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特集 走り幅跳び 橋岡優輝選手(23)力強さを手にしてパリへ 陸上 日本選手権から 

陸上 2022年6月6日(月) 午後7:15

東京オリンピックの男子走り幅跳びで、日本選手として37年ぶりとなる入賞を果たした橋岡優輝選手。快挙を成し遂げたオリンピックの舞台で痛感したのは、海外選手の圧倒的な力強さと、みずからの経験不足でした。

 

 

2年後のパリ大会に向けて着実にステップアップを目指す橋岡選手。9日に開幕する日本選手権を前に「おはよう日本」でスポーツコーナーを担当している堀菜保子アナウンサーが決意を聞きました。

4月の競技会でまさかのケガ

橋岡選手は、日本選手権に向けて順調に調整を続けていたことし4月、競技会で左足首を痛めました。さらに、およそ3週間後に行われたグランプリシリーズでは、足首に痛みが出て跳躍を途中で取りやめたのです。

 

 

その後、日本選手権1か月前の大会も欠場し、再調整を余儀なくされました。それでも「焦らず、来シーズンからできればと思っている」と冷静でいられたのは、東京オリンピックを経験して明確な課題が見えていたからでした。

東京オリンピック 37年ぶりの入賞も「悔しい気持ちしかなかった」

去年の東京オリンピックは6位、日本選手として37年ぶりとなるこの種目の入賞。橋岡選手は周囲の祝福ムードとは逆にみずからの力のなさを痛感していたのです。

 

橋岡 優輝 選手

メダルを取ることを目標にしていたので、まったく満足のいくものではなかった。悔しい気持ちしか本当になかった。

 

大きな悔しさを味わった初めての大舞台での経験。私はあえて聞いてみました。

堀 菜保子 アナウンサー

その大舞台で何を得ましたか?

痛感した海外勢の“力強さ” みずからの“経験不足”

橋岡 優輝 選手

強引に自分に勝利を持ってくるような“力強さ”がまだ自分には欠けていると強く感じた。“底力”というか“地力”というか。僕はもうアップアップになって自己ベスト近くの跳躍は全然できなかった。

 

国内の大会を中心に出場している中で、その力強さが足りない要因については“経験不足”と分析していました。

その一方で・・・

橋岡 優輝 選手

ああいう選手たちと戦っていかなければならないという楽しさも感じた。

“底力”のために変えた練習での意識

みずからの課題が明確になるとともに「未来への楽しさ」も感じたという橋岡選手。日々の練習で考えることを強く意識しています。

 

堀 菜保子 アナウンサー

世界を肌で感じ、練習への意識の違いや変わった点はありますか?

橋岡 優輝 選手

元々、補強系があんまり得意ではないので、補強を取り入れてインナーマッスルなどをしっかり体の部分で強化できればと、考えるようになった。

 

橋岡 優輝 選手

1本、1本走るにせよ、1本目はこういう感じで動いたから、2本目は、もう少しこうすればいいんじゃないかという修正点を考えたりした。あとは同じようなメニューを次の週にやることになったら、その時はもう少し違う意識で1本目からやれば、先週の2本目のいい状態が1本目から出るのではないかと考えて・・。常に頭を使っている感じだ。(深く考えるのは)すごい難しいです。思い通りにいかないと、ムシャクシャするのはありますが、やっぱりすごい考えながらできるので楽しいですね!

日本選手権へ「自分だけに集中し、自分の跳躍を」

連覇がかかる日本選手権。夏の世界選手権の代表選考を兼ねた大会です。意気込みを聞きました。

 

橋岡 優輝 選手

本当に他のことはまったく考えずに、自分だけに集中してやれればと思っています。まずは焦らず、地に足つけて自分の跳躍ができればいいです。(2年後のパリ大会に向けては)気負わず。まずは楽しんで、その中で勝負するところは勝負しながら、うまく自分の経験値を増やしていければなっていうふうに考えています。

 

【取材後記】

橋岡選手は、これまで少しクールなイメージもありましたが、練習の合間には同世代の仲間と話し、多くの笑顔を見せていました。実は橋本選手は「人見知り」だということで、23歳の素顔も垣間見ることができました。

この記事を書いた人

堀 菜保子 アナウンサー

堀 菜保子 アナウンサー

平成29年NHK入局。佐賀・札幌局でサッカーやパラスポーツを中心に取材を重ね、現在は「おはよう日本」のスポーツキャスターを担当。

 

 

 

 

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