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特集 王鵬 光る左からの攻め~元横綱の教えを胸に~

相撲 2022年9月16日(金) 午前1:25

すでに三役以上に勝ちっぱなしがいない大相撲秋場所。こうした中で連日、土俵で元気な姿を見せているのが22歳の王鵬だ。

 

5日目を終えて初日から勝ちっぱなしの平幕3人のうちの1人。幕内で自身初となる初日からの5連勝と勢いに乗っている。

 

今場所の王鵬、光るのが「左のはず押し」から前に出る攻めだ。

 

3日目。三役経験者の竜電との一番。十両時代、一度も勝ったことがない相手が立ち合いから組もうとしてきても、かまわず左のはずを攻めて前へ。土俵下まで押し倒した。

 

4日目。幕内経験の長い隠岐の海を相手に、左のはずと右のおっつけで一気に攻めて押し出した。

 

4日目 隠岐の海との取組

今場所は左がうまく使えている。部屋で前に運ぶ稽古をしっかりできた。今場所は前に出ることしかしていないのではず押しが多くなっている。

大鵬の孫として17歳で角界に入ったときから注目されてきた王鵬。しかし新入幕で挑んだことしの初場所で幕内の壁にぶつかった。勝ち越しまであと1勝としながら11日目から5連敗して負け越した。

 

元気なく引き上げる姿を見て声をかけたのが元横綱・白鵬。いまの宮城野親方だった。

 

“はず押しでいった方がいい”。

 

春場所は十両に番付を落としたが、次の夏場所で再び幕内へ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で思うように出稽古ができなかったが、それでも元横綱の教えを胸に左のはず押しから前に出る相撲を磨いてきた。

 

 

そして7月の名古屋場所。8勝7敗の成績で幕内で初めての勝ち越し。今場所は自己最高位の前頭13枚目に座った。

 

5日目。小兵力士、照強との一番。先場所は3日連続で足取りを決めるなど何を仕掛けてくるかわからない相手だ。立ち合い、低く入ってきても王鵬は左を使いながら落ち着いて前に出て最後は突き出した。相手に何もさせずに5連勝。

 

 

勢いに乗る王鵬に八角理事長も「頑張ってほしい。まずは今場所大勝ちして上にいくこと」と期待を寄せた。

 

元横綱・大鵬の孫。「しっかり前に出ていい相撲を取る」と語る22歳は元横綱・白鵬からの教えを胸に今後の活躍を誓う。今場所どこまで星を伸ばせるのか。荒れ模様の秋場所は中盤戦に入った。

 

この記事を書いた人

持井 俊哉 記者

持井 俊哉 記者

平成26年NHK入局

北九州局を経て、スポーツニュース部。小1から剣道をはじめ、現在、5段。「打って反省、打たれて感謝」をモットーに何事にも謙虚に誠実にチャレンジすることを目指す。

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