ストーリーパラスポーツ

森井大輝「"攻めの滑り"で悲願の金メダルを!」

2018-03-10 午後 05:43

過去4大会のパラリンピックで獲れなかった金メダル。悲願達成のために、森井大輝選手は徹底的に“攻める姿勢”と向き合ってきました。

 

日本チェアスキー界のエース・森井大輝選手。昨シーズン、パラアルペンスキーのワールドカップで年間総合2連覇を達成、滑降から回転まで、世界トップクラスの滑りができるオールラウンダーです。

そんな絶対王者にとって、唯一縁がないのがパラリンピックの金メダル。トリノで銀、バンクーバーで銀、ソチでも銀。のどから手が出るほど欲しい金メダル。

5度目のパラリンピックで果たして手が届くのか?日本が、世界が、注目しています。

過酷なスポーツ チェアスキー

 

障害者スポーツで最も過酷と言われるチェアスキー。最高速度120キロ、上半身のバランスだけで急斜面を滑走します。

 

 

全体重をかけるのは、たった1枚のスキー板。

両手には“アウトリガー”と呼ばれるストックを持ち、支えにしながら滑走します。

スキーに魅了された少年時代

森井選手がスキーを始めたのは3歳のとき。素早いターンを駆使して、スピードに乗って滑走する。

その魅力にとりつかれます。夢は、世界で活躍するプロスキーヤーでした。

 

 

しかし、16歳のときオートバイで転倒。

意識が戻ったときには、両足が動かなくなっていました。この先どうやって生きていけばよいのだろう、という不安。

自身の置かれている状況、環境に絶望するしかなかったと振り返ります。

どん底で見たヒーロー

しかし、森井選手はリハビリ中にテレビで見た長野パラリンピックに衝撃を受けました。

同じ障害をもった選手が活躍し、「奥歯が見えるくらいの笑顔」で笑っている姿でした。

 

チェアスキーを始めたころの森井選手

森井選手

当時、心の底から笑えず卑屈だった僕にとっては、その笑顔が衝撃的だったし、彼らは本当にヒーローだなって。

 

事故から1年半、世界の頂点に立つことを目標と定め、チェアスキーの練習を始めました。

そして21歳でパラリンピックに初出場します。

しかしターンが決まらず、ゴールにたどり着くだけで精一杯。金メダルという夢は、とてつもなく遠いことを実感しました。

攻めるための「カービングターン」

世界のトップで戦うために。必死に特訓を重ねたのが、今では森井選手の代名詞とも言える「カービングターン」です。

 

 

カービングターンとは、厚さ数ミリの板のエッジを使い、雪との摩擦を極限まで減らしてターンする方法です。

このターンは健常者ではよく使われる技術ですが、1枚板のチェアスキーでは不可能とされてきました。

 

上半身を鍛え抜く

 

しかし、森井選手は上半身を鍛えぬき、不可能と言われた技術を習得しました。

この高い技術力が、パラリンピック4大会で銀メダル3つと銅メダル1つを獲得してきた森井選手の原動力です。

チェアスキー改良へのこだわり

より速く。森井選手は、チェアスキーの改良にみずから乗り出しました。

 

技術者と共に

 

カービングターンのときに上半身の力がチェアスキーに伝わりやすくなるよう、フレームの軽量化やカウルの空気抵抗低減など、自動車会社と手を組んで微調整を繰り返し行いました。

背もたれの角度や左右の傾きなど、1ミリ以下の単位にまでこだわります。

攻め続けることの難しさ

2017年12月、ワールドカップが開幕。パラリンピックイヤーとなるシーズンはいつにも増して緊張感が高まっていました。

コースはまれにみる荒れた状況となり、コースアウトする選手が続出。

それを見た森井選手は、これまでの経験から「攻めのカービングターンでは転倒のリスクが高い」と判断。

通常のターンで慎重に滑り、トップに立ちます。

 

ノルウェーのペデルセン選手は攻めの滑りを貫いた

 

ところが、ノルウェーの18歳のペデルセン選手は、荒れた斜面に積極的に飛び込み、カービングターンをやってみせました。

そして森井選手に7秒もの差をつけて優勝。

森井選手の初戦は4位に終わりました。

攻めの姿勢を貫く!

“攻めの心”を取り戻すため、森井選手は正月返上で滑り込みました。

2月の国内大会初日、積極的な攻めの滑りで転倒してしまうものの、翌日も攻めの姿勢を続け、見事優勝。

 

森井選手

レースの中で自分の限界をどこまで引き出すことができるか、リスクを負う滑りができるのか。

 

自分が納得できる滑りができれば、きっと金メダルが取れるはず。

 

過去4大会で逃してきた、パラリンピックの金メダル。5大会目での悲願達成を目指します!



※こちらは、2018年3月10日に公開された記事です。内容は公開時のものとなります。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!