ストーリーその他のスポーツ

スピーディーな展開が魅力! トライアスロン新種目・混合リレー

2020-05-25 午前 09:00

トライアスロン混合リレーは、東京オリンピックで初めて採用される新種目です。男子2人、女子2人、あわせて4人の選手が、女子→男子→女子→男子の順番でリレーします。選手一人が受け持つ距離は個人戦の約5分の1という短距離。そのため、選手が観客のすぐ目の前を全力疾走していくスピード感と20分ほどで選手が次々に交代するスピーディーなレース展開が魅力で、最初から最後まで目が離せない緊張感が続きます。日本チームは、この初めての種目にどう挑もうとしているのでしょう。日本トライアスロン連合オリンピック対策チームの中山俊行リーダーに、日本チームの戦略を聞きました。

メダルも狙える!?チームジャパンの実力

2018年アジア大会 金メダル
(左から)佐藤優香、古谷純平、高橋侑子、細田雄一

 

東京オリンピックの混合リレーは、個人戦に出場した選手の中から男女4人が選ばれ、チームを組んで出場します。それぞれの選手が、レインボーブリッジを臨むお台場海浜公園の海を300m泳ぎ、コーナーの多い台場、青海、有明地区のコース6.8km(3.4km×2周)をバイクで走り、最後のランでは、商業施設が立ち並ぶ大都会の街並みの中を2km(1.0km×2周)、大歓声に包まれて駆け抜けます。

 

東京オリンピック・トライアスロン混合リレーのコース

 

オリンピック対策チームのリーダーを務める中山俊行さんは、日本チームにもメダルのチャンスは十分にあると見ています。持久力がモノをいう個人戦に比べて、スピードとチームワークがモノを言う混合リレーは、日本選手の長所が生かせる部分が多いからです。
日本チームのここ数年の成績は、2018年アジア大会では金メダルに輝き、同年の世界ミックスリレートライアスロン選手権では7位に入賞しました。2019年8月、お台場の東京オリンピックのコースを使って行われた国際大会では11位でしたが、1走の高橋侑子選手は8位で2走にバトンタッチ、2走のニナー・ケンジ選手(オーストラリア出身)はトップとの差26秒の6位で3走につなぐなど、手応えのあるレースができたと中山さんは言います。

 

オリンピック対策チーム 中山俊行リーダー

中山俊行さん

混合リレーでは、1~4走の各選手に求められる能力が違います。選手がそれぞれの役割を果たしてくれれば、メダルのチャンスも十分にあります。1走の女子の役割はミスをせず、上位で帰ってくること。順位よりもタイム差が重要で、先頭との差が5秒程度であればOKです。2走の男子の役割はきっちりつなぐこと。仮に1走でタイム差がついたとしてもスイムで挽回できるスピードのある選手を起用したいです。3走の女子には、有利なポジションを維持して4走につなぐ力量が求められます。先頭や後続とのタイム差を瞬時に判断し、臨機応変に対応できる柔軟さが必要です。4走の男子は、メンタル面の強さが大事です。負けん気を発揮して世界に食らいついて欲しいです。

勝敗を分けるバイク6.8km

 

中山さんは、スイムは男女とも十分に海外の強豪選手についていけると見ています。勝敗を分ける最大のポイントはバイク。特に最初の500mで強豪国の選手が集まるメイングループに入って他国の選手の後ろにぴったり付きながら集団の中で走り、ドラフティングを利用して無駄な体力を使わずにスピードを上げることが大事だと言います。ドラフティングとは、前の選手の真後ろに入って風の抵抗を軽減させる走り方のこと。ライバル同士で即席のチームを作り、風の抵抗を最も受ける先頭を交代しながら協力して走ります。

 

ドラフティング

中山俊行さん

混合リレーのバイクは、個人戦よりも時速3~4kmは速くなるので、ドラフティングの効果も大きくなります。距離が短いので先行逃げ切りを狙う国が出てくるかもしれませんが、日本としてはバイクで逃げる戦略は取りません。グループの中でポジションを主張してついていき、ある程度の余力を残したままランをスタートさせることができれば、2kmと距離が短いのでメイングループのまま、次の選手に引き継げるはずです。

 

 

メダル獲得を目標に掲げる日本の混合リレーチーム、そのカギを握るのは男子だと中山さんは言います。海外の強豪選手との差を埋めるため、カナダ人のパトリック・ケリー氏をヘッドコーチに招き、男子の強化に取り組んできました。最大の課題は、バイクとランのトップスピードを上げ、そのスピードを維持しながら走りきる体力を身につけること。速く走るためにはどの筋肉を動かすべきか、その筋肉を鍛えるためにはどんなトレーニングが必要なのか、ケリーコーチによる理論的な指導が続いています。

 

パトリック・ケリー ヘッドコーチ

中山俊行さん

去年からノルウェー男子チームとの合同練習も始めました。ノルウェーのチームは、スイムで出遅れても、その遅れをバイクで巻き返せるほど強く、その強さは豊富な練習量に裏付けられています。普通なら故障やケガをしかねないほど練習するのですが、様々な数値を測定し、強度をコントロールしながら科学的にトレーニングするので、継続的に行うことが可能です。日本はこのノルウェーのトレーニング法を学んでいて、混合リレーでも必ず役に立つと考えています。

「第4の種目」トランジション

スイムからバイクへのトランジション

 

スイム、バイク、ランの3種目で競うトライアスロンは、1人の選手に2回のトランジション(種目の転換)があります。スイムからバイクに移る時は、ヘルメットをかぶり、濡れて砂のついた足でバイクに飛び乗って靴を履きます。またバイクからランに移る時は、定められた場所にバイクを止めてヘルメットを脱ぎ、ラン用のシューズに履き替えなければなりません。トランジションの時間もタイムに換算されるため、「第4の種目」と呼ばれるほど重要なのです。4人の選手が交替で走る混合リレーでは、トランジションの回数は合計8回にもなるため、失敗すればダイレクトに結果に響きます。タイムロスを防ぐために日本チームが行っている工夫の一端を中山さんが教えてくれました。

 

輪ゴムでペダルにくくり付けたシューズ(撮影協力:オミノウェイズ)

中山俊行さん

トライアスロンでは、自転車のペダルにバイクシューズをあらかじめ備え付けておき、走りながらシューズを履くのですが、このシューズがバイクスタート時にクルクル回らないように輪ゴムで固定しています。日本が始めた工夫なんですが、あっという間に他国にも広がりました。最近では、ヘルメットのあごひものバックル部分が磁力でカチッと付くタイプを導入し、少しでもミスなくタイムを縮小できるよう工夫しています。また、選手によっては、バイクのヘルメットをかぶりやすいよう置き方を工夫したり、ランニングシューズを履きやすくするために、ワセリンを塗って滑りをよくするなどの対策もしています。

 

 

東京オリンピックに向けて、スピードアップに取り組む日本チーム。女子は主にコーチとマンツーマンでトレーニング、男子は高地合宿と暑熱合宿で基礎体力と心肺機能の強化、暑さ対策を図ります。猛暑が予想される大都会のお台場で、世界のトップクラスとしのぎを削るトライアスロン混合リレー、チームジャパンの勇姿をお見逃しなく。

おすすめコンテンツ

東京オリンピック「トライアスロン」特設ページ公開中!

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!