特集 塩見泰隆 日本シリーズの悔しさを胸に 代表への思いも語る

セ・リーグ連覇を果たしたヤクルトで、走攻守に欠かせない存在だったのがチームのリードオフマン、塩見泰隆選手です。シーズンを終えた今、悔しさを胸に来年3月を見据えています。
“歯がゆい思い” 走攻守に活躍光るも
ヤクルト対巨人24回戦 この試合2本目のホームランを打つ(9月13日)
29歳の塩見選手は今シーズン130試合に出場し主に1番を任されました。打率2割7分6厘、ホームラン16本、54打点をマーク。持ち味の俊足を生かして24個の盗塁も決めました。ホームランと盗塁は5年目でキャリアハイ。守りでは広い守備範囲を持ち味に外野の要のセンターを務め、走攻守での活躍が光りました。それでも塩見選手は個人的にもチームとしても納得がいかなかった1年だったと振り返ります。
塩見選手
チームとしてはセ・リーグを連覇した。でも日本一を2年連続で取れなかった悔しい1年だと思う。個人的にはもうちょっとできた。歯がゆいシーズンだった。
コロナのせいにしたくない
2年連続の日本一を逃したこと。そして個人成績では7月に新型コロナウイルスに感染したあと、打撃不振に陥り、目標としていた打率3割、ホームラン30本、盗塁30個のトリプルスリー達成をできなかったことが悔しさの理由です。
塩見選手
コロナになったのは僕だけでなく、ほかにもいて成績を維持した人もいる。コロナのせいにしたらよくない。悪くなった時に立て直す技術がなかったと感じた。
日本シリーズで“ことし1年のプレーが…”
塩見選手にとって忘れられないのが2年連続で同じ顔合わせとなったオリックスとの日本シリーズです。第1戦の第1打席。先頭打者の塩見選手は2年連続で4冠に輝いたオリックスの先発・山本由伸投手の初球、155キロのストレートを捉えて塁に出ると盗塁も成功。5番・オスナ選手のタイムリーツーベースで先制のホームを踏みました。さらに同点の3回には山本投手から勝ち越しのソロホームラン。大事な初戦の勝利を引き寄せました。
日本シリーズ第1戦 先頭打者として1回にヒットを打つ(10月22日)
塩見選手
1番バッターにはその日の流れを左右する大事な役割がある。球界を代表するピッチャーの初球のストレートをはじき返せたことでチームに勢いを作れた。
ところがチームは2勝1引き分けから3連敗を喫しあとがなくなった第7戦。この試合も5回に0対2とされ、なおもツーアウト満塁のピンチ。ここでオリックスの5番、杉本裕太郎選手の打球は左中間に飛びました。塩見選手は快足を飛ばし落下地点に追いついたかと思われましたが、まさかの後逸。これが走者一掃のタイムリーエラーとなってさらに3点を失いました。この失点が響いて試合に敗れ2年連続の日本一を逃しました。
日本シリーズ第7戦 5回の守備で打球を後逸(2022年10月30日)
塩見選手
ことし一番印象に残っているシーンがあのエラー。「ことし1年はあのプレーの年だった」というプレーだった。ボールが無回転で揺れ、ボールまで全力疾走すると目線もぶれた。打球に追いつけたところで気持ちも緩んだ。僕の技術不足。どんなプレーでもしっかり集中しないといけないことが再確認させられた。
日本を背負う重みを知った強化試合
シーズンを終えても1週間ほど「悔しさを引きずった」という塩見選手。再び前を向くきっかけとなったのが日本代表への初選出です。来年3月のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックに向けた先月のオーストラリアとの強化試合第2戦で4打数3安打2打点と猛アピール。
オーストラリアとの強化試合第2戦で活躍した(2022年11月10日)
独特の緊張感を味わうとともに、シーズン中はなかなか接することができない他球団の選手とも野球への思いを語り合い、レベルアップに向けて貴重な機会となりました。
塩見選手
一流の選手の技術を盗めるいい機会だなと思っていたが、そうではなくて強化試合でもすごくピリピリしていた。試合になると目の色が変わる。ユニフォームを着てグラウンドに立った時に「これが日本を背負う重みなんだな」と。今まで感じたことがない重みを感じた。
悔しい思いをバネにこのオフでもう一回り成長し、来年3月のWBCの代表入りを目指します。
塩見選手
代表に入れるなら光栄だし入りたい。選ばれるならしっかりやらないといけない。まずは自分のレベルアップをしてキャンプインし、WBCの代表に選ばれたならまたギアを1つあげて自分のやるべきことをやっていきたい。