分の状態が上がってくるのかと毎日打ってから自宅に帰っていたんでね。だから和田だけじゃなくて、他の選手もみんな室内で打って、それで家に帰る。今日悪かったものをどうやって改善すればいいのかを彼らなりに一生懸命やっていたんでね。だからあとは彼らの状態が上がってくるのを待つだけでしたね。

 

豊原キャスター:技術的なことなど、つい言いたくなったりはしないんですか?

 

落合さん:言いたくなることはあるけど、かえって選手を惑わすことになりかねないので、本当に助けを求めたかったら彼ら自身が言ってきますから。その時に適切なアドバイスをしてやるっていうことが1番いいことだろうと思います。

 

豊原キャスター:それくらいの選手たちということですね。その辺りどう復調してくるのか、今後見ていきたいと思います。

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