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特集 落合博満さん、三冠王を獲得する選手はもう現れないのでしょうか?「可能性がある選手は4人いる」

野球 2022年5月13日(金) 午後11:25

今シーズンは投高打低? 三冠王に近い選手は?

落合博満さんがオレ流(オレジナル)でプロ野球の開幕1か月半を斬りました。(5月8日に放送したサンデースポーツの内容を再構成してお届けします)

 

 ロッテの佐々木朗希投手が4月10日のオリックス戦で28年ぶりとなる完全試合を達成。

 

中日・大野雄大投手は今月6日の阪神戦で、10回2死までパーフェクトのピッチング。

 

(※放送後の11日、ソフトバンクの東浜巨投手が西武戦でノーヒットノーランを達成しました)

 

ー 開幕から1か月半、投手の活躍が目立っています。投手たちの活躍をみていると、投高打低の傾向があるのでは?

 

落合)投手の球種が増えてきた分だけ、打者は読みづらいというところはあるんだろう。昔だったら140~150キロ出れば「うわ、すごいな」という感じだったけど、今の投手はだいたい140キロ台後半のスピードが出る。打者は、それに手を焼いているという部分はあるんだと思います。

 

投手の高いパフォーマンスを裏付けるデータがあります。

ここ20年は打率が3割以上だった打者の人数は減少傾向にあり、この4年間は10人を少し超える程度にとどまっています(※今シーズンは、5月7日時点)。

 

落合さんは、打者にとって最高の勲章でもある三冠王を3回獲得しています。しかし、2004年の松中選手を最後に三冠王をとる選手は現れていません。

ー 三冠王というと長打力はもちろん、確実性(打率)も求められる。投手がレベルアップしてきた中で、三冠王をとる選手はもう現れないのでしょうか?

 

落合)限られたメンバーに可能性はあると思います。ホームランを打てる人に限定されると思う。

 

落合さんが三冠王をとる可能性がある選手として挙げたのが、この4人です。

放送があった5月8日は、西武の山川選手が2本塁打5打点の活躍を見せました。

 

ー 三冠王をとるために必要になってくるのは?

 

落合)先行逃げ切りが一番いいパターンなんですけども、タイトルを3つそろえる(本塁打・打率・打点)ということでいうと、まずホームランを打てるボールだけを待つということが必要なんだと思います。確率的に、高いボールはホームランになりやすい傾向があるので、高めのボールをシーズンが終わるまで頑なに待てるということが必要になってくるんだと思います。

 

ー 開幕から1ヶ月、気になっていることが一つあると聞いていますが?

 

落合)けが人が多いかなという気がしますね。

 

各チーム、主力選手のけがによる離脱が目立っています(5月8日時点)。

ー けが人が出る要因として、思い当たるところはありますか?

 

落合)ゲーム中の死球、自打球は不測の事態なのでそれで登録抹消するというケースはあるだろうけど、たとえば肉離れなどは練習不足なのかなという気がしますね。

 

ー 落合さんが中日の監督時代キャンプを取材したが、本当に日が暮れるまで練習されてましたよね。

 

落合)練習は嘘つかないという昔からの格言があるとおりで、シーズンを通して休ませたのはオールスター戦の2日間だけ。

2009年の中日北谷キャンプ 守備練習を見る落合監督ら(右端)

 

あとはベテランも若手も移動日も必ず練習させてましたから。技術を上げるとともに、体力的に強化していくのが主体だったので。

2011年キャンプで打撃練習する中日・和田。左奥が落合監督

 

ー 練習がけがの防止にも役立っていたんですね。

 

こちらは、落合さんが考える「けがのリスクが高まる時期」のグラフです。けがのリスクが高まる時期は、シーズン中に3回あるといいます。

ー シーズン中にあと2回リスクが高まる期間があるということになりますね。どう乗り切るか。

 

落合)首脳陣の配慮が必要になってくると思います。疲れているから休ませるということは、私は反対です。レギュラーであれば、疲れをどう克服していくかそのノウハウを持っている。ベテランは後半戦になったらベンチで休ませる方法をとることもあるんだろうけど、出続けることの方が大事だと思う。一回休んでしまうと体がそれに慣れてしまうんで、そのあと9回までいけっていったら、ものすごいしんどい思いをしなければいけない。しんどい思いをするということは、野球選手というのは本能で動きますから。「無理だな」と思っても本能でいっちゃう。けがをするリスクは高まってくるので、できるのであれば休ませたくはないですよね。

 

サンデースポーツ(総合・毎週日曜 夜9:50~)では、これからも落合博満さんにしか語れない切り口でプロ野球について解説していただきます。お楽しみに!

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