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特集 板倉滉 サッカーワールドカップで日本代表の守備の要へ

サッカー 2022年9月5日(月) 午後2:30

サッカー日本代表のディフェンダー板倉滉選手(25)は今シーズンからドイツ1部リーグの古豪・メンヘングラートバッハでプレーし、屈強な相手に1対1で強さを見せています。主にセンターバックを務めますが、日本代表のセンターバックにはキャプテンの吉田麻也選手やイングランドプレミアリーグのアーセナルでプレーする冨安健洋選手といった強力なライバルがいます。アジア最終予選などを通じて代表チームの中で存在感を増している板倉選手に、ことし11月に開幕するワールドカップへの思いや初戦で対戦するドイツ対策について聞きました。

ワールドカップで日本を盛り上げたい!

Q
アジア最終予選でプレーする中で、日本代表での立ち位置をどう考えていますか。
A
最終予選に何試合か出させてもらった中では、誰かがけがをした時に埋める役割というイメージはみんな持っていると思います。僕もそう思われているだろうなってわかりつつ、出た時に結果を出さないといけない状況も自分としては理解しています。もちろん代表だけじゃなく今のリーグ戦もそうですけど、代表のスタメンに定着したいと思ってやっていますし、自分が日本代表を引っ張っていけるようにならないといけないと感じているので。変にメンタルがぶれることはないですし、とにかく毎試合に向けてやるだけです。それはリーグ戦でも代表でもそうですけど、次の試合に向けて最善の準備を尽くすっていう、そこだけですよ。

 

ワールドカップアジア最終予選での板倉選手(2022年3月)

Q
11月に開幕するワールドカップへの思いを教えてください。
A
ワールドカップは日本国民みんなが盛り上がれる大会。もう1回サッカー熱を、っていう思いは僕個人としても強いです。ただそこだけにとらわれているわけでもないですし、まずは個人としてワールドカップで活躍するという気持ちを常に持ちながらやっています。今までと変わらず、まず今はチームでの試合、毎試合毎試合そこだけにフォーカスしてやっていきたいですし、その先に代表があったりもしていたので。変わらずワールドカップまでやっていきたいなと思いますし、代表を引っ張っていけるような存在になりたいとも思っています。いろんな目標はありますけど、まず自分のチームで引き続き頑張る、そこだけかなとは思います。

サポーターの評価はうれしい

Q
今シーズンからメンヘングラートバッハに移籍してドイツリーグ1部に挑戦となりました。リーグ戦の序盤(3試合)を終えて手応えはありますか。

A
まずは試合に出られていることがすべてかなというのはありますね。移籍してキャンプ最初からずっといましたが、やっぱり試合に出ないとなっていう思いでやってきた中でカップ戦を通して4試合出られているという、そこがまずいいことです。シーズンが始まる前までの個人としてのノルマでもあったので、まずは試合に出られているという状況を作れているのはよかったです。4試合出て3勝1引き分けという結果もすごく入りはいいと思うので、素直によかったなと思いますね。

 

 

Q
ここまでプレーが高く評価されていますね。(マン・オブ・ザ・マッチ2回、ベストイレブン2回)

A
そうですね。

Q
手応えはありますか。
A
うれしいですよね。たぶんマン・オブ・ザ・マッチはサポーターが選んでくれていると思うんですけど、サポーターに評価してもらえるのはうれしいし、新加入でリーグ戦3試合で2回マン・オブ・ザ・マッチはまさかとは思いました。最初は新加入で試合に出ているのは僕しかいなくて、ほとんどが元からいる選手ばかりなので、どうにかインパクトを残さないとなって思っていました。あとは特にドイツでサポーターに好かれるプレーというのは何となくわかっているので、それをちょっと大げさにやったりしてはいました。こうやって評価してもらえているのはうれしいですね。

Q
ドイツで心をつかむプレーとはどういうものですか。
A
球際を激しくいくのは最低限求められるところですし、そこを厳しくいくことで評価されるというのもわかっています。それは評価されにいっているというか、ふだんからそうやらないと認めてもらえないんです。でもそれをすることによってちょっとずつ認めてもらえているかなっていうのはありますけどね。

目の前の相手には負けない

Q
今のチームはセンターバックが丁寧にビルドアップしています。板倉選手もボールタッチの回数が多く、ビルドアップの場面でも左右に出したり打開できないところをワンタッチで出したり持ち上がったり・・・頭も疲れるポジションですね。
A
監督も新しく、チームとしてはボールを持ちながらというのは前提としてあります。まだ探り探りというか、味方のことをわかりきっていないというのもありますし、監督が求めていることをどうにかトライしようという気持ちもあります。探り探りやっている感はありますが、さらにここからよくなっていくと思います。クオリティーが高い選手が多いので、相手を崩して得点を奪うというところをすごく意識しています。練習から監督に言われていますし、チームとしてそうやっていこうという姿勢も見えるので、自分のスタイルに合っていると思います。今はボールタッチの回数が確かに多いです。後ろでゆっくりボールを持てる時間もありますが、もっとシンプルに攻撃していけるシーンもたくさんあるでしょうし、それを監督も求めています。ここからが楽しみだなっていうサッカーはしていますね。

