NHK sports

特集 北海道銀行に注目!若き才能集まるチームでカーリング日本選手権に挑む

カーリング 2023年1月26日(木) 午後7:15

ことしもカーリング日本選手権の季節がやってきました。女子では、北京オリンピックで銀メダルを獲得したロコ・ソラーレが今月(1月)世界ツアーの最高峰、「グランドスラム」で日本勢として初優勝。新たな歴史を作りました。「ロコ・ソラーレの連覇なるか?誰が阻むのか?」が一つの構図となりそうな今回、注目は去年3位の北海道銀行リラーズ。去年12月に行われた国際大会では、公式戦で初めてロコ・ソラーレから勝利を挙げました。なんと、メンバー5人の平均年齢は20.2歳(2023年1月現在)という若いチームです。

ロコ・ソラーレにも国際大会で勝利 目標はオリンピック金メダル!

北海道銀行リラーズはおととし12月に結成。直後に始まった予選を勝ち抜き、去年5月に行われた日本選手権に出場。ジュニア時代から好成績を収めていたメンバーを擁し、プレーが注目されていましたが、予選リーグを堂々の2位で通過。プレーオフではロコ・ソラーレ、中部電力に敗れたものの、見事3位の成績を収めました。

 

北海道銀行リラーズ

若く、伸び盛りのメンバー5人の平均年齢は20.2歳。2020年のユースオリンピックで銀メダルを獲得するなど、国際大会の経験を持つ田畑百葉選手(20歳)がスキップ。仁平美来選手(20歳)、中島未琴選手(19歳)、伊藤彩未選手(21歳)の4人で前回大会を戦いました。去年11月にはスキップとして世界ジュニア選手権の優勝経験を持つ山本冴選手(21歳)が新加入。まだ5人そろっての練習はそれほどできていないといいますが、本当にこれからが楽しみなチームです。

 

軽井沢国際カーリング選手権大会1次リーグ 田畑選手のショット(2022年12月)

結成2シーズン目となる今季は、去年12月に長野県軽井沢町で行われた国際大会でロコ・ソラーレに公式戦で初めて勝利。若いチームにとって、自信を得た大会となりました。

 

インタビューに答える田畑選手

スキップ・田畑 百葉 選手

メダリストの皆さん相手に勝てたっていうところでは自分たちの自信になりましたし、自信にしていいのかなと思っていて。ただ、何回も戦っているうちの1回勝てただけといえばだけなので。3年後、そして7年後のオリンピックでしっかりと金メダルを取りにいける位置に(実力を)持っていくっていうのが今の私たちの目標になっています。

ルールは知らなかった?ユニークな選手の経歴

彼女たちは、北海道の期待が詰まったチームの一つです。実は5人のうち、田畑選手、仁平選手、中島選手は、2014年から北海道が行っている「北海道タレントアスリート発掘・育成事業」の出身。比較的競技人口の少ないカーリング・バイアスロン・スケルトンの3競技で有能な選手を発掘しようと、それまでの競技経験に関係なく、運動能力の高さや適性に応じて選ばれた選手です。合格後は、競技はもちろん、インタビューの研修や調理実習など、さまざまなカリキュラムを経て、最長10年の期間で選手を育てます。元々の運動能力が折り紙付きのチームなのです。

 

スキップの田畑選手は…

 

元日本代表スキップの敦賀信人さん(左)から指導を受ける発掘・育成事業時代の田畑選手(中央)と中島選手

田畑 百葉 選手

そのときちょうど陸上をやっていて。両親から勧めもあってじゃあ受けてみようかっていうところで。カーリングについてはオリンピックのイメージはあったんですけど、じゃあどういう競技かって言われたら分からなかったですし、それくらいでした。でもオリンピックを目指せる環境があるっていうところが私にとってはすごく、心が動いた。

サードの仁平美来選手の場合は…。

 

