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特集 連載5回目 “自分の可能性を知りたい”~鍵山優真4年後に向かって~

フィギュアスケート 2022年7月2日(土) 午後5:00

 

連載4回目 “勝ちたいから”~鍵山優真 4回転ループへの揺るがぬ決意~はこちらから

 

優真の日常はメダリストになって以来、慌ただしさを増していた。北京から帰国後はスポンサー企業を訪問して銀メダル獲得を報告した。その移動中には、ビルのガラスに映った自分の姿をチェックする。「やばい、頭がぺたんこになっている・・・」と手で髪の毛を整える。自分がどのように見られているか、気にするようになってきたようだ。

 

一方でどんな人と接するときも、持ち前の笑顔は変わらない。写真撮影に応え、1枚1枚のサインにスケート靴のイラストを添える。サインは中学生の頃から練習してきた。時には自身が大好きなスヌーピーのイラストを描くこともある。

 

まもなく行われたのは地元・横浜市の通信制高校での卒業式。

 

優真はこれまで月に2、3日ほど登校し、勉強のサポートを受けながら、自宅や遠征先で課題をこなしていた。登校日の一番の楽しみは、同世代の仲間と話すこと。体操やスノーボードなど同世代のアスリートが在籍していて、お互いの競技のことから音楽やゲームの話題で盛り上がる。そんなひとときが、もっとも心安らぐ時間になっていた。同級生や先生たちに興奮気味にメダル獲得の報告をしている優真はふだんよりもだいぶ口数が多い。3年間、この場で過ごした時間が優真の成長を温かく支えていたと感じる光景だった。

 

先生たちに北京五輪銀メダル獲得の報告をする動画はこちら

 

振り返ってみれば、高校生としてのこの3年間で、驚異的な成長を遂げてきた。

1年生、スイスのローザンヌで開催されたユースオリンピックで金メダル。

2年生、初めてとなる世界選手権で銀メダルを獲得。

そして、3年生で迎えた北京オリンピックでは日本選手トップの銀メダルに輝いた。

 

背景にあるのは、365日中360日は氷の上で過ごすという練習の積み重ね。貸し切りで練習できるリンクを求めて全国各地を移動しながら、着実にステップアップしていった。先輩たちに追いつき、追い越したいという思いが優真を突き動かした。

 

卒業証書と一緒に贈られたのは、赤いガーベラの花。その花言葉は「限りなき挑戦」。

優真の挑戦は、これからも途切れることなく続いていくのだろう。

 

(優真)

「もっと自分の可能性を知りたい。今までもたくさん挑戦してきたし

これからも挑戦するので、ぴったりだと思います」

★取材メモ「これからも父とともに」

2022年4月、優真はフィギュアスケートの名門・中京大学の入学式を迎えた。

スーツ姿で式典に臨み、そこには父・正和さんの姿もあった。

 

5歳の頃からともに歩んできた2人、北京オリンピックで1つの節目を迎えたが、

その関係は今後どうなっていくのか、優真に質問してみた。

 

「これからも関係は変わらない。父とともに2人でやっていきます」

 

前を見据え、優しい表情で応えた。

2人はすでに4年後に向けて歩みだしている。

 

ちなみに履修登録で選択したのは中国語。

その理由は?笑顔で答えた。

 

「漢字なのでフィーリングで分かりやすいと思ったから」

「新天地で一から頑張ることになるので

もっと進化していけるように、成長できるように努力していきたい」

 

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