特集 北の富士勝昭が斬る 名古屋場所の優勝争いは照ノ富士の体調しだい

NHK大相撲中継の軽妙な解説でファンから大人気の北の富士さんに単独インタビュー、先場所(夏場所)の結果を踏まえつつ、名古屋場所の注目力士について語ってもらいました。
関脇以下はチャンスを生かせ
照ノ富士が師匠伊勢ケ濱審判部長から優勝旗を授与される(夏場所千秋楽)
名古屋場所の優勝争いは照ノ富士の体調しだいと言えそうだ。夏場所の後半はよく立ち直ったものだ。3敗して以降は1つの負けもなく最後は優勝したのだから、立派と言うほかない。大関陣が少しでも奮起しようという気概を見せてくれればいいが、毎度ながら多くは期待できないだろう。
若隆景をはじめ関脇以下の力士にとっては、このチャンスを生かしてもらいたい。力士たちは限られた環境でも、精いっぱい稽古に励んでほしい。
大栄翔 大関を目指すには四つ相撲を 霧馬山は次期大関候補と言っていい
殊勲賞は5回目の大栄翔(夏場所千秋楽)
大栄翔が久々に好成績を挙げたが、やはり地力があるのは間違いない。ただ、コンスタントに2桁勝星が続かないのが、押し相撲の難しいところ。大関を目指すためには、ある程度、四つ相撲も取れないといけないかもしれない。
荒汐部屋への出稽古で稽古する霧馬山(6月13日)
霧馬山が上位で2桁勝ったのは立派だ。左のまわしを取るとかなり強いし、なかなか面白い相撲を取る。負けてニヤッとしたり、なかなか不敵なところもある。私はかなり前から目をつけていたが、次期大関候補と言ってもいいだろう。
琴ノ若は上位陣にとって不気味な存在 いずれ大関候補に名乗りを上げる
琴ノ若がちりを切る(夏場所6日目)
琴ノ若は上位陣にとっては不気味な存在になってきた。横綱、大関戦でも気持ちが負けていない。相撲も攻撃的だし、土俵際も妙に小回りが利いてうまい。少なくとも父親(元関脇琴ノ若)よりは強くなるだろう。いずれ大関候補に名乗りを上げることは間違いない。上がるなら今のうちだ。いちばん力が出る時期に活躍するのが理想だ。
佐渡ケ嶽部屋へ出稽古に訪れ、相撲を取る王鵬(6月16日)
琴勝峰や王鵬も期待の若手と言われているが、いつまでもうかうかしていられない。王鵬には父親(元関脇貴闘力)ほどの闘志があれば、と思わずにはいられない。身長もあるし、押し相撲よりもまわしを取る相撲を磨いていったほうがいいような気がする。相手を起こして四つに組み止める相撲を覚えれば面白くなる。
相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」から