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特集 プロ野球 広島 中村奨成選手「2足のわらじ」で必死のアピール

野球 2022年6月17日(金) 午前11:30

地元の広陵高校からドラフト1位で入団した広島の中村奨成選手(23)。ファンの大きな期待を集めながら、過去4シーズンは通算43試合の出場にとどまってきた。勝負をかける5年目の今シーズン、本職のキャッチャーと外野、2足のわらじで必死のアピールを続けている。

 

インタビューを受ける中村選手

中村 奨成 選手

一番は試合に出たい。外野でもレギュラーを取れるように、隙があれば、キャッチャーでも食らいついていけるように練習から準備をしていきたい。

外野の守備でチャンスをつかむ

鈴木誠也選手が大リーグに移籍した今シーズン。出場機会を得ようと、中村選手は春のキャンプから本格的に外野の守備に取り組んできた。しかし、シーズン序盤、社会人出身の即戦力ルーキーの活躍もあって、レギュラーを奪うことはできなかった。

 

5月31日 日本ハム戦 レフトで先発した中村選手

転機となったのは5月31日。2軍で3割近い打率をマークして1軍に昇格した。その日のうちにレフトで先発した中村選手は4回、レフトフェンス際の大きなフライに俊足を生かして追いつき、相手の先制点を防いだ。数少ないチャンスで、ことしから磨いてきた外野の守備でアピールすることができた。

中村 奨成 選手

あまり後方の打球は得意じゃないが、練習でもしっかりやってきて、最短距離でボールまで行けた。まだまだ余裕もないが、いいプレーができたので、自信にしていいかなと思う。

キャッチャーでもアピール

キャッチャーで1年ぶりに先発

外野の守備で貢献した中村選手は翌日もレフトで先発出場すると、4打数2安打の活躍。得意のバッティングでも気を吐いた。

次の試合では、およそ1年ぶりにキャッチャーで先発。5回には強肩で一塁ランナーの盗塁を刺すなど2つの盗塁阻止を記録する。

 

6月3日 オリックス戦では自身初の1試合3安打の活躍をみせた

さらに6月3日、開幕から全試合で出場していた西川龍馬選手が下半身のコンディション不良で離脱。すると3番・ライトに抜てきされ、自身初の1試合3安打の活躍をみせた。外野とキャッチャー、2つのポジションを守れるユーティリティープレーヤーとして、その後も1軍に定着している。

ユーティリティープレーヤーとして評価

倉義和1軍バッテリーコーチも「外野もキャッチャーもできたら、大きな武器にもなるし、限られた1軍枠の中でも、2つのポジションができれば、起用の幅が広がる。足も速いし、バッティングも好調だし、戦力として大きく貢献している」と話すなど、ベンチの評価も日に日に上がっている。

 

バッティングも好調な中村選手

中村選手は「試合に出るのは、めちゃめちゃ楽しい。チャンスで回ってくる場面も増えたし、難しいといえば難しいが、わくわくの方が大きい。これからも思い切りの良さを出していきたい」と手応えをつかんでいる様子だ。

キャリアハイへ

ベンチで笑顔の中村選手

自己最高の成績だった去年は、39試合の出場だった中村選手。ことしは64試合を終えた6月12日の時点で、すでに19試合の出場と、去年を超えるペースで出場している。広島で生まれ育ってきたスター候補が才能を開花させるのか。その瞬間をファンは心待ちにしている。

中村 奨成 選手

去年より良い成績を残せるように、チームの勝利に貢献したい。試合数、打率、打点、安打、ホームラン、すべてで去年を上回りたい。とにかく1試合1試合、必死にやるだけです。

 

この記事を書いた人

広島局 菅 洋介 記者

広島局 菅 洋介 記者

平成28年NHK入局。

山口局を経て広島局。プロ野球・広島を担当。

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