特集 岡村隆史さん “いまこそ語ろうブレイキン!” スペシャルインタビュー

岡村隆史さんは小学6年生の頃、大阪・梅田で出会ったブレイキンに心奪われ練習に明け暮れました。中学生の時には伝説的ダンスグループ、エンジェルダストブレイカーズでBBOYとして活躍。そんな岡村さんが語るブレイキンの魅力や驚きのエピソードとは。
衝撃的だったブレイキンとの出会い
小学6年から中学に上がる頃、日曜日に大阪・梅田でジャッキー・チェンの映画を見終わった帰りに歩行者天国があって、そこでなんかすっごい体をぐにゃぐにゃして、後ろ向きに滑っていってる人がいて、とにかく面白い動きをしている人がいたんですよ。ダンボールの上でくるくるって回り出したり。「うわ!!これなんや?」と思って。で、次の日曜日もまたやってんちゃうか?と思って見に行ったら、またやってたんですよ(笑)。そこからいろいろ調べ出したら、そういうのをブレイクダンスって言うって雑誌で見て。そこからもう毎週、その歩行者天国に見に行くようになったんですよ。
自分でもスーパーで「ダンボールください!」って言って、「それで何すんの」って言われて「いや、ちょっと使うんです」って。ちょうど僕の環境も良かった。家の前が空き地やったんですよ。ちょっと芝生があったんで段ボールを敷いて。ぐにゃぐにゃするやつはやり方がわからなかったんで、背中やったら回れるかなって、見よう見まねでばーってやり出したのが最初ですね。
夢中で練習し得意技もマスター
歩行者天国でやってた人たちは高校生ぐらいだったと思います。ある日、そのお兄さんに「きみ毎週来てるやんなあ。踊り好きなん?」って言われて「好きです」って言ったら、「ほな、ちょっとやってみたら」ってなって。それまでにめちゃくちゃ練習してたんで、ぐりぐりって回ったもんやから、「上手やん、こんど一緒にやろうや」ってなった。それが楽しくて、毎日次の技、次の技って練習していって。運が良かったことに僕、幼稚園から機械体操を習ってたんですよ。なのでもうバク転バク宙もできましたし、なんか練習したらすぐできて。
これ自分で言うのもあれですけど、たぶん当時の※ノーハンドのウインドミルは関西で一番速かったはずです。その時言われましたもん。「どうやって回ってんの?」って。僕はクラブに入ってなかったので、学校が終わったら体育館で練習して、夕方の4時5時ぐらいまでは、見回りの先生がけえへんまでやってましたね。帰ってからも家の前の空き地でダンボール敷いて毎日練習してました。
※ノーハンドのウインドミル:背中を中心にして、手を使わずに脚の遠心力を利用して回転する高難度の技
コンビ名も技の名前だった!?
とにかく自分が練習すればするほど、いろいろできてくるようになるんですよ。やっぱり何もせえへんかったらできないんですけど。自分の思い描いたように決まった時、技やらそういうのを自分のイメージで、なんとなくこんな感じでいこうと思ってても、それ以上に体が勝手に動いたりとか、きれいにフリーズが決まった時は「うわーっ!!」ってなるんですよね。なんか変なテンションの上がり方というか「決まった!」っていう。ブレイキンはそういう時があるんですよね。特にうれしかったのはパワームーブっていうのかな?今で言うと。僕は体操やってたので、ウインドミルから※トーマス、トーマスからウインドミルっていう、あの両手回りからトーマスを入れるっていうのは、当時はすごかったというか「あそこからそんなん入るねんや」っていう、それが決まる時ですかね。
あと片手で逆立ちしながら回る技、 1990(ナインティーン・ナインティ)でしたっけ?その当時はそれが最高峰って言われてて。それも練習してましたけど、たまに1周半とかうまくいって2周回れた時には、みんな「うわー!」なってました。実は僕、そこからコンビ名取ってるんです。技の名前もわかってなくてナインティ・ナインっていうんちゃうんやったっけこの技、って思って。実はナインティナインっていうコンビ名はそこから取ってるんですよ。間違ってつけてるんですけどね(笑)。
※トーマス:床に両手を交互につき、開脚旋回を行う技
パリオリンピックで新競技に採用
そんなことになると夢にも思ってなかったです。やっぱり今まで見たことがないブレイキンはオリンピックでも衝撃を受けると思いますよ。「これ何?」みたいな。みんな他の競技はどういうものかわかるじゃないですか。例えば体操とか野球とかサッカーとか。でもブレイキンって見た時に、多分パニックなると思います。これは本当に人間が やってることなのか?と。みんなびっくりすると思いますよ。
まずちょっと見て!全日本ブレイキン選手権
全日本ブレイキン選手権は日本のえげつないブレイキンの選手たちがそこに集まるわけです。だからお互いにそこでまたいろんな技やブレイキンの形を見て、またさらにグッと(レベルが)上がると思うんですよね。今まで見たことない、「こんなんあったか!」っていう技が多分出てくると思うんですよ。それがすごい楽しみです。とにかくまず最初ちょっとだけ見てください。そこからたぶんチャンネル変えられんようになるやろうし、「えっ、これ、どうなるの?」っていうことになると思う。
スポーツとかあんまり興味ないっていう人でも、ちょっといっぺん見て欲しいと思います。「これ、どうやったらこんなことができるの」っていう。昔、小さい頃にサーカスとか連れてってもらった時の感覚になるんちゃうかな。スポーツ超えているかも。なんか人間の限界というか、そんな感じが見れるんじゃないかなって思います。