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特集 プロ野球 西武 滝澤夏央選手 18歳のルーキーが証明したいこと

野球 2022年6月13日(月) 午後5:40

プロ野球・西武で今シーズン、育成から支配下契約を勝ち取り活躍を続けている高校卒業1年目、18歳のルーキーがいます。プロ野球選手としては小柄な身長1メートル64センチ。守備に走塁にグラウンドを駆け回り試合が終わればユニフォームは真っ黒。そんな彼にはプロの世界で証明したいことがあります。

最大の持ち味はスピード

支配下登録会見で渡辺GM(左)と撮影に応じる滝澤夏央選手

西武のルーキー、18歳の滝澤夏央選手。新潟県の関根学園高校から育成2位で西武に入団し、先月(5月)13日、1軍の試合に出場できる支配下契約を勝ち取りました。

 

身長1メートル64センチのプロ野球選手としては小柄な滝澤選手。最大の持ち味は50メートル5秒8のスピードです。象徴的だったのは支配下契約を結んだその日に2番ショートとして臨んだデビュー戦でした。

 

5月13日 楽天戦 6回にプロ初安打

楽天を相手に1点を追う6回、先頭バッターで打席に立ちました。ストレートを打った打球はセカンドへ転がりましたが全力疾走で内野安打とし、さらに、相手の悪送球も誘ってノーアウト二塁のチャンスを作りました。

   

続くバッターのレフト前ヒットで、滝澤選手はスピードを生かして一気にホームを狙い最後はヘッドスライディングで同点のホームにかえりました。

 

スライディングでユニフォームは真っ黒。まさに泥臭いプレーが持ち味という滝澤選手らしさが詰まったプロ初安打から得点が生まれました。

 

滝澤 選手

綺麗なヒットで打ちたかった気持ちはあるけど、あれはあれで自分らしいヒットなんじゃないかなと思う。

滝澤選手のプレーをきっかけにチームは逆転勝ち。試合後、辻監督は滝澤選手の走塁を高く評価しました。

辻 監督

(続くバッターの)三遊間のヒットであれだけの良いスタートを切れるという、そこに何かを感じた。緊張した中で、ノーアウトで打球が抜けてからスタートということを考えがちだけど、あの走塁が1点をもぎ取ったわけだからすばらしい。あの1点が大きかった。

守備にも自信

 

滝澤選手は支配下登録されてから今月(6月)10日までショートとして23試合に先発出場しました。西武のショートと言えば4年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞している源田壮亮選手ですが、けがでチームを離脱。滝澤選手はその穴を十分に埋める活躍を見せました。

 

滝澤 選手

自分の持ち味は守備なので信頼されるような守備ができる選手になりたい。野生感のあるプレーや動きの素早さというところは大きい選手にはできないと思うので、そういったところは絶対に負けないようにこれからも頑張っていきたい。

源田選手が今月11日に1軍に復帰。自分の代わりにショートを守ったルーキーについて異例のコメントを出しました。

源田 選手

テレビで試合を見ていたが、動きも俊敏で、相手からしたら嫌な選手なんだろうと感じた。凄いと思うし、負けていられない。

源田選手にショートのレギュラーを明け渡した滝澤選手は、その翌日、ショートで途中出場し、源田選手に負けじと堅実な守備を見せるとともに、打撃でもツーベースヒットを打って存在をアピールしました。

 

 

滝澤選手(左)と山川選手(右)

活躍を続ける滝澤選手ですが、高校時代には身長やパワーで悩まされ、プロへの夢を諦めかけたことがあったといいます。

滝澤 選手

野球を始めたころからプロ野球選手を目指してやってきたが、高校に入って1年くらいたったときにやっぱり、この身長じゃやっていけないかなというところもあった。

そういったときに支えになったのが、周囲の人たちからのことばだったといいます。

 

滝澤 選手

両親であったり、高校時代の監督や総監督であったり、そういった方に『この身長でもできるんだというところを逆に見せてやれ』とか『関係ない』と言ってもらえたので、そこから自分は逆にこの身長だからできるところを見せたいという気持ちになって本気でプロを目指して頑張ってきた。

努力を重ねてプロ野球選手になる夢をつかんだ滝澤選手。自分のプレーを通して証明したいことがあります。

 

滝澤 選手

自分の体でしかできないプレーもあると思うし、自分の中でスピードや守備力は誰にも負けない気持ちでやっている。自分も身長で何度も悩まされたことがあったが、これからは身長は関係ないというところを見せられるように、この身長でもできると夢や希望を与えられるような選手になれるように頑張りたい。

 

今シーズン、滝澤選手のように高卒1年目の選手が1軍でプレーするのは、ロッテのキャッチャーの松川虎生選手など一握り。小柄だからこそ自分の持ち味が出せるという滝澤選手。ユニフォームを真っ黒にしてグラウンドを駆け回る姿は、同じように小柄な選手たちにとって大きな目標になりそうです。

この記事を書いた人

古堅 厚人 記者

古堅 厚人 記者

平成27年NHK入局。宇都宮局、甲府局を経てスポーツニュース部。現在ブレイキンを担当。

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