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特集 髙安 再び初優勝を目指して大相撲夏場所へ いつか横綱を締めるのが夢

相撲 2022年5月3日(火) 午前9:20

大関経験者の髙安は春場所初日から10連勝と優勝争いのトップに立ちながら終盤に失速し、決定戦では若隆景を追い詰めたものの、逆転の上手出し投げで敗れて惜しくも初優勝を逃しました。春場所をどうとらえ、夏場所はどのような相撲を目指していくのか。

 

髙安(右)と刈屋富士雄元NHKアナウンサー(撮影時のみマスクを外しています)

長年の親交がある刈屋富士雄元NHKアナウンサーがインタビューしました。

千秋楽の最後まで優勝を争い 1つ階段を上がれたとプラスに考えたい

優勝を争った髙安は敢闘賞を受賞(春場所千秋楽)

――これで12勝が6回目。優勝していても、おかしくないんでしょうけれどね。でも、これまでの経験が春場所に生きたのではないでしょうか。

 

千秋楽の最後まで優勝を争ったことはなかったので、1段階上がれたかなと考えています。プラスに考えて、ですね。

 

土俵入りする髙安(春場所7日目)

――体も少し大きくしましたね。

 

大関から陥落して腰を痛めることが多かったので、体重を落として負担がかからないようカバーしたんですけれども、それだと大関時代のパワフルな相撲が影を潜めてしまう。でも並行して腰痛を防ぐトレーニングやケアはみっちりやりました。そこから体重を増やすためにガンガン食べて、トレーニングをしました。

 

――優勝決定戦は、最後の最後まで流れは来ていましたよね。でも若隆景が崩れそうになった土俵際。

 

あそこは(前に)行ってしまいましたね。「たら、れば」を言えば、ちゃんと捕まえろよっていうところですけれどもね。

 

髙安(左)は若隆景を追い込んだが…(春場所千秋楽 優勝決定戦)

――あの瞬間は「髙安優勝」と誰もが思ったと思います。

 

若隆景関の真骨頂は、押しと華麗な回り込みなので、相手のよさが最後に出たんですね。

 

――これまで逃してきた優勝とは違うでしょう。

 

違いますね。最後にもう1回のチャンスがきて、そこで全部出し切れたのがよかったです。

家族のためにもう一回上を目指して

婚約会見で笑顔を見せる髙安と演歌歌手の杜このみさん(令和元年10月31日福岡県大野城市)

――春場所では初めて奥さん(歌手の杜このみさん)とお子さん(1歳1か月の長女)が千秋楽を見ていたということですね。優勝するぞという気持ちで呼ばれたんでしょうか。

 

相撲は自分一人が取るのですが、家族一緒に力を合わせて頑張っていますので、会場に来てほしかったんです。

 

――奥さんはどう言っていましたか。

 

本当によく頑張ったって言ってくれました。千秋楽までケガなく終わったので安心したみたいです。悔しい気持ちもあると思いますけれども「感動した」と言われましたので。次は優勝して感動させられるようにしたいと思います。

 

髙安(左)は豊昇龍を破って初日から10連勝(春場所10日目)

――お子さんが生まれて、気持ちが変わりましたか。

 

とても変わりましたね。独身のときは、自分だけで相撲を取るので甘いところが出てきてしまうところがあったんですが、家族のためと考えると頑張れますよね。

 

――妥協していた部分も頑張れると。

 

この年になっても向上心が強くなりました。勢いと若さで大関まで上がりましたけれども、もっと突き詰めてやっていればよかったなと思いますね。体のケアやトレーニングなど、なぜ、いい方法を探さなかったんだろうと思います。それがあだとなって、ケガをして陥落したわけですから。でも勉強になったことはいっぱいありましたので、一回りも二回りも当時よりでかくなれると思います。

自宅カラオケで気分転換

――ところで気分転換は、やっぱり子どもと遊ぶことですか。

 

そうですね。家族と過ごす時間が長いです。

 

歌はもっぱら自宅カラオケ(平成30年2月10日 NHK福祉大相撲から)

――カラオケは最近行かないですか(髙安の歌のうまさは角界屈指)。

 

カラオケは行かないですね。家でカラオケをしていますよ。

 

――それは奥さんも使っているんですか?

 

仕事があるときは練習しています。

 

 

――レベルの高いカラオケですね!お子さんも歌の英才教育を受けて……。

 

たまにマイクを向けると「あー」とか声を出しています。エコーが楽しいみたいで。

 

――いやあ、あと数か月したら歌い出しますよ(笑)。さて、夏場所以降の目標をお願いします。

 

毎場所千秋楽まで優勝争いに残れるような成績を目指して、というのがモチベーションですね。1場所1場所、魂を込めて取ります。

 

――優勝も狙えるチャンスです。

 

1回したいですね、やはり優勝は。そして1回経験することで、いろいろなことが見えてくるので、またステップアップできると思います。

 

髙安(撮影時のみマスクを外しています)

――まずは1回優勝を、と。

そして夢があって、1回でいいから綱を締めてみたいですね。それが本当に夢ですね。1場所でもいいから横綱を締めてみたいです。

 

相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」から

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