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特集 カーリング日本選手権2023見どころは?【女子】

カーリング 2023年1月28日(土) 午後3:38

カーリング日本選手権(2023年1月29日開幕)の解説を担当する市川美余さんと谷田康真さんに大会の見どころをたっぷりと伺いました。(聞き手:田中秀樹アナウンサー 1月20日にオンライン形式で実施)

 

田中:進行を担当するアナウンサーの田中です。よろしくお願いします。谷田さんは、テレビでは初めてになりますかね?解説は。

 

谷田:初めてになります。外から日本選手権を見るというのがすごく久しぶりというかほぼ初めてみたいな感じなので、すごく楽しみです。

 

田中:市川さん、谷田さんにアドバイス、何かありますか。

 

市川:なんにもないです(笑)。

 

谷田:いや、くださいよ(笑)。

大会全体の見どころは?

田中:今大会は去年が5月という異例の時期の日本選手権で、日本選手権を2大会連続同じ会場でやるのはかなり久しぶりのようですが、今回の日本選手権。どういうところが楽しみですか。

 

市川:そうですね。やっぱりロコ・ソラーレが、パンコンチネンタル選手権(※国際カーリング連盟主催の大会。アジア太平洋地域とアメリカ大陸の国と地域が出場)だったりグランドスラムのカナディアン・オープン優勝を経験してきてるので、今までにないぐらいにカーリング熱が続いた年という気はしています。ですので、見てくださる方たちも、どんどん目が肥えてきた中での日本選手権なので、そういう意味ではロコ・ソラーレの試合ももちろん必見ですし、じゃあ日本にはどんなチームがいるんだろうと、改めて見てもらえる場として、私はすごく楽しみだと思っています。

 

谷田:僕は個人的に、去年まで日本選手権もちろん出場していましたし、プレーヤー目線の話で入ると、昨年は、少し変則的なシーズンで5月に開催というので、やっぱり例年にない調整を強いられることが多かったと思うんですね。今シーズンに関しては、1月開催で、シーズン真っただ中に、本当に全てのチームがいい大会に出たり、いい練習シーズンを送って開催される日本選手権なので、そういった意味では、本当に昨年よりもさらに技術力の高いというか、パフォーマンスの高い大会になるんじゃないかなと思って楽しみにしています。

女子の注目点

田中:では女子について伺います。市川さんからも今話がありましたけれども、何と言っても先日入ってきたビッグニュース。グランドスラムのカナディアン・オープン(※1月15日まで開催)でロコ・ソラーレがアジア勢として初めて優勝ということで、これはどれぐらいすごいことなんですか。

 

ロコ・ソラーレ(左から)石崎琴美、吉田夕梨花、鈴木夕湖、吉田知那美、藤澤五月

市川:グランドスラムというと、有名なのはやっぱりテニスのグランドスラムで、そこで優勝するのと同じぐらいのビッグニュースだと思っています。オリンピックの銀メダルにも匹敵するようなものだなという印象ですね。

 

谷田:正直僕もすごすぎて、いい答えというか、例えが見当たらないんですけども、男子の話でいうと、グランドスラムに出て予選突破したチームが、まだ僕らがいた時代のコンサドーレしかいないぐらい。男子ではほんとに本当に遠い世界の話で、そこで勝つというのは、現実なのに信じられない。ほんとに。不思議な感情です。

 

田中:オリンピックだと1国1代表、1チームが出場しますが、グランドスラムは、トップオブトップで本当に上位のチームしか出てこないという意味で言うと、もしかするとオリンピックよりも勝つのが難しいと言っていいんでしょうか?

 

谷田:そうですね。いや、オリンピックより間違いなく難しいと思います。ただ、オリンピックというのはやっぱり4年に1回その場所でしか経験できないんですが、ロコ・ソラーレはもう20回ぐらいグランドスラムでは戦っているみたいな形だったので、そういった意味では、勝つのはもうそろそろ必然だったのかなとは思いますね。

 

田中:やっぱり連覇を狙うロコ・ソラーレが今回も中心になってくるんでしょうか。

 

市川:そうですね。ここ数年、連覇しているチームというのはないので、今回ロコ・ソラーレが連覇できるかというのが一番の焦点なのかもという気はしています。ツアーに出ていると毎週毎週大会に出ていることが多くなって、フォームの調整だとか、それこそ体調面の調整というのが、どんどん難しくなっていく。移動だったり時差ぼけの疲れなんかもあって。今回グランドスラム帰りじゃないですか。どれだけ調整できているのかなというのは、心配はしています。

 

谷田:僕もやっぱり(グランドスラム帰りが)どう出るかなって全く同じ考えです。間違いなくいい試合感をもって大会には臨めるんですけども、今市川さんがおっしゃってたように、時差ぼけというのは、結構大きいなと個人的に思ってます。やっぱりどんなにいい経験というか、今まですごい経験をしてきてる人でも、時差ボケを完全に戻すのに1週間以上かかると、僕の経験上思っています。そうなると、日本選手権までどんなに準備しても10日とか、2週間ないぐらいの時間だと思うんですが、どれくらい、いい調整ができるのかというのが、どう出るのかなというところです。

