特集 貴景勝~大関の意地を見せられるか~

「集中してやるだけ」
初日白星スタートを切った大関・貴景勝はこのことばを繰り返した。
横綱・照ノ富士の休場で番付最高位で臨むことになった九州場所。
ひたすらに自分の相撲を貫き、見据えるのは優勝のみだ。
貴景勝は7月の名古屋場所は11勝。
9月の秋場所は10勝と2場所連続でふた桁勝利を挙げた。
決して悪い成績ではないがこの2場所は平幕が連続で優勝。
貴景勝は優勝争いを引っ張る存在とまでは言えなかった。
先場所、千秋楽の取組後に大関の責任を果たせたかと聞かれ、「まったく思っていない」と答えた。
さらに「勉強するところだらけだった。まだまだ強くならないといけない」と九州場所に臨む決意を示した。
初日のきょうは結びの一番で高校の先輩の小結・大栄翔と対戦した。
立ち合いから突いて出た貴景勝。
大栄翔をいなして体勢を崩そうとしたが、その動きに対応した大栄翔がはたきにかかった。
貴景勝はそこで崩れず、圧力をかけて一気に押し出し快勝した。
ここ3場所は初日黒星と出だしでつまずくケースが多かったが、九州場所は順調な立ち上がりとなった。
貴景勝は「自分の相撲に集中するしかない。あしたからも集中してやるだけ」と冷静な相撲と同様、落ち着いて振り返った。
初日の相撲内容について日本相撲協会の八角理事長は「圧力があった。いなしに来たところをうまくついていった」と評価。
「大関として必死な姿を見せてほしい」とさらなる奮起に期待を寄せた。
貴景勝が過去に幕内で優勝したのはおととしの11月場所と4年前の九州場所の2回。
序ノ口や十両でも九州場所で優勝している。
優勝賜杯を受け取る貴景勝(2020年の11月場所)
場所前「大関には優勝しかない。絶対優勝したいという気持ちで毎日やりきる。それでだめなら弱いということ」と話していた貴景勝。
3回目の優勝に向け、大関の意地を見せられるか。
15日間の相撲に注目したい。
この記事を書いた人

舟木 卓也 記者
平成25年NHK入局。令和2年秋からスポーツニュース部。
プロ野球(ロッテ)担当を経て、現在は大相撲や柔道など格闘技担当。