 

 

Q
仲間のプレースタイルを探りながら自分のスタイルも周りにわからせているということでしょうか。
A
そうですね。僕だけじゃなくみんなが迷い、どうにか新しいサッカーに慣れていこうという姿勢は後ろから見ていてすごく感じました。それは僕も一緒で、本来なら出さないところもまずは味方につけることで動いてもらえるシーンもたくさん出ると思います。最初の試合は特に必要になってくると思いながらやっていますね。出せるところに出さないと動いてくれなくなったりもするので、そういうことも意識しながらやっています。

Q
1対1の場面では、相手に切り返されてもまた行く板倉選手のアジリティー(敏しょう性)や判断力のよさが出ていますね。
A
1対1の場面はうるさく言われていますし、僕としては1対1で対峙している相手には絶対負けたくないという思いがあります。常に目の前の相手には負けたくないという思いを持ちながらやっています。

Q
逆にそれがないと生き抜けないリーグということでしょうか。
A
それは間違いないと思います。たまにカバーがいない時もあります。味方との距離感が守備をしながら遠いなと思うこともあります。もちろんチームとして一緒に守るというのが前提としてありつつ、個人としては1対1の勝負で勝てるように常に意識してやっていますね。

Q
センターバックがカバーするスペースは広いですね。
A
やりながらちょっと距離が遠いと感じることもありますし、抜かれたらお前のせいだぞというスタンスでいる選手もいます。逆に僕は相方だったらだいぶ気遣いながらやるのですが、とにかく1対1では負けられないなというのはありますね。

 

 

Q
ストライカーとの勝負を探りながら楽しんでいるところはありますか。
A
それは今に始まったことじゃなくて、シャルケの時もそうですけど自分よりデカい相手とかゴツい相手が多いですし、いろんな特徴を持った選手が多い。特に最初は日本人というのもあり、線が細いのもナメられちゃいけないと思っていました。一発やられるとその印象が強く残ると思うので、そういった意味で特にこの3試合は最初の試合からそういうところで勝っていけるところを見せないといけないと思ってやっていましたね。

Q
ドイツ1部リーグの試合でプレーしてみて、どんな魅力があると日本のファンに伝えたいですか。
A
僕はドイツの2部リーグも経験しているので、まだ3試合ですごい違いは見えていませんが、クオリティーがある選手が多いです。今回移籍して思ったのは、すごく上手い選手が多いです。特にこのチームはそうかもしれません。見どころはまずスタジアム。観客があれだけ入るというところは間違いなく見どころです。あの盛り上がりは日本とは全く違うので、見ている人からしたらおもしろいと思います。サッカーで言うと、やはりスピード感や球際の激しさが違います。それがフォーカスされがちだとは思いますが、このチームはそれにプラス、クオリティーもあるし上手いなって思う選手が多いです。練習からすごく思うので、そういうところは見ていておもしろいのかなと思いますね。上手い選手がいる中でも、サッカーの根本的な切り替えや球際の激しさもあります。

乗り越えた先に今がある

Q
板倉選手は川崎フロンターレ時代に苦労し、ベガルタ仙台で出場機会をつかみました。イングランドプレミアリーグのマンチェスターシティーに移籍した後、オランダ1部リーグでプレーしました。自身のキャリアで転機になったシーズンはありますか。
A
全然試合に出られない中、3年間フロンターレでやりました。そこを振り返るだけでめちゃめちゃ時間がかかるぐらい内容は濃かったです。試合には出られていませんでしたが、中村憲剛さんや素晴らしい先輩の元でできたというのは自分にとって大きかったですし、いろんなアドバイスをもらいました。それがなかったら間違いなく今はありません。試合には出られなかったですけど、そこでプロとしての土台というか、練習からしっかりやることによって試合に出た時に活躍できるというのを自分で確認できたっていうのが、フロンターレ時代です。そこから仙台で試合にたくさん出られて移籍した。転機っていうと難しいですね。

Q
プロとしてやっていける手応えを得た瞬間はありましたか。
A
オランダに移籍して、試合出場が半年間0分なんですよ。日本に帰るという選択肢がなかったわけでもないですし、そのタイミングで帰れたとも思うんですけど、そこをもうひと踏ん張りして同じチーム、同じ監督の元でやって、そこから試合にずっと出続けています。そこからオランダで2シーズン、ドイツ2部リーグで1シーズンはほぼずっと試合に出ています。転機と言われると難しいですが、ずっと試合に出ていた中で移籍して、1個ずつステップアップする中でやっていることはあまり変わらないんですよね。もちろんオランダの時から確実に自分としては成長しているなという自覚はありますけど、そこまで大きな変化というのはたぶんないんですよね。まずは試合に出ることでオランダで認められて、ドイツのチームから声がかかり、ビッグクラブで活躍することでいろんなチームから声がかかります。ここからいけるというよりは、自分が活躍するチームによって評価のされ方も変わってくると感じました。ここでグワっと来たなっていうのは正直なくて。オランダの時もそうですし、仙台の時もそう。仙台の時よりオランダの時のほうが、まあ大人になったなって感覚はあるんですけど。ちょっとずつ毎試合毎試合積み上げていくことで、その先の扉が開かれているなっていう印象はありますね。今のチームに来ることができたのはもちろんうれしいことですが、ここで活躍することによって次また違ったリーグとか、違ったレベルのチームが見てくれるようになると感じますし。だから試合に出続けてちょっとずつ自分の評価を上げていく感覚ですかね。