 

田中:そのロコ・ソラーレを脅かす存在としては、去年準優勝、世界選手権に出場した中部電力になると思うんですが、去年の秋のカナダ遠征で、5大会でファイナルまでいって、ランク的にもグランドスラムまであと一歩ぐらいまでいったこともありました。谷田さんは、ミックスダブルスのパートナー松村千秋選手から情報は聞いたりしてましたか。

 

中部電力(左から)北澤育恵、中嶋星奈、鈴木みのり、石郷岡葉純、松村千秋

谷田:はい。情報も聞いていましたし、チームの状態を見守っている立場での話も、少し聞かせていただきましたが、チームすごく調子よさそうですし、今年ツアー10大会出て、2大会優勝しているんですね。そのうち優勝した大会の中で一番レベルの高い大会が、ツアー大会では上位の大会。軽井沢国際よりも全然ランクが上の大会なんですけど。そこで勝っているというのを見ると、本当に中部電力、今年かなり調子よくシーズン過ごしてるんじゃないかなと思っています。

 

田中:そうですか。市川さんは中部電力の強さはどう見ていますか。

 

市川:やっぱり今回ツアーでいい成績を残してきているので、経験値をかなり積めたというところが、1つ強みになるかなと思っています。ただ一方でちょっと不安要素として、両角(友佑選手・TM軽井沢)コーチが現役復帰をしているので、その兼ね合いがどううまく転がるのかなというのはあります。

 

田中:なるほど。この2チームと、あとはどういうチームの名前が挙がるでしょうか。去年は、新生北海道銀行が上位に食い込みました。北海道銀行は軽井沢国際選手権(※12月、ワールドツアーの一つ)ではロコ・ソラーレに初めて勝ちましたが、他に何か注目になりそうなチームはありますか。

 

北海道銀行(左から)田畑百葉、仁平美来、中島未琴、伊藤彩未、山本冴

市川:私もその次に来るのは北海道銀行。ワイルドカードでロコ・ステラ(LS北見)が上がってきたら、どちらかと思っています。北海道銀行は、やっぱり今年ツアーに出たりして、今までにない経験を積めてきているところに、世界ジュニア選手権のチャンピオンを経験した山本冴選手が今回入ったことによるケミストリーみたいなのが楽しみですね。

 

田中:谷田さんは注目しているチームはありますか。

 

谷田:市川さんが今言ったように、3番手に来るのは北海道銀行なのかなと僕も考えていますけれども、それ以外にちょっと個人的に注目しているのは、東京都協会から小穴桃里選手が出場してくるという点です。出産明けで休んでたのに、いきなり日本選手権に出場してくるというのは、個人的には注目してみています。

 

市川:フォルティウスが不参加というのは、楽しみが1つ減りましたが、逆にその他のチームは、このチャンスを絶対に活かしたいと思って来ているはずです。去年は北海道銀行がグッと上がってきた。今年は他のチームが、どこまで来るのかなというところですね。

 

谷田:かつての4強(ロコ・ソラーレ、中部電力、フォルティウス、富士急)のうちの2チームが出ないというところで、カーリングも本当に新しい時代に入ってきたのかなと感じていますし。特に去年4強に割って入った北海道銀行なども台頭しているところを見ると、若い世代、ちょっと一世代変わってきたかなという印象はありますね。またロコ・ステラ(※LS北見、ロコ・ソラーレの育成チーム)はホームリンクが同じなのでよく練習風景見ていますけど、本当に非常に練習してますし、ワイルドカード勝ち上がって日本選手権出てくれば、台風の目になる可能性もあるのかなと思って見てます。

 

LS北見(左から)松澤弥子、佐々木穂香、本橋麻里、林未来、斎藤茉由美

田中:なるほど、なるほど。分かりました。では優勝候補でロコ・ソラーレ、さらに中部電力いて、北海道銀行。若いチームも侮れないぞというまとめでよろしいでしょうか。

 

市川SC軽井沢クラブは、リザーブに世界ジュニア選手権(※去年SC軽井沢クラブジュニアが優勝)で活躍した上野美優選手がいて、彼女は中電の選手たちともチームを組んだりもしていたり、このSC軽井沢クラブでの経歴が非常に長い選手ですので、どのポジションで試合に出る機会があるのか、そのあたりはちょっと注目ポイントです。

 

SC軽井沢クラブ(左から)金井亜翠香、江並杏実、西室淳子、両川萌音、上野美優

田中:なるほど。その世界ジュニア組も上野選手や山本冴選手が、それぞれSC軽井沢クラブや北海道銀行で出てきたら、注目ですね。

 

【後編】はこちらから!

 

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