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特集 テニスが上手になる初心者向け練習法 松岡修造が直伝!

テニス 2022年8月30日(火) 午後5:25

日本を代表するプロテニス選手だった松岡さんが、体育の苦手を克服し“できる"ようにする番組『はりきり体育ノ介』に登場!

テニス未経験の子どもたちが松岡さんが作った特別な練習メニューに挑戦。4つのキーワードを意識すれば、テニスができるようになるというのですが果たして…

 

1995年のウィンブルドン選手権でベストエイトに入った松岡さん

松岡さんは現役引退後、世界を目指すジュニア選手の育成にも取り組み、錦織圭選手を指導したこともあります。今回の教室で伝えたいのは「テニスを通して心や人生を変えることができる」ということです。

参加した子どもたちはテニス未経験

 

参加した4人の子どもたちに松岡さんがまずものすごい熱量で発した言葉。

 

「僕は君たちにテニスを教えていきたい。まずはテニスを見せてくれ」

 

いきなり大丈夫でしょうか?松岡さんはネット越しに向かい合った子どもたちにボールを打ちますが、誰も打ち返せません。思わず「ほんとかよ・・・」とつぶやく松岡さん。やはり簡単ではありませんね。今回の目標は松岡さんとラリーができるようになること。子どもは「けっこう難しかった」「簡単に打てると思ったけど自分の体が間に合わない」「ボールを打つタイミングも難しい」と話し不安そうな表情。

 

「きょう、僕と一緒にいろんなことをやっていくよ。心を感じていくよ。人生を感じていくよ。そうしたら、必ず最後は僕とテニスができるようになっているから」

キーワード① ぐねぐね

「今からテニスを感じていこう。できるようになろう。だからこそ今はラケットは置いてください!」と松岡さん。「これを使います!」と後ろを振り返る松岡さんの背中には新聞紙が。テニスといったい何の関係があるのでしょうか。この練習メニューは新聞紙を胸に当てたまま両手を上げて走り、8mのところで折り返し落とさずに戻ることができたら成功です。「君ならできる。ゴー!」と松岡さんの激励を受け、1人目は見事に成功。これは意外と簡単かも…

 

 

こんどは新聞紙を半分に折って挑戦。2人目3人目と成功し残り1人となりますがうまくいきません。ここで「これを知っておけばできる!」と直筆の巻きものが登場。上達への最初のキーワードはぐねぐね。「ぐねぐねした?」と松岡さんに聞かれ、「しなかった」と失敗した子どもが答えます。松岡さんはみずからぐねぐねの手本を見せました。「修造!ぐねぐね…ほらほらほら!」と見事クリア。「今、ぐねったのわかる?新聞紙が落ちかかってもグーッと『ぐね造』したのわかる?」松岡さんは新聞紙が落ちそうになると、それを防ぐために腰や足をぐねぐね動かしていたのです。これがテニスでどのように役立つのでしょうか?

 

松岡さん

テニスは「ぐね造」だよ!いつも目の前にボールが来るわけじゃないから。急に逆をつかれたりするので、体をぐねぐねさせてうまくバランスをとるんだ。

新聞紙を使って体のバランスをとる練習だったんですね! 「君ならできる!そのままぐねって来い!」落とさず走り切ることができました。体を柔らかく動かし、バランスを取ることができたのです。

松岡さん

体ってこんなに使えるんだ。ひとつひとつが違う動作をする。いろんな動き方ができる。たくさん使える人はテニスがうまい。ぜひともぐねぐねさせて、心もぐねらせていこう!

心もやはり大事です

体を「ぐねらせる」ことはよくわかりました。しかし心も「ぐねらす」ってどういうことなのでしょうか?

松岡さん

体と心はつながっている。体をぐねぐねしていけば、心も自由に扱えるようになる。柔らかな体は柔らかな考え方を生む。僕の夢はウィンブルドンのセンターコートに立つことだった。実際にそこに立った時、体も心もカタくなった。何にもできなくなった。だからこそ体をぐにゃぐにゃした。世界が見ている中で、いきなりでんぐり返ししたの。すると心が自由になったよ。自分らしいプレーが夢の舞台でできたんだ!

 

 

こう語った松岡さん。体をぐねぐねさせたら心の緊張も解きほぐすことができたのです。確かに人生にも役に立ちそうです!

キーワード② 前で!

次のキーワードは前で!。いったい前で何をするのでしょうか?「次はテニスをするよ。でもラケット持ってないよね」と松岡さん。「では何で打つ?」「手?」「そう、だから手ニス!」

 

 

手ニスとはラケットの代わりに手を使い、2人ひと組になってボールを打ち合います。やってみると難しく、手がボールに当たらなかったり、ボールが横へそれたり…。「手ニスで大事なのはこちらです!」と松岡さんが見せた巻きものには2つ目のキーワード前で!

