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特集 ベガルタ仙台×いわきFC J2震災復興マッチ スポーツの力を信じて

サッカー 2023年4月4日(火) 午後7:00

東日本大震災から12年。地震で大きな被害を受けたユアテックスタジアム仙台で、被災地を拠点とするチームどうしの特別な試合が3月12日に行われました。昨シーズンJ1から降格し巻き返しをはかる「ベガルタ仙台」と、今シーズンJ2に昇格してきた「いわきFC」の対戦です。仙台市の隣、多賀城市出身でベガルタ仙台に新加入した郷家友太選手を、同じ東北出身のパラアスリート・谷真海さんが取材。さらにいわきFCの大倉智代表に、チーム設立と復興への思いを聞きました。(サンデースポーツ 2023年3月12日放送)

練習再開後も「サッカーをしていいのだろうか」

 

谷さん:こんにちは。よろしくお願いします。谷真海と申します。

 

郷家選手:こんにちは。よろしくお願いします。郷家友太です。

 

谷さん:(東日本大震災は)小学生の時ですよね。

 

郷家選手:6時間目の授業を受けていた最中です。みんな床にはいつくばってじゃないですけど。

 

谷さん:みんなも動揺しますよね。小学生ですからね。

 

郷家選手:正直冗談じゃないですけど沈没するんじゃないか、日本が沈んでいくんじゃないかと揺れている最中に思っていました。

 

報知新聞社後援全日本少年サッカー ベガルタ仙台ジュニア時代の郷家友太選手(2011年)

被害は当時、郷家選手が所属していたベガルタ仙台のジュニアチームにも及びました。

 

郷家選手:僕の小学校の時の友達の家も被害に遭っていますし、電信柱につかまっていた子もいたっていうのは聞いてたので。1カ月半ぐらいサッカーができなかった。この生活は、当たり前じゃないんだなとすごい思い知ったのが当時ですかね。

 

谷さん:サッカーが大好きだったと思うんですけど、震災の前と後で気持ちに変化はありましたか?

 

郷家選手:練習が再開した時は、まだ苦しんでいる人もいますし、このまま本当にやっていいのかなっていう、そういう気持ちは当時持っていましたね。

 

郷家選手の背中を押したのは、トップチームの先輩たちの姿でした。震災から42日。リーグが再開して初めてとなるベガルタ仙台の試合。相手は強豪川崎フロンターレでした。

 

再開後の初の試合で強豪川崎フロンターレに勝利したベガルタ仙台(2011年)

 

郷家選手:(1点を追いかける後半28分に)太田(吉彰)選手のゴールで同点に追いついて、普通では入らないようなシュートが入って。僕も胸を打たれたところもありますし、ベガルタ仙台が宮城・東北の復興のシンボルにならなきゃいけないというのは、やっていた選手や監督からすごい当時伝わってきました。そのあと、手倉森(誠)監督の勝利後のインタビューですごい涙を流しながら。

 

谷さん:覚えています。

 

再開後の初の試合 川崎フロンターレ戦の手倉森誠監督(2011年)

郷家選手:人を巻き込むことができるのがスポーツだと思いますし、世界で震災や自然災害だけではなく戦争が行われてる国もありますし、それを忘れさせるじゃないですけど、スポーツとして人を巻き込んで世界を笑顔にだったり悔しい気持ちにさせられるのがスポーツかなとは思っています。

いわきFC「復興をあきらめない決意をサッカーで体現」

ベガルタ仙台の対戦相手、いわきFCもスポーツの力を信じてチーム作りを進めてきました。いわきFCが発足したのは震災の4年後。現在は福島県いわき市と東京電力福島第一原発がある双葉郡をホームタウンにしています。チームが掲げているモットーは、「90分間止まらない、倒れないサッカー」。原発事故の影響が色濃く残る中、絶対に復興をあきらめないという強い決意をサッカーで体現しようというのです。

 

大倉代表

僕らは90分間止まらない、絶対に倒れちゃいけないんだと、そういう魂の息づくフットボールをしようと。ここの地域に住む人たちの生きざまがフットボールと重なり合ってないといけないと思っているので。

 

 

90分間戦い続けるフィジカルを身につけるため、チームが取り入れたのは最先端のトレーニング理論です。最新の器具を使った筋力トレーニングを最低でも週2回。目指したのはラグビー選手並みの肉体です。こうした強化が実り、8部に相当するリーグから毎年のように昇格を重ね、ついに今シーズンJ2の舞台に立ちました。かつて200人ほどだった観客は、今ではその20倍、4000人を集めるまでになりました。

 

大倉代表

最初はスポーツ、サッカーチームで被災地を元気にするんだって当然意気込んできたんだけど、途中から僕らが元気にするというよりも皆さんが感じることだなと思って。見ていて非常に感動したとか、明日の元気をもらったとか、そういうことが僕らの使命だと思っているので、そういうことを今後もやり続けていきたいなと思っています。

それぞれの思いを胸に迎えた震災復興マッチのキックオフ。いわきFCの江川慶城選手が体の強さを活かして競り勝ち先制します。その後も一人一人が最後まで足を止めなかったいわきFC。特別な試合で最後まで走り抜き、J2初勝利をあげました。

 

 

中川キャスター:本当に特別な1勝だったと感じましたが、谷さんはこの試合ご覧になり取材もされてどんなこと感じましたか?

 

谷さん:J2昇格1年目でJ1経験もあるベガルタ仙台に勝ったいわきFC。90分間走り続けるサッカーを体現していましたよね。どちらも東北のために戦うチーム、その姿が印象に残りました。J1昇格目指して頑張ってください。

 

 

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