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特集 2023プロ野球展望 セ・リーグ編

野球 2023年3月30日(木) 午後6:30

2023年、プロ野球界はWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで世界一を勝ち取った日本代表の熱気をまとったままシーズンへと突入します。優勝に向けてしのぎを削る各球団の戦力は?躍進のカギを握る選手は誰か?そして戦い方は?セ・リーグの担当記者がまとめた各チームの戦力分析です。

ヤクルト

山田哲人選手(左)、村上宗隆選手(右)

球団史上初のリーグ3連覇を目指すヤクルトは、WBCで日本の優勝に貢献したキャプテンの山田哲人選手や、去年の三冠王・村上宗隆選手といった主力に続く若手の育成に力を注いできました。

 

長岡秀樹選手(左)、内山壮真選手(右)

去年ショートのレギュラーをつかみ、ことしは打率3割を目指す4年目の長岡秀樹選手や長打力を買われて本職のキャッチャーに加え外野にも挑戦している3年目の内山壮真選手らが著しい成長を見せていて、打線がさらに厚みを増すことが期待されます。

 

清水昇投手(左)、吉村貢司郎投手(右)

投手陣は、高津監督が重視するリリーフ陣で、抑えを務めてきたマクガフ投手が抜けた穴をカバーできるかがカギとなります。清水昇投手や田口麗斗投手ら実績のあるピッチャーが安定した力を発揮できるかがシーズンの行方を左右します。また開幕ローテーション入りを果たしたルーキーの吉村貢司郎投手が、どこまで勝ち星を積み上げられるかも注目です。

DeNA

(左から)今永昇太投手、伊勢大夢投手、山﨑康晃投手

25年ぶりの日本一を目指すDeNAは投手陣に注目です。今永昇太投手を中心とした先発陣のほか、伊勢大夢投手や山﨑康晃投手などのリリーフ陣もオープン戦で状態のよさをみせています。

 

トレバー・バウアー投手(左)、三嶋一輝投手(右)

これに加えて、3年前に大リーグでサイ・ヤング賞を獲得したトレバー・バウアー投手が加入。また、国指定の難病、黄色じん帯骨化症から復帰した三嶋一輝投手の復活で投手陣の厚みが増しています。

 

佐野恵太選手(左)、宮﨑敏郎選手(右)

一方、打線は得点数を高めるため、「出塁率3割2分以上」をチームの目標に掲げています。オープン戦では1番に昨シーズン、最多安打のタイトルを獲得した佐野恵太選手、2番に首位打者のタイトルを獲得したことのある宮﨑敏郎選手を起用するなど、より攻撃的なオーダーを組んでいて、シーズンでもこの2人の活躍が期待されます。

阪神

15シーズンぶりに指揮をとる、阪神、岡田彰布監督が掲げるのは守りの野球。特に重視しているのがセカンドとショートの二遊間を中心にしっかりとダブルプレーをとることです。アウトにできる打球を確実にアウトにする堅実な守りで18年ぶりのリーグ優勝を目指します。

 

大山悠輔選手(左)、佐藤輝明選手(右)

一方、攻撃は今シーズンも大山悠輔選手と佐藤輝明選手を中心とした打線で戦います。ドラフト1位ルーキーで外野手の森下翔太選手がオープン戦で打率3割1分4厘、ホームラン3本と結果を残し、開幕レギュラーが確実。

 

森下翔太選手

昨シーズン、ここぞの場面であと1本が出なかった打線に変化をもたらすのか注目です。

巨人

戸郷翔征投手(左)、大勢投手(右)

昨シーズン4位に終わった巨人が目指すのは3年ぶりの優勝と11年ぶりの日本一。そのカギを握るのが投手陣の整備です。WBCにも出場した戸郷翔征投手と抑えを任される大勢投手が投手陣の柱となります。

 

ビーディ投手(左)、グリフィン投手(右)

一方で、エース、菅野智之投手が右ひじの張りで調整が遅れていることから、新外国人で開幕投手を任されるビーディ投手とグリフィン投手が期待通りの活躍を見せられるかが、ポイントになりそうです。

 

野手陣は春のキャンプでは、朝7時から打撃練習を行う「アーリーワーク」で積極的にバットを振り込んで攻撃力の底上げを図ってきました。中でもカギを握るのがベテランの坂本勇人選手です。

 

坂本勇人選手

昨シーズン、たび重なるけがに苦しみ再起を期す坂本選手はオープン戦でも打率1割台と状態は上がっていません。それでも、チームにとって攻守の柱でもあり、優勝争いに向けて欠かせない戦力で、岡本和真選手や丸佳浩選手など強打者が並ぶ打線がさらに厚みを増すためにも復調が待たれます。

広島

広島は、新しく就任した新井貴浩監督のもと、5年ぶりのリーグ優勝を目指します。新井監督は、キャンプから「切磋琢磨」をテーマにチーム内に競争を促して戦力の底上げを図ってきました。チームを「家族」と表現する新井監督がどのようにリーダーシップを発揮するのかその戦いぶりに注目です。

 

栗林良吏投手

チームの課題は抑えの栗林良吏投手につなぐ中継ぎ投手陣です。栗林投手は、WBCの日本代表を腰の張りで離脱しましたが開幕に間に合う見込みで勝ちパターンの継投をいかに確立するのかがポイントです。

 

大瀬良大地投手

先発投手は、エースの大瀬良大地投手が体重を増やして力強いストレートを取り戻しています。開幕に間に合わない森下暢仁投手の分も含めて不本意だった昨シーズンから巻き返しを図ります。

 

坂倉将吾選手

攻撃陣は、キャッチャーに専念する坂倉将吾選手が好調で、“打てるキャッチャー”としてレギュラー定着を目指します。広島はオープン戦では打率2割2分3厘と低調でした。上位を打つ秋山翔吾選手や西川龍馬選手といった実績のある打者が開幕から本来の力を発揮できるのかが鍵になります。

中日

中日はオープン戦で7勝6敗3引き分けと11年ぶりに勝ち越しました。打線では新外国人のアキーノ選手がオープン戦で4本のホームランを打ちました。

 

アキーノ選手

打率は1割台でしたが、日本のピッチャーの配球に順応できれば、長年の課題となっている長打力不足の解消につながります。

 

大野雄大投手(左)、髙橋宏斗投手(右)

一方の投手陣はエースの大野雄大投手をはじめ、小笠原慎之介投手や柳裕也投手などふた桁勝利をあげた実績のある先発ピッチャーがオープン戦で順調に調整を続けたほか、WBCで3試合に登板した3年目の髙橋宏斗投手の飛躍にも期待が集まっています。

 

福永裕基選手

また就任2年目の立浪和義監督がそれまでの中心選手をトレードで出した上で目指したセカンドとショートの二遊間の強化については、ドラフト7位で入団した26歳のルーキー福永裕基選手がオープン戦でチームトップの10打点をマークするなど攻守にアピールし、開幕をセカンドで迎えることになりそうです。

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