NHK sports

特集 なでしこジャパン サッカー女子ワールドカップに向かって 中澤佑二がみる現在地は?

サッカー 2023年3月6日(月) 午後3:20

2011年サッカー女子ワールドカップの優勝メンバー、川澄奈穂美選手が2月16日に投稿したツイートが大きな反響を呼んでいます。日本も出場した国際大会「シービリーブスカップ」が日本で見られないことに言及したのです。ワールドカップの開幕が5か月後に迫る中、腕試しの貴重な機会となる大会だったこともあり、川澄選手のツイートは国内外の新聞や雑誌で取り上げられるなど大きな反響を呼びました。この「シービリーブスカップ」における日本の戦いぶりはどうだったのか?そこから見えてきた「なでしこジャパン」の現在地とは?ベールに包まれていたともいえる大会を、中澤佑二が徹底ボナライズしました。(サンデースポーツ 2023年2月26日放送)

シービリーブスカップ 日本は強豪国相手に1勝2敗 

 

中川キャスター:シービリーブスカップは日本のほか、ワールドカップ南米予選トップ通過のブラジル、ワールドカップ2連覇中のアメリカ、東京オリンピック金メダルのカナダが出場。いずれも強豪でワールドカップの開幕が5か月後に迫る中、日本にとっては貴重な大会でした。

 

 

初戦の相手は世界9位のブラジル。日本は中澤さんが先月ボナライズした藤野あおば選手が得意のドリブル突破でチャンスを演出しますがシュートにつながりません。なかなか決定機を作れないまま後半へ。サイドから攻め込まれると一瞬の隙を突かれ0対1で日本が初戦を落とします。

 

2戦目は世界1位のアメリカ。ロングボールからスピードに乗った相手に一気に攻め込まれ先制を許します。

 

中澤さん:これは速かったですね本当に。これが世界ですよね。

 

 

それでもこの日の日本は世界の女王相手に食い下がります。藤野あおば選手のシュートは惜しくも枠外。さらにクロスボールから長谷川唯選手が飛び込みまずが好セーブに阻まれます。日本は再三のチャンスを作りましたがゴールが遠く結果は0対1と連敗です。

 

 

2試合無得点で迎えた最後のカナダ戦。前半26分、清家貴子選手が今大会待望の初ゴール。

 

中澤さん:ディフェンダーの三宅史織選手のパスにフォワードの選手がしっかりと反応して、最後はウイングバックでプレーをしていた清家貴子選手がゴール。日本のよさでもある連動したいい攻撃でした。

 

 

これで終わらなかった日本は左サイドから遠藤純選手が相手の股を抜くドリブルから倒されペナルティーキックを獲得。これを決めた日本は追加点をあげます。さらに後半、スルーパスで飛び出したのはまたも遠藤選手でした。豪快なシュートで勝負あり。結果は3対0と東京オリンピック金メダルの相手に完勝。1勝2敗で大会を終えました。

 

 

豊原キャスター:藤川さんは今アメリカにいらっしゃいますがアメリカでは女子サッカーの盛り上がりを肌で感じるところはありますか?

 

藤川球児さん:あります。昨日もエレベーターで女子サッカーの子どもたちのお父さんとお母さんが「ラスベガスから車を5時間運転して子供たちを連れてきたよ」と話をしていて、大会が盛んに行われているんですよ。だからその環境づくりが日本でももっともっと盛んになれば、世界に通用する選手たちがまた生まれると思いますね。

 

 

豊原キャスター:ありがとうございます。中澤さんは今回の大会をどのように総括されますか?

