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特集 19歳の新星 熱海富士 スピード出世の背景に舞の海さんが迫る!

相撲 2022年7月24日(日) 午後6:30

静岡県出身の熱海富士は19 歳で新十両となり、横綱たちと肩を並べる歴代7位のスピード出世を果たしました。

その持ち味は立ち合いの瞬発力、そして息もつかせず圧倒するパワー!

名古屋場所は自己最高位の十両六枚目で迎え、勝ち越しました。

スピード出世の背景は?名古屋場所前にNHK静岡の片平和宏アナウンサーがNHK大相撲中継の解説でおなじみの舞の海秀平さんに聞きました。

 

舞の海:今の相撲界では、久しぶりに期待ができる若手が出てきたなという気がして私もワクワクしてますね。それと四股名に熱海を取り入れましたよね。これはもう地元の人にとっても応援のしがいがありますよね。四股名を見ただけですぐに静岡出身だって分かりますしね。地元の人たちも応援のしがいが出てきますよね。

 

片平:熱海富士は1年近くで十両昇進を果たして、19歳で関取になり、歴代7位タイのスピード出世でした。

 

舞の海:10代で十両に昇進したというところに価値がありますよね。昔は20代前半で横綱・大関になる人もいたんですけれども、久しぶりに若い横綱、大関が期待できますよね。

 

片平:平成以降で10代で新十両となった力士には貴乃花、若乃花、朝青龍、白鵬、日馬富士、稀勢の里などの横綱がいます。

 

舞の海:熱海富士もプレッシャーはあると思うんですけど、これやるしかないですね。ぜひこの横綱たちに加わって活躍してほしいなと思いますね。

出世街道をひた走る熱海富士には同じ部屋に横綱・照ノ富士がいます。

幕内優勝7回、今の大相撲を代表する存在です。恵まれた体格と右四つの形で頂点まで昇りつめました。

 

片平:熱海富士にとって、照ノ富士が同じ部屋にいる意味は大きいですか。

 

舞の海:すごく大きいですよね。とにかく照ノ富士のまねをしていけば良いわけですからね。やっぱり下手の取り方、上手の取り方、これは本当に熱海富士も照ノ富士も全く同じ右四つの型を持ってますから教科書が目の前にいるという感じですね。

 

片平:熱海富士は場所前70番から80番近く稽古をしているということですが。

 

舞の海:今の力士の中ではかなり多い方だと思いますね。稽古量、稽古相手にも困りませんしね。環境も整っていますから、これはますます期待できますね。

 

片平:勝ち越しがかかった一番の前には照ノ富士に声をかけてもらっていて、それが精神的な支えになっているそうです。

 

舞の海:横綱から声をかけてもらえるというのは、これは本当に自信になりますよね。横綱の本場所に向けての姿勢も勉強になると思いますし、とにかく良い環境の中にいますね。

 

片平:実は今回、熱海富士が技のデパートと呼ばれた舞の海さんに質問があるということなんです。

熱海富士からの質問

舞の海さん、自分がもし今の取り口にプラスで投げ技など技を身につけるとしたらどういう技が良いと思いますか。教えてください。

 

舞の海:質問ありがとうございます。私が考えるには、やっぱり右四つの型を持っていますからそこからの左からの上手投げですね。これを絶対に身につけてほしいなと思いますね。誰と相撲をとっても必ず寄り切れるという事はないんですよね。寄り切れなかった場合に、もう1つ引き出しがあるというのは強みになりますね。

 

片平:実は熱海富士がこれまで勝った決まり手の70%以上が寄り切りと押し出しなんです。左の上手を取ったら強い力士なんですが、左の上手投げが加わるともっと強くなるんですかね。

 

舞の海:そうですね。相手も寄ってくるのか、投げにくるのかって迷ったりもしますしね。本当に引き出しが1つ2つと増えていけばもっと強くなりますし、横綱・照ノ富士も上手投げを持っていますからね。下手投げもありますが、まずはやっぱり上手投げを早く覚えてほしいと思いますね。

 

片平:そういった技が加わっていった時に、もっと熱海富士は強くなっていくのではと期待も膨らみますね。熱海富士の表情豊かな部分はどうですか。

 

舞の海:本当に私もかわいいなと思いますよね。おそらく性格が素直なんでしょうね。正直に気持ちが表情に出てしまうんでしょうね。出世していけばどんどん表情もさらに厳しくなってきますから、今はこのままで良いと思います。

 

片平:いずれは表情が厳しくなっていくんですかね?力士というのは。

 

舞の海:自然になっていくと思いますね。幕内に上がってさらに上位に上がると厳しい戦いが待っていますからね。そうなると自然にまた違った表情もできていくと思いますね。

 

片平:舞の海さんは現役時代に、表情を見せないなど意識はしていたんですか?

 

舞の海:私は常に無表情を作っていましたね。表情に出すと何か相手に悟られてしまうんじゃないかという不安がよぎるんですよね。ですから、なるべくひょうひょうと仕切っていましたね。

 

片平:自己最高位で迎える名古屋場所はどんな相撲を期待しますか。

 

舞の海:得意の右四つにガチっと受けとめて、上手を引き付けてガンガン前に攻めていってほしいなと思いますね。早く横綱になってほしいです。

 

この記事は、2022年7月9日に静岡県域で放送した「たっぷり静岡+」の一部を再構成しています。

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