ストーリーパラスポーツ

復活のために 自ら厳しい環境へ 視覚障害者柔道・正木健人

2019-03-18 午後 02:14

パラリンピックで2大会連続メダルを獲得している、視覚障害者柔道の正木健人選手。身長190センチ、体重150キロと恵まれた体格から繰り出すパワフルな柔道で世界を席巻しています。得意技は豪快な「払腰」です。

 

正木選手の視覚障害は、全く見えない全盲ではなく弱視。正木選手の場合は、全体的に見る力が弱く、まぶしい光の反射が苦手で、近くの人の顔の輪郭やパーツがぼんやり分かるくらいの状態だそうです。

 

 

視覚障害者柔道は、一般の柔道と違って、最初から組み合った状態で試合を始めます。相手の道着をつかみあう『組み手争い』がない分、開始直後から技の掛け合いになるのです。正木選手は、「組んだ相手の手の動きや相手の身のこなしから、どんな技をかけようとしているのかを手首で感じ取っています」と言います。

視覚障害者柔道において長年日本のエースとして活躍してきた正木選手ですが、2018年10月のアジアパラ競技大会で、一勝もできずに終わったことがきっかけで、一つの決断をします。

大会が終わって10日後、正木選手は柔道の名門・天理大学にいました。そこはオリンピック金メダリストの大野将平選手をはじめ、強豪選手たちがそろう厳しい環境。あえてそこに身を置くことで、自分を奮い立たせようと考えたのです。

正木選手を指導するのは、柔道の元世界王者・穴井隆将監督。穴井監督は「正木選手は、ここという時にはしっかり頑張ることのできる強さを持っていますので、自分の中で管理できるようになると、またいい方向に向かっていくのではないかと思います」と言います。

 

 

課題の一つが「ダイエット」。自身のベスト体重である140キロを目指して、なるべく自炊をして食事をコントロール。大好きなお肉もカロリーが抑えられるよう赤身肉にし、腹4・5分目を心がけています。

さらに、柔道のスタイルも改良することに。これまで正木選手は、得意技である払腰をしかけ、一気にパワーで通すのが持ち味でした。しかし、この動きを海外のライバルたちに研究されてしまい、勝てなくなっていたのです。そこで、技のかけ方を見直すことにしました。

正木選手

今まではどれほどデカい相手でも『せーの』で入っても投げることができたのです。でも、アジアパラ競技大会の時は、それができなくて返された。そこで、相手の重心がしっかりしている時に体勢を少し崩し、バランスが崩れたところに技を入れるように改良しました。

 

 

2018年の11月にポルトガルで開かれた世界大会では、練習通り、相手を揺さぶりながらチャンスをうかがい、見事一本勝ちをおさめることに成功。7位入賞を果たしました。

「思ったよりも戦えた反面、世界で戦うにはまだまだだと再確認しました」と正木選手。正木選手の階級だけではなく、障害者柔道全体のレベルが上がっており、日本人選手が表彰台に立つのも難しくなっています。世界で勝つためには「より強い選手との稽古量が一番大事」と正木選手は言います。

 

 

2020年に迫った東京パラリンピックでの目標について「中学校の時から柔道を続けてきて、いろんな人にお世話になりながら、今もずっと現役を続けることができているので、その人たちに対する恩返しをしたいという思いと、結果として優勝目指して勝つところを見てもらいたいですね」と語ります。日本のエースとしての復活を期待したいですね。

 
 

※この記事は以下の番組から作成しています。
2019年1月9日放送 ハートネットTV  めざせ!パラマニア「柔道編」
内容は放送時のものとなります。

 

東京パラリンピック「柔道」特設ページ公開中!

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!