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特集 カーリング日本選手権 男子の若手 常呂ジュニアと札幌国際大学に注目!

カーリング 2022年5月25日(水) 午後1:45

開催中のカーリングの日本選手権では、北京五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレを筆頭に女子に注目が集まりがちですが、実は男子も熱いんです!その魅力は、パワフルなスイープや速いテイクアウトショットで一気に形勢が逆転するダイナミックな展開にあります。そんな男子チームの中から、いま最も勢いのある若手2チームをご紹介します。

旋風はことしも?幼なじみで初優勝を狙う常呂ジュニア

 

メンバー5人の平均年齢18.8歳・北海道の常呂ジュニア。昨季の日本選手権では「3強」と目されたコンサドーレ・TM軽井沢・SC軽井沢クラブ相手に勝利を挙げ、決勝でもコンサドーレを追い詰めました。惜しくも準優勝。スーパー高校生たちが巻き起こした旋風は、ファンの記憶にも新しいところです。

 

 昨季の日本選手権 コンサドーレ戦 タッチを交わす常呂ジュニアの選手たち(2021年2月)

選手全員が、多くのオリンピック選手を輩出した北海道北見市常呂町で育った幼なじみ。「幼少期から一緒に過ごしてきたため、コミュニケーションの量はピカイチ」と自信を見せています。

 

今季は日本代表として世界選手権出場をかけた最終予選にも出場、残念ながら出場権獲得はなりませんでしたが、着実に経験値を積んできました。スキップの前田拓海選手は準優勝後のシーズンをこう振り返ります。

 

昨季の日本選手権 指示を出す前田 拓海 選手(2021年2月)

前田 拓海 選手

オリンピックに出場したいっていう思いがすごく現実的になってきたなと思いました。4年後のオリンピックを目指すっていう上で日本代表は経験しておかなきゃいけない。強化費なども得ることができたので、多く合宿を組むことができ、様々なリンクを経験できたっていうのはとても自分たちの中でプラスになったのかなっていうふうに思っています。

では、常呂ジュニアのカーリングの特徴はどこにあるのか。去年、日本選手権で対戦した両角公佑さん(平昌五輪代表/今大会解説)は・・・

 

両角 公佑 さん

一投一投、石の積み方が上手っていうんですかね。今大会の出場チームの中では一番アグレッシブな、よりたくさん点を取ろうという、攻める戦術を使ってくると思う。

それを可能にしているのが「スイープ力」です。

両角 公佑 さん

体力があって何投掃いてもスイープ力が落ちない。例えばガードストーンに当たりそうな、曲がってきてしまいそうなストーンをキープさせて(曲がりを抑えて)かわす。スイープの使い方が上手だなっていうところは間違いなくありますね。

 

常呂ジュニアの「スイープ力」(5月23日 日本選手権予選 札幌国際大学戦)

カーリングのストーンは、回転をかけて投げるため、曲がりながら進んでいきます。例えば、目標とする位置の手前にストーンがあり、このまま曲がると当たってしまうという時。スイーパーがスイープすることで、摩擦熱で氷が溶け、ストーンが滑りやすくなります。滑りを良くすることで、ストーンをまっすぐ進みやすくコントロールできるのです。去年の日本選手権でも、常呂ジュニアが持ち味のスイープ力でギリギリのところを狙った位置までストーンを導くシーンが多くありました。

 

チームの司令塔・前田拓海選手も、仲間のスイーパーに絶大な信頼を寄せています。

 

前田 拓海 選手(5月23日 日本選手権予選 札幌国際大学戦)

前田 拓海 選手

僕が遅いウエイト(スピード)で投げてしまった時もスイーパーがジャッジをしっかりして最後までスイープしてくれるので。そこでバテてスイープできなくて、点数が取れなかったりすることがないので。相手にチャンスを与えないっていう面でもすごくスイープの力っていうのは僕らの武器なのかなと思います。

今大会はメンバーのふるさと・北海道北見市常呂町での大会開催。地元で初優勝を狙います。

 

前田 拓海 選手

地元の人の支えがあって僕らはやっぱりカーリングができているので。1つ1つ試合に集中して、優勝を狙って頑張っていきたいです。

 

逸材揃う札幌国際大学 カナダ出身スキップが日本選手権に登場!

