ストーリーパラスポーツ

「明るく笑顔で楽しんで」パラ競泳 大会2冠の19歳 東海林大

2018-09-29 午前 11:20

横浜市で開かれたジャパンパラ大会は、最終日の24日、19歳の東海林大選手が、みずからが世界記録を持つ男子100メートルバタフライの知的障害のクラスで優勝し、大会2冠を達成しました。

活躍の裏側には、ある言葉をきっかけにスランプを乗り越え、精神的に成長した姿がありました。

持ち味は「キャッチ」

東海林選手に障害があるとわかったのは4歳のころ。他人とのコミュニケーションが苦手な自閉症と診断されました。

 

「丈夫に育ってほしい」という両親の考えで、幼稚園の時から水泳を始めました。現在も山形市内の実家で暮らし、高齢者福祉施設で働きながら、10年以上通い慣れたスイミングスクールで一般の人と一緒に練習を続けています。

東海林選手の持ち味は「キャッチ」と呼ばれる水をかく動作。ひとかきでしっかり水を捉え、大きな推進力を生み出します。

4年前、知的障害のクラスの大会に出始めると、アジア記録や日本記録を連発。リオデジャネイロパラリンピック出場への期待が一気に高まりました。

プレッシャーに…

しかし知的障害の人は感情のコントロールが苦手と言われています。東海林選手もプレッシャーを感じやすい性格で、周囲の期待が重圧となっていたといいます。

その結果、日本代表の選考会では派遣標準記録に届かず、リオデジャネイロ大会の出場を逃してしまいます。

 

「失った夢を取り戻したい」と2020年の東京パラリンピックを目指し、去年、本格的な練習を始めましたが、記録がなかなか伸びずスランプに陥っていました。

ある言葉をきっかけに

苦しんでいた東海林選手の心を変えたのが、ことし3月に富山県で開かれた合宿。参加していたトレーナーが、東海林選手にある言葉をかけました。

 

それは「明るく笑顔で楽しんで」。

 

東海林選手は「相手やタイムを気にしないことで、むだな力が入らないようになり、とても心強い言葉だった」と振り返ります。

「できたことノート」

楽しんで水泳ができるようにと、父親の勧めでことし4月からつけ始めたのが「できたことノート」です。

 

以前の練習日誌には課題も細かく書いていましたが、「水中で下を向いたほうがスイスイ泳げた」など、練習でうまくいったことだけを書くようにしました。くよくよ考え込まずに平常心でレースに臨めるようになり、笑顔で過ごすことも増えたといいます。

 

その効果はすぐに表れました。ことし6月、イギリスの国際大会で100メートルバタフライの世界新記録を樹立。8月にはオーストラリアのパンパシフィックパラ選手権で200メートル個人メドレーのアジア記録を塗り替えました。

大会2冠で手応え

東海林大選手(中央) ジャパンパラ 水泳男子 100mバタフライ 表彰式 (2018年)

 

今回のジャパンパラ大会では3種目に出場。みずからが世界記録を持つ100メートルバタフライでは記録更新こそならなかったものの、2位の選手を1秒余り離す大会新記録で優勝し、大会2冠を達成。

 

ジャパンパラ 水泳男子 200m自由形 決勝 (2018年)

 

200メートル自由形では、今シーズン世界ランキング2位のオーストラリアの選手にはわずかに及ばず2位でしたが、みずからの日本記録を1秒余り更新し、手応えをつかみました。

 

東海林大選手(左) ジャパンパラ 水泳男子 自由形200m 表彰式 (2018年)

 

東海林選手は大会を振り返って「楽しく前向きにレースに臨むことで、力を出し切ることができた」と笑顔で話していました。

 

レースを楽しむことで重圧をはねのけ、スランプを乗り越えた東海林選手。2年後の東京パラリンピックに向けて、今後の成長に注目が集まります。


※こちらは、2018年9月29日に公開された記事です。内容は公開時のものとなります。

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