 

オランダでプレーする板倉選手(2019年)

Q
オランダで半年出られないなら日本へ帰る選択もあったと思いますが、ここで結果を残さなきゃという気持ちが支えていたのでしょうか。
A
それはあったと思います。オランダでは毎日日本に帰りたかったですから。ただその半年間、練習の時はやるしかないと思いましたし、チームメート全員が敵だと思いながらやっていました。そのまま半年出られずに終わった時、冬に移籍したので夏でシーズンが終わりでした。そのタイミングで日本に帰る選択肢はできなかったわけではないんですけど、そこで帰る自分が許せなかったし、なんで海外でできないんだよっていう思いもあったので残る選択をして、同じ監督の元で出られるようになり認めてもらった過程は今でも自信につながっています。またそういうタイミングが来ても乗り越えられる気がしますし、乗り越えた先に今があると思っています。そこでメンタル面も鍛えられましたし、自分のポジティブな性格がよかったのかなっていうのはありますね。ポジティブというか特に考え過ぎずに。考えてはいましたけど変に落ち込むことはなく、やるしかないという気持ちになれているのは自分の性格がよかったかなと思いますけどね。

Q
板倉選手は愛されキャラらしいですね。
A
けっこう愛してもらってますね。今までいたチーム全部が好きですし、もちろんフロンターレで試合に出られなかったとかオランダで半年出られなかったというのはあっても、出る時にはそのチームがすごく好きになっています。愛して愛されるっていうのはすごくうれしいことだし、このチームでも愛されたら最高ですけどね。

Q
仲のいい選手はいますか。
A
今のチームですか?いや、まだ全然できていないですよ。みんなと話はしますけど一緒にちょっと飯食いに行こうよ、みたいなチームメートはまだいないですね。

 

 

Q
ここからという感じですか。
A
ここからですね。今まで経験しているように、試合に出続けながらチームメートと行動していたら半年後1年後にはもう中に入れているので。だから今はこれでいいのかなっていう感じですね。

Q
コミュニケーション能力は組織で何かをする時に大事になりますよね。
A
サッカー選手は結果を出していれば大丈夫だとは思うんですけど。やはりチームメートのことをもっと知りたいなと思いますし、練習中でも勝負だと思うので全部受け身になるのはよくないです。そういった意味でコミュニケーションは大事かなと。オランダの時はそれが大変だったんですよね。移籍して日本語しかしゃべれなかったし英語も全然しゃべれなかったから、何か言われても言い返せないんですよね。それがすごく嫌だったので、そういった意味でピッチ内でもピッチ外でもチームメートのことを知りたいと思うタイプなので、やっとドイツ語のレッスンを始めました。

Q
今までは。
A
今までは全然やっていませんでした。去年のチームでは英語をずっとやっていたんですよ。チームメートと英語で会話していたのですが、今はそろそろドイツ語を勉強してどんどん話せるようになりたい。この気持ちはいつまで続くかわからないですけど、最近ちょっと始めました。

ドイツ相手でもガツガツいく

Q
ワールドカップ初戦の相手はドイツです。今の経験を踏まえて、ドイツ戦で日本はどう戦うイメージをしていますか。
A
ドイツは最初からくるなっていう印象があります。間違いなく手堅くやってくるというか、性格的にもそうですし、抜け目なく球際を切り替え、特に入りのところから激しくやってくるなというのは間違いなくあります。そこはみんなが頭に入れながらやらないといけません。バイエルン戦は僕個人としてもすごく楽しみというか、それはワールドカップのドイツ戦に向けてもそうですけど、戦える選手は日本にすごく増えていると思いますし個人個人のレベルは相当に高い。個人で戦える力を持ち合わせつつ、日本のよさである組織で戦っていくというか。ただ、やっぱりものすごい迫力でスタートから来るっていうところは常に準備しておかないといけないかな。

Q 
ドイツは「俺たちが日本より強いんだ」というオーラをまとって試合前から雰囲気でのんでくると言われていますね。
A
それはもう間違いないですね。「俺たちのほうが強いんだ」というところで南米のチームと違って手を抜くんじゃなくて、スタートから圧倒していくという気持ちで来ると思います。「俺たちのほうが強いから軽くやる」っていうんじゃなく”見せつけるぞ”じゃないですけど、最初からガツガツ来ると思いますし、勢いはものすごいと思うので、その準備はしておかないと一瞬の隙で失点してしまいます。ただそこで受け身になり過ぎる必要も絶対にないですし、日本も”こう来るからじゃあ受け身になろう”というよりどんどんガツガツいったほうがいいし技術的にも戦えるとは思うので。メンタルの準備っていうのはものすごく大事かなと思いますね。

 

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