ストーリー陸上

相澤晃 「学生最強ランナー」 が福島のたすきに込めた思い

2020-01-30 午後 01:49

1月19日に広島で行われた、第25回都道府県対抗全国男子駅伝。中学生から社会人まで、世代を超えたランナーが都道府県のたすきをつなぎました。前回大会優勝の福島チームでアンカーを務めたのが、「学生最強ランナー」との呼び声も高い東洋大学4年・相澤晃選手。この全国男子駅伝では、故郷の後輩たちに伝えたいメッセージがありました。

熱烈応援!福島チーム

大会3日前の広島駅。到着した福島チームを、そろいのオレンジのジャンパーを着た面々が迎えていた。彼らは広島在住の福島県出身者たちで作る「県人会」のメンバー。男子駅伝のために広島にやってくる故郷・福島の若者たちを、毎年熱い応援でサポートしてきた。前回大会で念願の初優勝を果たした福島。連覇を願う県人会の人たちが期待をかけるのが、去年初優勝のゴールテープを切った大学生だ。

「相澤君が一番のエース!晃!頑張るんよ!2連覇よ!」

 

今年の箱根駅伝、2区区間賞を獲得した相澤

 

東洋大4年の相澤晃。今シーズン、大学三大駅伝と呼ばれる出雲駅伝、全日本大学駅伝、そして正月の箱根駅伝すべてのレースで区間賞を獲得。特に箱根では各校のエースが集まる「花の2区」で11年ぶりに区間記録を更新し、大会の最優秀選手にも輝いた。「学生最強」といわれるランナーだ。

競技人生を変えた全国男子駅伝

相澤は1997年福島県須賀川市生まれ。学法石川高校から東洋大に進学し、大学陸上界で華々しい実績を残してきた。彼にとって、この男子駅伝が陸上人生のターニングポイントだった。

 

 

「この駅伝が陸上を続けるきっかけのひとつになったかなと思います。中学・高校・社会人までがたすきをつなぐ、駅伝の中でも貴重な大会のひとつですから。」

 

相澤が初めて全国男子駅伝に出場したのは、中学3年生だった第18回大会。中学生のエースが集まる2区で起用された。この時、次の3区を走る大学生から、レース前にある言葉をかけられたのだと言う。

「笑顔でタスキを持ってきてくれよ。」

声をかけたのは、駅伝の強豪・駒沢大で主将も務めた撹上宏光。相澤にとっては憧れの存在だった。この大会、福島は1区の高校生が出遅れ、相澤がたすきを受け取ったのは40位。それでも撹上からの言葉を胸に、前を走るランナーをひとりひとり抜いていった。相澤は区間9位の走りで5人を抜き、撹上に笑顔でたすきを渡した。この駅伝で学んだことが、相澤が陸上を続ける上での「モットー」になっている。

 

「順位は前の方じゃなかったんですけど、必死に前を追いかけました。最後は笑顔でたすきを渡せたかなと思います。陸上は笑顔で走ることが大切。今でも自分は、笑顔で走ることは大切な事だと思っています。」

 

撹上(左)へ笑顔でたすきを渡した相澤(右)

後輩に伝える思い

福島の初優勝を決めるゴールテープを切った前回大会に続き、相澤が任されたのはアンカーの7区。距離は全区間最長の13キロ。各チーム、大学・社会人のエースが顔をそろえる区間だ。名実ともにチームを引っ張る立場になった相澤。かつて自分が憧れた撹上に言葉をかけられたように、故郷の後輩たちに思いを伝えようとしていた。

 

 

大会前日には、チームの中学生たちと積極的にコミュニケーション。相澤の前の6区を走る中学生の大橋清陽からは、「6区は最初に飛ばしちゃうと後半がきつくなると聞いたんですけど…」と初めて走るレースへのアドバイスを求められた。

相澤は答える。

 

「積極的に自分が満足できる走りをすればいいと思うよ。最後は笑顔で。」

出遅れても、最後は笑顔で

1月19日12時30分、広島・平和公園前。25回目の全国男子駅伝の号砲が鳴った。

 

 

今大会は、社会人から中学生まで多くの選手がマラソンなどで好記録を生み出している「厚底シューズ」を使用。1区から6人が区間記録を更新するハイペースな展開になった。その中で、福島は1区で41位と出遅れてしまう。史上まれにみる高速レース、順位変動も目まぐるしい中で、福島チームはなかなか浮上のきっかけをつかめない。しかし相澤の学法石川高校の後輩、5区の松山和希が区間賞の力走を見せ、27位で6区の中学生・大橋へ。前日に相澤からアドバイスを受けた大橋も、1人を抜いて第6中継所へ。そして、相澤の姿が見えると右手を掲げガッツポーズ。それを見て、相澤も笑顔でたすきを受け取った。

 

 

「前は結構人数がいるけど、1人ずつ抜いていこう。」

相澤は前評判通りのスピードで、次々と選手を抜き去っていく。最終的に12人を抜き、14位にチームを押し上げ笑顔でフィニッシュした。相澤は区間記録まであと1秒に迫る好記録で、大会の優秀選手に輝いた。

 

 

笑顔でタスキを渡す。そして陸上を楽しむ。

男子駅伝で学んだモットーの通りに、駅伝シーズンを締めくくった相澤。レース後、タスキをつないだ後輩たちへのメッセージを求められ、次のように語った。

 

「順位こそ悪かったが、これも陸上人生の通過点。今回の経験を次に生かしてくれれば。この大会は自分を成長させてくれた大会。実業団に入っても、また福島の力になれるように走りたい。」


相澤はこの春大学卒業。実業団の強豪・旭化成に進み、まずはトラック種目でオリンピック出場を目指す。


 

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