特集 女子バスケットボールワールドカップ 優勝目指せ日本代表!三好南穂さんのチーム分析は

女子バスケットボールワールドカップが9月22日にオーストラリアで開幕。去年の東京オリンピックで銀メダルを獲得した日本代表も出場します。東京オリンピックの日本代表メンバーで昨シーズン限りで現役を引退した三好南穂さんに日本代表への期待を聞きました。三好さんはNHKの中継で解説を担当します。
去年の東京オリンピックで日本代表としてプレーした三好さん
東京オリンピックで見せたプレーを再び
東京オリンピックで銀メダルを獲得した日本代表は一人一人、自分がスペシャリストとしてチームに何を求められているのか。シュートなのか、ドライブなのか、ディフェンスなのか。それを理解し徹底することができました。その結果が銀メダルにつながったのだと思います。
そして今回のワールドカップで女子日本代表、アカツキジャパンを率いるのは恩塚亨監督。東京オリンピックで監督を務めたトム・ホーバス元女子日本代表監督(現男子日本代表監督)のもと、長年、アナリストやアシスタントコーチとして女子代表を支えてきました。その経験を生かし、恩塚監督の頭の中にある何億通りもある戦術からその日いちばん合うものを、パソコンを駆使しながら選手に伝えていきます。プレーしている選手も観ている私たちもわくわくさせてくれることでしょう。
ワールドカップで日本代表を率いる恩塚監督
ワールドカップでも日本の強みを発揮できるか
ワールドカップはオリンピックと並ぶ世界最高峰の大会です。予選を勝ち抜いた12チームが10日間、死闘を繰り広げます。この大会で優勝すれば、2年後のパリオリンピック出場権を獲得できるなど、言わばオリンピックに向けたスタートの大会なのです。4年前の前回大会で日本は予選を突破しましたが、メダル獲得はなりませんでした。世界で厳しい予選を勝ち上がってきたチームと戦うので、簡単に勝てるわけはありません。日本の強み、良さをコートで出すことができた先に勝利が待っています。
では日本の強みとは何でしょうか。まず、あげられるのは高精度の“スリーポイント(3P)シュート”。これは東京オリンピックで銀メダルをとることができた要因の1つでもあります。世界各国と比べて身長の高さで勝てない分、外角からの3Pシュートのチャンスを作り、いかに高確率で決められるかがワールドカップでも大事になってきます。1試合平均で40%以上決めることが理想的です。(東京オリンピックでの3Pシュートの1試合平均は試投数31.7本、成功率38.4%、成功数12.2本と、いずれも出場したすべてのチームでトップ)しかし世界もそんなに甘くはなく、3Pシュートを打たせないように守ってくるはずです。そこで相手の守備をどのように打破するかが今大会の課題となってくるでしょう。3Pシュートをうまくフェイクとして使って、ドライブやカッティングからの2Pシュートも増えていくとさらに勝利に近づきます。
次に世界一とも言われる“トランジション(攻守の切り替え)の速さ”も日本の強みです。ディフェンスリバウンドを取った後やシュートを入れられた後でも、オフェンスへの切り替えを速くすること。またオフェンスでシュートを決めた後やミスをした後でもディフェンスで前からプレッシャーをかけて相手のミスを誘うこと。こうしたことをやり続けることで相手の体力を消耗させ、日本が後半から走り勝つゲーム運びができれば、試合を優位に進めることができます。コート全面を広く、速く使った、オールコートバスケの徹底もワールドカップ優勝に向けて必要になってくるでしょう。
三好さんが注目するのはこの2選手!
チームの鍵を握るのが、赤穂ひまわり選手(24)と馬瓜ステファニー選手(23)。2人ともバスケットボール界では若手の年齢ですが、どの試合でも結果を残し、チームを引っ張ってきた存在です。ドライブが非常に強くフィニッシュでバランスを崩さず決めきることができる選手なので、さきほど課題にあげた3Pシュート以外の得点も期待ができ、コンスタントに10点前後の点数を取ってくれるのではないでしょうか。また私が何より注目してほしいところは点数に表れないところでの活躍です。バスケットボールは点数を取る人が取り上げられがちですが、目立たないところでのプレーを頑張れる人がチームには必要不可欠です。その役割もこの2選手は担い、長い手足を生かしたディフェンス、嗅覚に優れたリバウンドといったプレーでもチームを救います。
赤穂選手(左)と馬瓜選手(右)
初戦で勢いをつけて強豪に挑め
ワールドカップは予選でグループAとグループBに分かれ、6チーム中、上位4チーム(計8チーム)が決勝トーナメントに進みます。ただどちらが勝ってもおかしくないチームとの対戦ばかりで油断できません。日本は世界ランキング8位。初戦のマリ(同37位)はチームを勢いづけるためにも必ず勝ちたいです。その後、セルビア(同10位)、カナダ(同4位)、フランス(同6位)、そして開催国のオーストラリア(同3位)と強豪の対戦が続きます。どの試合もタフではありますが、自分たちの速いバスケットを展開できれば必ず勝てるはずです。予選で勢いにのって、決勝トーナメントでも日本らしいバスケットボールで、悲願の世界一をつかみとってほしいです。
※世界ランキングは9月12日現在
去年10月のアジアカップで優勝し喜ぶ選手たち