 

中澤さん:結果だけ見ますと完封負けが2試合、昨年11月から無得点での連敗が続いていたので「大丈夫なのか」という声もありますが、僕はワールドカップに向けてかなり収穫の多い大会だったと思いますね。そこでその辺りについてチームを率いる池田太監督はどう考えているのか。帰国早々に直撃してきました。

”組織的な守備”の手応えと”決定力不足”の課題

 

池田太監督:1戦より2戦、そして3戦目と積み上がっている実感もありますし、選手もいい経験ができたんじゃないかと思っています。

 

池田監督が積み上がったと感じたのは、以前ボナライズでも解説した組織的な守備。強力な攻撃力を誇るブラジルを相手に日本は最前線ではあえてプレスをかけず、相手がサイドから前の選手にパスを出した瞬間、連動した動きから数的優位を作りボールを奪いました。どこでボールを奪うのか、お互いにイメージをしっかり共有することができていました。

 

中澤さん:連動した守備が非常によかったと思うのですが、今回ボードを用意したのでこのボードを使って説明していただけますか。

 

 

池田監督:前からプレスにいくと大きなスペースができてしまうので、よりコンパクトにして相手選手に対してボランチの長谷川選手も2人見れるし三宅選手も2人見れる。

 

 

一方の攻撃面。無得点の試合が続く中、アメリカ戦では決定的なチャンスを何度もつくり出しました。日本はアメリカの3倍のシュートを打ちましたが最後までゴールネットを揺らすことができませんでした。

 

池田監督:シュートチャンスも多く作れました。だからこそ0-1で敗戦したというのがはがゆかったですね。

 

 

中澤さん:強いチームと戦った時に決めるべきときに決められないというのは男女ともにあると思うんですけど。

 

池田監督:本当にそれはサッカーの一番大事なところですし難しいところだと思う。(中澤さんは)どう考えますか?

 

中澤さん:中村俊輔とかうまい選手に聞くと、やっぱりしっかりとボールに力を加えて、ふだんからイメージをもって、実戦のようにリアリティーを持ってやらなきゃ駄目だと。日本の選手はシュート練習をするけど、中村俊輔とか遠藤保仁はリアリティーを出すっていうことに関して彼らはすごかったなと思いました。

 

そしてついにゴールをこじあけたカナダ戦の1点目。得点に絡んだ3人の選手たちが口々に語ったのはお互いのあうんの呼吸です。

 

 

三宅史織選手:練習から裏を狙っていましたし、そこにうまく飛び出してくれて (パスを)出しました。

 

小林里歌子選手:チームとして1つの攻撃の形として共有していることだったので、イメージどおりかなと思います。

 

清家貴子選手:サイドの選手ももっと縦にいくプレーが欲しいというのを何人かの選手から聞いていたので、そこは意識して入りました。

 

3人の連動によって生まれたゴール。それはかつての強いなでしこをほうふつとさせるものでした。

 

池田監督:ここがチャンスだと思ってアクションの強度をもってスプリントできて、ゴール前に入っていけるか、よい距離感でボールを動かしてゴールに向かっていく、そういったところは本当に通用する部分だと思いましたし、選手も自信を持てたのではないかなと思います。

 

 

今回日本では中継されなかった大会ですがアメリカ戦では2万5000人の観客を動員。その差が浮き彫りになりました。

 

池田監督:選手は多くの人、サポーターやお客さんの前でプレーすることが喜びでもありますし、責任も生まれてくると思います。より多くの人達になでしこの戦いを見てもらいたいと思いますし、また我々も心を動かすようなプレーを見せていけたらいいなと思っています。

 

 

中川キャスター:日本にとって収穫と課題が見えた大会だったということですが、ここからワールドカップまでチームにはどんなことが求められますか?

 

中澤さん:池田監督は大会を通して目指すサッカーが7割ほどできたと話していましたし、選手たちは自分たちの実力はまだまだと謙虚に課題を口にしていたので、長所を伸ばしてもらえればなと思いますね。

 

豊原キャスター:そのなでしこジャパンですが、サッカー女子ワールドカップ1次リーグでは、世界81位のザンビア、37位のコスタリカ、7位のスペインと対戦します。

 

中澤さん:十分期待しかないでしょう。ということで2011年以来の優勝を目指して頑張ってもらいたいと思います。

 

なでしこジャパン前回の記事はこちら'なでしこジャパン

関連キーワード

関連特集記事