ストーリーパラスポーツ

アジアパラ・総括「選択と集中」 世界で勝つ為に

2018-10-16 午後 05:32

インドネシアで開かれていたジャカルタアジアパラ大会、8日間に及ぶ熱戦が幕を下ろしました。

東京パラリンピックの前哨戦と位置づけた日本は、前回を上回る45個の金メダルを獲得し、健闘しましたが、国・地域別の金メダルランキングでは4位と前回より順位を落としました。

必要なのは、「選択と集中」。日本の強化担当者たちから聞かれたのは、そんな言葉でした。

手にした収穫は金45個

今大会、日本が獲得した金メダルは45個。

 

鈴木孝幸選手 (写真 左) 木村敬一選手 (写真 右)

 

その半数以上にあたる23個を占めた競泳では、日本選手団の主将を務めた鈴木孝幸選手が5つ、エースの木村敬一選手が4つの金メダルを獲得するなど、貢献しました。

 

国枝慎吾選手 (写真 左) 上地結衣選手 (写真 右)

 

車いすテニスのシングルスでは、国枝慎吾選手と上地結衣選手がそろって金メダルを獲得。

いち早く東京パラリンピックの代表に内定しました。

 

アジアパラ大会  ゴールボール女子 (2018年)

 

パラ競技独自の団体競技、ゴールボール女子もアジアで初めて金メダルを手にしました。

若手の成長も収穫です。

 

東海林大選手

 

競泳の知的障害のクラスで2つの金メダルを獲得した19歳、東海林大選手。

 

井谷俊介選手

 

陸上の足に障害のあるクラスの男子100メートルで、アジア記録を塗り替えて金メダルを獲得した23歳の井谷俊介選手など、今回、初めて出場した若手の活躍が光りました。

加速するアジアの強化

一方で、陸上やボッチャ、東京大会の新競技、バドミントンなどでは、世界選手権などで実績を積み金メダルを期待されながら届かなかった競技もありました。

 

鈴木徹選手

 

中でも、陸上の男子走り高跳びの足に障害のあるクラスで、今シーズン世界ランキング1位の鈴木徹選手がノーマークの存在だったウズベキスタンの選手に敗れ、銀メダルとなったことは象徴的でした。

 

 

日本は今大会を、東京パラリンピックの前哨戦と位置づけていましたが、国・地域別の金メダルランキングは中国、韓国、イランに次ぐ4位。

イランに抜かれて前回より1つ順位を落としました。

 

「アジアの競技力向上が予想以上のスピードで進んでいる」。

今回参加した選手や関係者の多くは、その事実を認めざるを得ないと話しました。

追求するのは「選択と集中」

 

そして、上位3か国にあって、日本にないものは何か。それは「選択と集中」だと口をそろえます。

国威発揚の意図も込めて、パラスポーツを強化しているとみられる国々の多くは、以下の2つの戦略を徹底しているといいます。

・勝てる競技と思えば、人材と資金を集中させて勝ちに行く。

・大会で結果が出れば資金を積み増し、出なければ引き上げる。

 

これと比べると、日本ではこれまで「広く浅く」強化が行われてきました。

 

もともとは、障害者の生活支援を行う福祉の一環として始まったパラスポーツ。そのことが、選手は結果が出る、出ないにかかわらず幅広く支援しようという姿勢につながっています。

 

しかし、リオデジャネイロパラリンピックで、夏の大会では初めての金メダルなしに終わり、勝ちにこだわった強化を進める海外との競技力の差が、浮き彫りになりました。

そして今回、アジアでもその状況が、加速していることが明確になったのです。

 

小林順一監督

 

陸上の小林順一監督は、「これからはメダルターゲットを絞り込む」として、今大会で、世界と戦えることが明確になった種目に、強化を集中させることを明言しています。

"強化こそ普及の近道"

「金メダルがすべてではないのではないか」といった声もある中、選手や競技関係者が金メダルにこだわるのは、それが日本のパラスポーツの発展につながると考えているからです。

 

大槻洋也強化委員長

 

日本パラリンピック委員会の大槻洋也強化委員長は「パラスポーツは、まだ日本で市民権を得ていない」と話します。

 

勝てる素質を持つ選手を見つけ、パラスポーツを勧めても、実際に競技を始める人は一握り。

 

パラスポーツがまだ根づいていないために、多くの人が時に人生をかけてまで打ち込むことをためらうのだと言います。

東京パラリンピックは、そんなパラスポーツのイメージを劇的に変え、2020年以降の浸透につなげるまたとないチャンスです。

 

 

今回のアジアパラ大会でも、パラスポーツの普及が決して進んでいるとは言えないインドネシアの観客が、メダルをかけた真剣勝負が繰り広げられる会場に連日、詰めかけて声援を送り続けました。

 

障害の有る無しとか、国籍の違いとかに関わらず、多くの人がスポーツが本来持つ魅力に気づき、それを楽しんでいたように私の目には映りました。

 

 

パラスポーツの魅力をより多くの人に届けるために、金メダルをとる選手を1人でも多く育成できるのか。

 

東京パラリンピックまで2年を切ったいま、タイムリミットは刻一刻と迫っています。



※こちらは、2018年10月16日に公開された記事です。内容は公開時のものとなります。

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