 

握手する位置でボールを打つ

「今、みんな後ろで打ってたでしょ?」と松岡さんが指摘した通り、子どもたちは手がボールに当たる位置が体より後ろになっていました。

「人と握手する時はどこでする?」と聞かれ「前」と答える子どもたち。すると松岡さんは手を前に出して握手しながら「ここで打つ!」と示しました。「構えてターンして握手。これがテニスです」。手を前に振って握手する位置でボールに当てる。当たったらそのまま手を前へ。ボールを打つ位置が体より後ろになっていると、うまく捉えることができません。体の前で打つことでボールにしっかり力を伝え、正面に力強く飛ばすことができるのです。
 
ひみつ道具『テニピン』でラリー練習

ここで松岡さんが取り出したひみつ道具『テニピン』

 

 

手にはめれば素手より面積が広くなり、しかもラケットで打つ練習にもなります。「10回続けてください」と目標を立てた松岡さん。子どもたちはネットをはさんで2人で打ち合いますが、なかなかうまくいきません。どうすればいいのでしょうか?

松岡さん

うまくいかない時こそ前を見よう!「できる!」って思おうよ。そうすると変わってくる!

松岡さんが子どもたちに声をかけました。”うまくいかない時こそ前を見る”ことで、どのように変わるのでしょうか?

失敗した時こそ前を向く

松岡さん

錦織選手も実はけがが多くて、失敗ばかりでうまくいかないことがあった。その時、ずっと下を向いていた。でも今の錦織選手を見てごらん。ガッツポーズを作っているだろ?どんなに失敗しても、心を前に持って自分を高めていっているんだよ。これはキミにでもすぐできるぞ!

 

 

錦織選手の話を聞いて、子どもたちも「前に、前に」と体も心も向かうようになりました。その調子で10回のラリーを見事にクリア!「これからは無理だって思った時にどうする?」「前にする、心を!」「諦めないで前に進む」と子どもたち。テニスも人生も、うまくいかない時こそ前を見ることが大事になるんですね!

キーワード③ 仲良く

次のキーワードは仲良く。「いよいよこれを使っていくよ。ラケットとコレです」と後ろを向いた松岡さんの背中には風船が。「まずはラケットをどんな形でもいいから、風船を落とさずに足も動かしながら打ち続けて下さい」この練習で大事なことはラケットを風船に当て続けること。ラケットの面の使い方が習得できるといいます。

 

 

1人で1つの風船を打つ練習のあと、こんどは2人で3つの風船を協力しながら落とさず打ち続けることに。30秒落とさなければクリアです。1組目。「いいね!面の使い方がいいね」見事に成功!2組目はうまくいきません。「風船が3つあるから、1人が1つをやっているともう1つが落ちちゃう」とか「ラケットがイヤ!」という声が。そこで松岡さんが示した次のキーワードは仲良く。いったい誰と仲良くするのでしょうか?

松岡さん

風船と仲良くだ。ラケットとも仲良くだ。僕は道具というものには心があると思っている。だから仲良くすることが大事。そして今回は自分1人か?もう1人いるんだよ。仲良くやってごらん。今、何をすればいいのか、心の底から話し合って。

松岡さんは2人に考えさせました。

道具とも仲間とも「仲良く」

ここで2人は作戦会議。「(風船を)コートの真ん中に集めて」「そこでずっと打てば大丈夫」と話し合い、もう一度挑戦です。

 

 

松岡さんの掛け声でスタート。「2人ならできる!落ち着いて落ち着いて。仲良く声を掛け合って!3、2、1、ゼロ。クリア!」ついに成功しました。「難しかったけど、今はすごく楽しい」「1つのところに風船がまとまっていたから一気にできた」と話すうれしそうな子どもたち。松岡さんが「道具も、そして心も1つになったよ。ありがとう!おめでとう!」と祝福しました。

 

 

ラケットとボール、そして相手の気持ちを想像し信じること。それは自分自身の成長にもつながるというのです。

最後のキーワード④ 松岡、修造???

いよいよラケットでボールを打つレッスンです。ボールを打つタイミングがつかめるとっておきの方法とは?松岡さんが教えたのは、相手がボールを打ったら自分の名字(松岡)を叫びながらラケットを引いて待ち、ボールを打つ瞬間に名前(修造)を叫ぶという方法です。

 

松岡さん

これは”呼吸”。テニスの選手って「ハッ」って言わない?息を吐くその時に「松岡、修造!」やってごらん、“自己紹介ショット”。

みんな順番に自己紹介しながらラケットを振ります。なかなかいいタイミングです。

“自己紹介”の呼吸法

次は松岡さんが打ってきたボールを打ち返してみます。「ボールが見えたところで名字を叫びます。いくよ、ハイッ!そうそう、いいよ。ハイッ!」1回目は成功しましたが、2回目は打つタイミングをうまく合わせることができませんでした。「惜しい。今、ズレたのがわかる?」映像で確かめると、2回目は振り終わってから名前を叫んでいました。

 

松岡 さん

打つ時に(名前を言って)息を出さないと、体が回ってくれないよ。

呼吸にも注意しながら取り組むとうまくいきました。後に続く子どもたちも打つ時の呼吸法をマスターしているようです。たった1日でここまでテニスができるようになるとは。さすが松岡さん!

