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特集 走り高跳び 戸邉直人選手(30)100パーセントの跳躍を手に入れるために 陸上日本選手権から

陸上 2022年6月8日(水) 午後5:55

「2メートル40は跳びたいですね。100%の自分の最高の跳躍を目指したい」

 

東京オリンピックで日本選手として49年ぶりに決勝に進んだ、陸上男子走り高跳びの戸邉直人選手が、インタビューで語ったのは、2年後のパリ大会での雪辱を誓う、決意とも言えることばでした。東京オリンピックの決勝では実力通りの跳躍を見せることができず、13位に終わった戸邉選手。9日に開幕する日本選手権を前に、その思いを聞きました。

調整力不足に泣いた東京オリンピック

東京オリンピック 男子走り高跳び予選で2m28cmをクリアする戸邉選手

2メートル35センチの日本記録を持つ戸邉選手は金メダルを目指すと公言して、東京オリンピックに臨みました。予選では2メートル28センチを軽々とクリア。大会に向けた仕上がりの良さを印象付けた一方で、アクシデントが起きていました。

 

戸邉 直人 選手

予選のときはすごく調子がよかったんですね。ただ、その調子のよさゆえにという部分ではあるんですけれど、足をケガしてしまって。

予選の踏み切りの際に左足のアキレスけんを痛めてしまった戸邉選手。2日後の決勝では思うような跳躍ができず、自己ベストの日本記録を10センチ以上も下回る2メートル24センチにとどまり、決勝に進んだ13人のなかで最下位でした。早々にオリンピックの大舞台が終わってしまった戸邉選手。そのまま会場に残り、し烈な優勝争いをする海外選手たちの跳躍を悔しさを胸に目に焼き付けていました。

 

戸邉 直人 選手

やっぱり本気で目指してきた試合で、最後どういう結果になるのかを一番近くで見てたいなっていう思いがあったので最後まで見ていて。ずっと一緒に戦っている選手たちがメダルを取ったり、優勝したりしていたので、自分も上手くやればこの中に入れたんじゃないかなっていうような思いは、少しありましたね。

金メダルの記録は戸邉選手の自己ベストを2センチ上回る、2メートル37センチ。決して手の届かない記録ではないと感じる一方で、自身の“調整力不足”を痛感していました。

戸邉 直人 選手

大きな試合の決勝に、どれだけ調子を合わせられるか。決勝でメダルを取るとか、金メダルを取るとかそういう目標を掲げる場合には、予選の日に合わせるというよりは、決勝の日に100%になるように、予選でちょっと刺激が入ることも含めて、その前のトレーニングを調整していかなければいけないなというふうに感じました。

研究を武器に理想の跳躍を追求

 

パリ大会で100パーセントの跳躍をするために。取り組んでいるのは、自分の身体と跳躍のメカニズムをより深く知ることです。実は走り高跳びの研究を続けている戸邉選手。大学院時代には論文で博士号を取得しました。東京オリンピック後には様々な選手の動きのデータを新たに集め、より効率的な動きを追い求める研究に着手しました。

 

戸邉 直人 選手

やっぱり走り高跳びという競技の肝は踏み切り動作になってきますので、そこの動きをより効率化して、どういう動きでどういう力発揮をすればより高く跳べるのか。踏み切りで足を着いてる時間が僕の場合だと0.15秒くらいしかないので、意識するのは難しいような時間になるんですけれど、それをいかに意識して動かせるのかっていうのが重要な部分になってくる感じですね。

 

 

練習では専属のコーチをつけずに、ひとり、バーを跳んでは動画を見ることを繰り返します。「データがコーチ」。研究で得た知見を頭に思い浮かべながら、理想の動きに近づけているか確認する作業を続けます。

 

戸邉 直人 選手

実際に練習しているときには感覚でしか得られないものが、数値として研究では出てきたりするので、その数値と自分の感覚を上手くリンクさせることができれば、練習の質も上がりますし、今の取り組みを今後も続けて、より精度を上げていければ、もっといい成績が出せるんじゃないかなと。

2年後へリスタートの舞台 日本選手権

夏の世界選手権の代表選考を兼ねた日本選手権。パリ大会に向けた最初のステップとして、復活の大ジャンプを目指します。

 

戸邉 直人 選手

今年は、昨年のオリンピックで負ってしまったケガからの復帰のシーズンになりますので、まずはしっかりと世界選手権の代表の座を獲得するために、日本選手権では優勝争いをして、しっかり代表に内定するというのを1つの目標にしていきたいと思っています。

 

この記事を書いた人

伊藤 大志 ディレクター

伊藤 大志 ディレクター

スポーツ情報番組部ディレクター
2012年NHK入局。4年前から陸上を取材。

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