 

勢いのある、もう一つの若いチームが、平均年齢22.4歳の札幌国際大学です。これまでジュニア時代から、常呂ジュニアと競い合ってきたライバルチームで、新たに、異色の経歴を持つ佐藤剣仁選手をスキップに据えて頂点を狙います。

 

佐藤 剣仁 選手

佐藤選手はカーリング大国・カナダの出身。世界選手権優勝経験もあるコーチから直接指導を受け、カナダでは州の代表としてジュニアの全国大会に出場したこともある逸材です。

 

2019年秋、カナダ遠征にやってきた札幌国際大学との交流をきっかけに、2年前に来日を決断。チームの一員になりました。カナダで学んだことについて、佐藤選手は…

 

佐藤 剣仁 選手

カナダは世界的にもトップレベルの国なので。世界選手権に勝ったような人から学べたっていうのは、非常に大きい経験になったかなと思います。作戦の細かいところとか、どうやって1試合を終えるか考える、ゲーム作りっていうところが自分にとって一番の経験になったかなと思います。

札幌国際大学とも対戦経験がある解説の両角さんは・・・。

 

両角 公佑 さん

札幌国際大学のこれまでのスタイル、ストーンは全くためなくていいよっていうものから、佐藤選手が加わったことで、戦術的に合理的といいますか。リスク管理をしつつ、点数を取りにいくよっていうスタイルに変わってきたという印象が強いです。

つまり、ストーンをためる時はためる、ためない時はためない、というメリハリがつくようになったそうです。

 

チームメイトはどう感じているのか。チームの中心、青木豪選手に聞くと…

 

青木 豪 選手(左)と佐藤 剣仁 選手(右)

青木 豪 選手

作戦だったり戦術だったりががらりと変わりました。これまではセーフティーな展開が多かったんですが、アグレッシブなカーリングを入れながらやるというか。攻めるときは攻める守るときは守るっていうメリハリがしっかりした。

こう話す青木選手も、ジュニア時代から将来を嘱望されてきた逸材。2018年には日本選手権を制し、世界選手権に出場した経験もあります。青木選手の持ち味は何といっても相手のストーンをはじき出す高速のテイクアウトショット。相手にストーンをためられる苦しい展開でも、一投で2つ、3つをはじき出して形勢逆転するシーンは見ている側にも爽快感を与えてくれます。

 

青木選手の持ち味は高速のテイクアウトショット

青木 豪 選手

相手も多分警戒をしてくると思うんですけど、自分もプレッシャーがかかれば相当強いと思っているので。前からではなく横からだったり、そういう形でストーンをたくさん出していきたいなと思います

青木選手中心にジュニアで実績を残していたチームに、カナダから佐藤選手が加わったメンバー構成で臨む初めての日本選手権。意気込みは・・・。

 

佐藤 剣仁 選手

最近はやっぱり結構攻めてしっかり2点取れるような、戦略のとり方とかをちょっと試してみているので。日本選手権でもそうやって強気で戦っていければいいかなと思います。僕は本当に負けず嫌いなので。もうどんなチームにも勝つ気で。しっかり食らいついていきたいです。

 

日本選手権では、予選リーグの結果によっては最大3回対戦する可能性があります。常呂ジュニアの前田拓海選手と札幌国際大学の青木豪選手は「お互い予選を1,2位で抜けて、予選、プレーオフ、決勝と3回対戦しよう」と話しているそうです。23日の予選リーグ最初の対戦は、7-2で札幌国際大学が勝ちました。互いに意識するライバルどうしの決勝戦は見られるのか。両チームの戦いが、この後も楽しみです。

この記事を書いた人

西阪 太志 アナウンサー

西阪 太志 アナウンサー

平成22年NHK入局

鳥取・岐阜・札幌・釧路局を経て「NHK NEWSおはよう日本」のスポーツキャスターを担当。学生時代に経験したスポーツは、サッカー・アメリカンフットボール。

 

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