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特集 階段の魅力に取りつかれた63歳の鉄人ランナー

その他のスポーツ 2023年3月11日(土) 午後0:00

JR京都駅ビルにある171段の大階段。この大階段を駆け上るスピードを競う大会が先月25日に行われました。大会には、260人あまりが出場。3連覇を目指す63歳の鉄人ランナーを追いました。

還暦過ぎても驚きの運動能力

その鉄人ランナーとは、大阪・吹田市の渋川操(みさお)さん。まず驚いたのは、還暦を過ぎているにも関わらず、後方宙返りを連続で軽々と決める抜群の運動能力です。

渋川さんの連続後方宙返り

渋川さんが大階段を駆け上がる大会に初めて挑んだのは、45歳のとき。出場を重ねてきた45歳以上の部では、これまで優勝4回、3位以内を逃したことがありません。

 

 

大会は新型コロナウイルスの影響で2年続けて中止となり、渋川さんにとって、ことしは3連覇のかかる大会でした。

 

渋川さん

自分が年齢上がっていくことによって逆にワクワクします。逆にね。60歳を過ぎている人がこれだけできるんだということをアピールしていきたい。

スポーツトレーナーの仕事をしている渋川さん。職場近くの公園の階段を1日2000段ほど駆け上がる練習を週に2、3回行うなどして筋肉をつけてきました。その結果、さまざまな競技で結果を出しています。

 

 

とび箱の大会では2メートル40センチを軽々と飛び越え、ボディービルのコンテストでも関西で3位に入りました。

自己流で究める階段上り

渋川さんの練習を見ていると階段を上りきるときに倒れ込む動きを繰り返していました。

 

 

大会では体の一部がラインに到達するとゴールが認められます。少しでもタイムを縮めるために、段差を恐れず、頭から滑り込もうとしているのです。渋川さんによると、最後の5段は駆け上がるよりも、倒れ込んだ方が0.5秒ほど速くなるそうです。

 

渋川さん

階段を最後はダイビングするんですけど。どうしてもこの年齢になったら『若いときにはできた』とかそういうことを言われる方がたいへん多いんですけど続けていたらできる。

さらにシューズにも一工夫をしています。使っているのは反発力のあるカーボン製の厚底シューズ。しかし、既製品では渋川さんが駆け上がるときに大事にしている段差のエッジ部分をつかむ感覚が得られません。このため、みずからヤスリで削ったり、自身で滑りにくいソールを貼りつけたりするなど細かい調整を行っています。

 

渋川さんが削った厚底シューズ(左)

渋川さん

買ったときのままだと走れなかったんです。段差の角を狙って走るので靴底の厚さが2センチくらいあると角の感覚が足裏に伝わってこないので、1センチまで削って何となく感覚が…。何足も削ったりして、試作品をいくつか作ったりした。ウオーミングアップ用のシューズは、足が痛まないように穴も開けることもあるので、家族に怒られます。

大会直前にまさかのアクシデント!

待ちに待った大会の当日、渋川さんは浮かない表情をしていました。


 

実は、大会10日前、練習中にぎっくり腰を発症。痛みが再発しないよう、ほとんど練習ができない日々が続きました。

 

 

レースが近づくなか、目を閉じて、イメージトレーニングをする姿が印象的でした。


「イメージトレーニングでは5万回くらいあがった。なんとしても上までは上がりたい…絶対、行ける」

 

いよいよレース  注目の結果は!?

渋川さんは出場する45歳以上の部で3番目に高齢。戦う相手の中には年齢がひと回り以上若い選手もいました。

 

 

いよいよレースがスタート。渋川さんは、前半は、トップ争いを繰り広げます。

 

 

しかし中盤から伸びが見られません。結果は81人中6位。3連覇はなりませんでした。

 

渋川さん

100段くらいまでは何とかなると思っていたが後半しんどかった。今の力は出しました。京都駅の大階段が自分のステージと思っているので来年はリベンジ、てっぺん目指して頑張ります。

 

来年こそは万全な状態で大会へ。大階段の魅力に取りつかれた鉄人ランナー、渋川さんの挑戦が続きます。

この記事を書いた人

福田 和也 ディレクター

福田 和也 ディレクター

令和4年4月から関西のニュース情報番組「ほっと関西」のスポーツコーナーを担当し、競馬で注目を集める今村聖奈騎手の特集などを制作。鉄人ランナーの渋川さんは取材を進めれば進めるほど興味が膨らみ、還暦を超えてもこんなに頑張っている人がいるんだと多くの人に知って欲しいと思い、企画をつくりました。

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