ファイナルミッション ラリー10往復できるか

4つのメニューを終えた子どもたち。ファイナルミッションのラリー10往復に挑戦です。松岡さんからのボールを打ち返したら次の人と交代。2周できたらミッションクリアです。順番は体育ノ介を加えた5人。達成できるのでしょうか?松岡さんの 「はりきって、できる!」の掛け声からラリー開始。「前、前、前、ナイス。はい、ボール見て、OK」順調なようです。「前、前、頼むぞ!」ここで4人目が空振り。何度も挑戦しますが、どうしても同じ子どもで止まってしまいます。

 

できないことから逃げなくなった
松岡さんは「これは長い道のりになりそうだ」とみんなを呼び集めました。

 

 

「どんな気持ちだ?」と聞かれ、失敗した子どもは「申し訳ない」と答えました。「申し訳ないって言ってるよ。みんなはどう思う?」するとみんなは口々に「大丈夫、大丈夫」と励まします。「ぜんぜん申し訳なくないのに、なんでそう思うんだ?」と松岡さんがさらに聞くと「自分がだいたいミスってるから。ボクができればいけるのかなと思っちゃって」「でもキミはここを乗りこえたら変わるぞ!いつもだったらどうしてる?」「やめちゃう」「なんでやめるんだ?」「やりたくなくなって…」「今はどうだ?」「やってやる!」

 

 

悔しいからこそ笑顔でいこう
6回目の挑戦。ようやく全員が打ち返しました。1周目はクリア!ところが2周目で体育ノ介にミス。「これはウィンブルドンより手ごわいぞ」と松岡さんは思わずひざに手をつきうなだれます。何度も挑戦しますが、あと一歩のところでうまくいきません。子どもたちの表情にも疲れが見えてきました。果たしてクリアできるのでしょうか?そして15回目の挑戦。1周目をクリア!2周目もラリーが続き、いよいよあと1球。最後の子どもが打ち返すことができず残念。みんなも「惜しい!」と声をあげます。失敗して「悔しい・・・」と言う子どもに松岡さんが「悔しいからこそ?」と問いかけると「頑張る!」と返事が。「そう、頑張って笑顔でいこう!笑顔、笑顔、笑顔!」と松岡さん。みんなで円陣を組んで「エイエイオー!」

 

「できる」と思えば強くなる
16回目の挑戦。松岡さんもより大きな声で「はりきって。できる!うまい!いいぞ。頑張ろう!」と励まします。1周目をクリア。2周目に入り「頑張れ!よーし、よし、よし!」いよいよあと1人。こんどこそ「やった!やった!」ついにミッションクリア! 全員でハイタッチをしました。

 


「正直に言うと、僕はテニスをよく知ってるからきょうは厳しいと思った。相当つらかったんじゃないか?」最後に成功した子どもは「つらかった」と答えました。「今どんな思いですか?」「いつもだったらできないから、自分がスゴイなって思う。みんながいるからうまくなれた!」と感謝しました。

松岡さん

みんながいたからだね、そう思うよ。そして、あきらめなかったこと。「できる」ってみんなで思えば、その心は本当に強くなる。ありがとう!

子どもたちの言葉を聞いた松岡さんが拍手を送りました。

レッスンを通して心も変わった

最初はまったくテニスができなかった4人の子どもたち。松岡さんの指導でどんどんテニスができるようになり心も強くなりました。みんなに聞いてみました。

「早くテニスやりたい!テニスをやってる友達がいたら一緒にやりたい!」
「みんなが頑張っているから、自分も頑張らなきゃと思いました」
「前向きでやればできる!って思えることが大事だと思いました」
「ふつうだったらやめるけど、できるまでやるようになった。テニスの動きも変わったけど、心も変わったんだなと思う」

 

松岡さん

”できない”とか”失敗”は大きな力になる。失敗しているからこそ、彼らの心が変わっていく。今までやったことがないくらい思いっきり頑張る。そのパワーが自分を変える力になっていくということを子どもたちから感じましたね。

テニスを通して学んだ前向きで柔らかな心の持ち方、そして仲間の大切さ。『人生で大切なことはテニスで学ぶことができる』ありがとう、松岡さん!人生はテニスだ!

 

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