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特集 NHK杯体操 パリオリンピックを目指す「新生ニッポン」の主役は?

体操 2022年5月12日(木) 午後6:10

体操の第61回NHK杯が、5月14日、15日と、東京体育館を舞台に行われます。男子6種目、女子4種目の合計で争う「個人総合」のチャンピオンが決まります。東京オリンピックが終わったばかりですが、すでに2年後のパリオリンピックを目指す戦いは始まっています。次の日本を引っ張る中心選手に名乗りを上げるのは、誰でしょうか?

男子は橋本大輝選手に注目 楽しみな若手に土井陵輔選手

東京オリンピックの個人総合で金メダルを獲得した橋本大輝選手(2021年7月)

男子は、個人総合でオリンピック2連覇、世界選手権6連覇と、長年、世界の第一人者だった内村航平さんが引退。その中、新時代のエースとして期待が集まる、橋本大輝選手(順天堂大学3年・20歳)が注目です。先月の全日本個人総合選手権でも2連覇を達成しました。

 

東京オリンピックの個人総合で金メダルを獲得した橋本選手ですが、より高みを目指しています。パリオリンピックでは、更に難しい技を多く織り交ぜながら6種目を行いたいと、冬場、複数の種目で、新しい技を盛り込む練習をしてきました。

 

全日本選手権 個人総合決勝 橋本選手の鉄棒の演技(2022年4月)

例えば、東京オリンピックの種目別でも金メダルを獲得した得意の鉄棒では、今シーズン、F難度の手放し技「リューキン」を組み込んでいます。身体を伸ばした姿勢で空中に飛び出し、バーの上で体を1回転ひねって、再びバーをつかむ大技ですが、全日本選手権の決勝ではしっかり成功させて、オリンピックよりも高い得点をマークしました。今回も、この技が決まるかが、優勝への1つのポイントになりそうです。

 

このほか、NHK杯では、あん馬、つり輪でも組み込んだ高難度の技を決めることが目標です。パリオリンピックで行いたい、今より難度を上げた演技構成をすでに思い描いている橋本選手。「早め早めに演技を完成させていきたい。そのための練習を日々できている」と、2年後を見据えています。

 

(左から)萱和磨選手、谷川航選手、北園丈流選手

橋本選手とともに東京オリンピックの団体を戦った、萱和磨選手(セントラルスポーツ)や谷川航選手(セントラルスポーツ)、北園丈流選手(徳洲会体操クラブ/星槎大学)は、全日本選手権では本来の演技をする事ができませんでした。巻き返しなるでしょうか。

 

そして、楽しみな若手も頭角を現しはじめました。その1人が全日本選手権で3位に入った、土井陵輔選手(日本体育大学3年・20歳)です。

 

全日本選手権 個人総合決勝で演技する土井陵輔選手(2022年4月)

土井選手は、2019年の世界ジュニア選手権で2位に入るなど、もともと実力のある選手でしたが、近年は怪我に悩まされてきました。特徴は、技の実施を評価するEスコアで高い得点を出せること。ひねりの早さや一直線の倒立などを生かし、美しい演技を行うことができます。

 

先日、大学に取材に伺った時には、NHK杯に向けて、基礎を重視した練習を繰り返していました。「NHK杯でも、まずは持ち味のきれいな演技を行うこと。その上で、今後少しずつ、実施する技の難度を上げていきたい」と、ビジョンを描いています。

 

 

日頃は日本体育大学のコーチを務めるリオデジャネイロオリンピック金メダリストの白井健三さんの指導を受ける土井選手。さらに、ときどき体育館に訪れる、大学の卒業生の内村航平さんからもアドバイスをもらっており、それが演技に生かされているそうです。

 

偉大な先輩たちの教えを糧に、NHK杯でも上位に食い込むことができるかが注目です。

女子は誰が勝っても初優勝

2022年4月の全日本選手権 個人総合で2位の宮田選手、優勝した笠原選手、3位の山田選手(左から)

女子は、新しい選手の台頭が期待されます。東京オリンピックでゆかの銅メダルを獲得したエース・村上茉愛さんが引退。村上さんとともに日本を支えた寺本明日香さんや、東京オリンピックに出場した畠田瞳さんも、先月、引退しました。今回の出場選手に東京オリンピックの団体を戦ったメンバーは1人もおらず、誰が勝っても初優勝です。

 

大会の中心は、先月の全日本選手権で初優勝した、笠原有彩(ありさ)選手(レジックスポーツ・17歳)です。

 

全日本選手権 個人総合決勝で演技する笠原有彩選手(2022年4月)

1m56cmと女子の体操選手としては高い身長、すらりとした長い手足を生かして、特に得意にしている段違い平行棒、平均台では、高い得点をとることができます。

 

同じクラブで練習していた先輩の寺本明日香さんから学んだ「ここ一番で決める集中力」も発揮し、全日本選手権では4種目、安定した演技を見せました。今回も、ミスのない演技で、優勝を狙います。

 

他に優勝を争いそうなのは、宮田笙子(しょうこ)選手(鯖江体操スクール・17歳)、山田千遥(ちはる)選手(朝日生命体操クラブ・19歳)です。

 

全日本選手権 個人総合決勝 宮田笙子選手のゆかの演技(2022年4月) 

宮田選手は、脚力の強さを生かし、跳馬やゆかを得意としています。3月に右肘に怪我をした影響がありましたが、全日本選手権は2位。持ち味のダイナミックな演技で優勝を目指します。

 

全日本選手権 個人総合決勝 山田千遥選手の平均台の演技(2022年4月) 

山田選手は、ターンや表現力など、細かい部分までこだわった美しさが魅力です。全日本選手権の予選は1位でした。決勝でミスが出た平均台を今回は成功させ、さらに質の高い演技をしたいと意気込んでいます。

 

このNHK杯で、男子は2人、女子は3人の選手が、今年秋にイギリス・リバプールで行われる予定の世界選手権の代表に決まります。誰が世界の強豪と戦うチャンスをつかむのか、優勝争いと共に注目です。

 

NHKでは、14日の女子をEテレで、15日の男子をBS1とEテレでお伝えします。ぜひご覧ください!

この記事を書いた人

星野 圭介 アナウンサー

星野 圭介 アナウンサー

2000年NHK入局 長野-宮崎-札幌-東京-大阪ー札幌ー東京で勤務

東京オリンピックでは体操種目別の中継を担当し、橋本大輝選手の鉄棒の金メダル、

萱和磨選手のあん馬の銅メダル獲得などを実況。

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