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特集 35歳 佐田の海「三役が目標。まだまだ力は伸びている」大相撲名古屋場所を前に

相撲 2022年7月5日(火) 午前10:15

佐田の海は夏場所で千秋楽まで優勝争いに加わり、11勝を挙げて敢闘賞を獲得しました。名古屋場所では西前頭5枚目に番付を上げて上位に挑みます。

 

藤井康生・元NHKアナウンサーと佐田の海

「まだまだ成長中」という35歳に、大相撲中継38年の藤井康生・元NHKアナウンサーがインタビューしました。

1歳の子が相撲がわかるようになるまで頑張りたい

敢闘賞を受賞した佐田の海(夏場所千秋楽)

――夏場所は優勝の可能性もありましたね。

 

経験をしたことがなかったので、優勝争いをしてるんだけれど他人事という感じでした。意識しなかった分、最後までいい相撲が取れたかなと思います。

 

――どんなところがよかったですか。

 

先手先手で攻められて、相撲も早かったと思います。以前は勢いで体を預けて出ていって、逆転を食らってしまうという場面も多かったんですけれども、夏場所はワンテンポ体を預けるタイミングを遅らせたことによって、逆転を食わなかったという感じでした。調子がよかったんだと思います。 計算してという感じじゃないですね。

 

夏場所千秋楽  隆の勝にすくい投げで勝って11勝

――年齢が上がってから頑張って、優勝することもあります。30代半ばぐらいで活躍している力士はたくさんいますよね。

 

その中でも、ケガで引退されましたが嘉風関(元関脇・現中村親方)ですね。嘉風関ぐらいの体の大きさでもトレーニングとか稽古とかをして、体の手入れもしていけば長く(37歳で引退)できるのだなと思って見ていましたね。

 

夏場所千秋楽  隆の勝を破った佐田の海

――関取も35歳になって、家庭を持って、子どもさんも2人。元気に育てなければと、いろいろ考えるのではないかと思うんですけれども。

 

私は父親(元小結佐田の海)の現役時代の記憶が無いんですよね。1歳のときに引退していますから。上の子が生まれたときには、父親が相撲を取っていることが分かって、記憶に残るぐらいまではやりたいなと思ったんですけれども、今は4歳になりましたから、勝ち負けも分かっているし、私が負けたら泣いたりもするらしいんです。下の子は1歳なので分かっていないと思いますから、下の子が分かるぐらいまではやりたいなと思っています。

 

――3人目が生まれた場合は、もっとやらなければならないですね。

 

必然的にそうなりますね(笑)。

筋力は向上していて衰えているという感覚はない

夏場所5日目  仕切りでそんきょする佐田の海

――年齢のことを言うと、20代より30代のほうが、体は衰えていく方向に向かうんじゃないかと思うのですが。

 

30代になったときに「これから衰えていくんだな」と思いましたし、疲れが抜けづらくなるというのはありましたけれど、体を見てもらっている先生などに聞くと、筋力はそう簡単には落ちないし、50歳までは伸びるという話でした。どう疲れがたまらないようにするか、先生たちに相談してやっています。

 

――今関取は、むしろ伸びていると思っているんですか。

 

伸びているんじゃないですかね。ウエートトレーニングは数字で分かるんで、衰えることなく向上しています。衰えているという感覚はないですね。

 

夏場所7日目  碧山(右)と攻め合う佐田の海(左) 押し出しで破る

――35歳でも、まだ上り坂ということで、この先、どういうふうにやっていこうと思っていますか。

 

あまり長くは見ていないですね。毎場所毎場所相撲を取ってみて、「今場所も戦えている」という感覚、「これなら戦える」という感覚がほしいですね。勝ち負けがいちばん大事なんですけれども、同じくらい相撲の内容も大事だと思っています。負けたとしても、ここまで自分がやりたいことができた、と感じたいです。

三役に上がることが夢であり、目標であり、モチベーション

――それでは40歳までと目標に掲げてはどうですか。

 

大きな目標はそれですかね。大きい目標は40歳として、1年ずつを小さい目標にしてクリアしていきたいと思います。

 

夏場所12日目  志摩ノ海(左)を攻める佐田の海(右) 押し出しで破る

――それプラス、どうでしょうか、優勝というのは。今は番付に関係なく誰にもチャンスがあるような気がしますね。

 

優勝は、狙っているわけではないですけれども、毎日毎日その日は勝つつもりでやっています。15戦全勝を目指しているつもりで。

 

――元気にこうして相撲を取れているわけですからね。

 

やっぱり肉体的にも精神的にもつらいですよ。つらいことが多いですけれども、勝って花道を下がるときとか、水をつけるときとかのあの時間は何物にも代えられないものがあるんですよね。だから耐えられるという感じですかね。特に勝ち越しが決まったときの花道は最高です。あんな気持ちのいいことはないですよ。

 

夏場所12日目  志摩ノ海を破り勝ち名乗りを受ける

――そういう気持ちよさを、もっと味わえるように。ぜひ長いこと取ってください。今、夢はありますか。

 

まだ三役に上がっていないので、三役に上がることが夢であり、目標であり、モチベーションになっている部分がありますね。

 

――名古屋場所は番付が大きく上がりましたから、頑張れば……。

 

こつこつこつこつやっていきたいと思っています。 一発で決められるとも思っていないので。長くやっていればいつかチャンスがくると思います。

 

相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」から

 

☆藤井康生・元NHKアナウンサー紹介

大相撲中継を38年間担当し、平成13年夏場所優勝決定戦貴乃花対武蔵丸の「鬼の形相」の一番など数多く実況。令和4年1月にNHKを退局し、現在大阪学院大学特任教授。

 

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