インタビューに答える仁平選手

仁平 美来 選手

私はもともと空手を幼稚園から中学3年まで10年間やっていて、8回全国大会に出場しました。

空手の突きのポーズをとる仁平選手(左)空手をやっていた当時(右)

仁平 美来 選手

最初は空手をメインにやってきた部分が多くて。空手はほぼ毎日だけどカーリングは週1、2回という状況が続いていたんですけれども。高校に進学するタイミングでカーリングにするか空手にするかどっちの道に進むかっていうのを、選択する時期が来て。カーリングのほうが自分の中で可能性を感じることができていたので、その時にやっぱりオリンピックをしっかり目指していきたいと考えたのでカーリングを選びました。

空手で培った力が、カーリングにも活きているといいます。

 

仁平選手のショット練習

仁平 美来 選手

カーリングは3時間くらいの長い試合なんですけど、私がやっていた空手は1分半とか2分ぐらいで勝負がついてしまう。そういうプレッシャーとか緊張は空手で慣れていたので、カーリングに集中するようになってからも、プレッシャーには強く、試合に臨めているのかなって感じています。

田畑選手、仁平選手、中島選手の3人は2014年に始まったアスリート発掘・育成事業の1期生。以来、一緒にプレーをして9シーズン目になります。

 

(左から)発掘・育成事業時代の仁平選手、田畑選手、中島選手(2015年11月)

田畑 百葉 選手

こうやって3人で一緒にやってくることができたというのは、自分にとっても本当にプラスでしかないと思っているので。本当に2人には日々感謝してやっているんですけど。それを(試合で)私の最後のショットでみんなに返すっていう、いい循環になるようにやっていきたいと思っています。

より力強く!よりパワフルに!成果は日本選手権で

チームが目指すのは、「力強く、パワフルなチーム」。世界一を目指すうえで、体の強さ、プレーの力強さが絶対に欠かせないという思いからです。こだわっているのが、筋力トレーニング。

 

 

「皆さんがイメージしているカーリング選手のトレーニングとは違うかもしれない」(田畑選手)というベンチプレスやスクワットなどでのパワーアップに注力。確実に1年前よりも数値は上がってきていて、相手のストーンをはじき出すテイクアウトのショットや、氷の上を掃くスイープの力につながっているといいます。

田畑 百葉 選手

筋トレによって、頼れるスイーパーがうちのチームにはいるので。自分のショットがあまりうまくいかなくても、スイーパーがしっかりと持っていってくれる。その安心感はすごく大きいです。


練習で田畑選手のショットをスイープ。(左から)中島選手、田畑選手、伊藤選手

今シーズンはチームとして初の海外遠征も行うなど経験を積み、戦術面はもちろん、コミュニケーションの仕方もより良い方法はないのかなど、積み上げることができたと話す田畑選手。チームの最終目標はオリンピックの金メダル。ロコ・ソラーレをはじめ国際大会の経験がある選手たちと戦う日本選手権がその大きな一歩となるか、注目です。

 

インタビューに答える田畑選手

田畑 百葉 選手

去年の3位っていう結果を超えるためにやって来たので。気持ちだけは絶対に負けないように、自分も堂々とプレーしたいなっていうふうに思いますし。でもやっぱり相手から学べることってたくさんあると思っていて。去年の日本選手権でもさまざまなことを学んで、自分たちも「こうしたほうがいいんじゃないか」っていうところもあったので。気持ちでは負けないように、自分たちがやるべきことをしっかりと積み重ねて、1つでも多く勝てるようにやっていきたいなと思います。

 

この記事を書いた人

西阪 太志 アナウンサー

西阪 太志 アナウンサー

平成22年NHK入局

鳥取・岐阜・札幌・釧路局を経て「NHK NEWSおはよう日本」のスポーツキャスターを担当。学生時代に経験したスポーツは、サッカー・アメリカンフットボール。

 

関連キーワード

関連特集記事