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特集 関脇が強い場所は面白い!幕内の陰の主役? 大相撲どすこい研

相撲 2022年4月27日(水) 午前11:05

大相撲の番付で、横綱・大関に続く「関脇」の地位。毎回ワンテーマで大相撲の魅力を深く掘り下げる「大相撲どすこい研」では、今回そんな関脇について独自の視点で調査!関脇の知られざる魅力に迫ります!(この記事は、2021年1月9日放送の「大相撲どすこい研」をテキスト化したものです)

関脇の待遇は?

 

まずは、意外に知られていない関脇の待遇をチェック!給料は前頭の時と比べて月々40万円アップの180万円。巡業先では個室に泊まることができ、呼び上げの回数(呼出さんが土俵に上がったとき、力士の名前を呼ぶ回数)も2回に増えるなど、三役に昇進すると待遇に変化があります。

 


関脇になって一番うれしかったことは何か?令和2年の11月場所に関脇昇進した隆の勝に聞いてみました。愛称は、おにぎりくん!

 


平幕の時とは違う、お客さんの“熱”や“圧”に、いつも以上に緊張したという隆の勝関。中でも最も感慨深かったのは、初日に行われる相撲協会の挨拶だったそうです。


看板力士の1人として土俵に上がったものの、心なしかソワソワ、頭を下げるタイミングも遅れ気味に…。しかし、この場所に立てたことで「あ〜三役になったんだな」と実感。「もっともっと上を目指して頑張らないと」という気持ちになったといいます。

関脇には何が求められる?

関脇とは、何が求められるポジションなのでしょうか?待遇面ではほとんど差がない、小結との違いを調べてみました。まずは優勝力士に土をつけた数。その総数は、関脇が78回、小結が68回。関脇が小結をわずかに上回っています。さらに注目したのは、初日から全勝できた横綱を破る、いわゆる“連勝ストッパー”を果たした数。

 


横綱の連勝を止めた回数を調べ上げると、小結とは大きな差があることが判明!横綱の勢いを止め、優勝争いを盛り上げる存在…それが関脇なのです!

関脇=中間管理職?

そんな関脇について、皆さんは、どんなイメージを抱いていますか?どすこい研のスタッフが都内で聞き込み調査を行うと、次のような答えが返ってきました。

「飛車。王将は横綱。関脇は2番手3番手」
「横綱は唐揚げ、大関はハンバーグ。関脇がエビフライ」
「勝ち続けるための実力はまだまだだけど、頑張っているところに共感を覚える」

そして中でも多かったのが「大相撲を支えるのが関脇だとしたら、日本の社会を支えているのは中間管理職。なくてはならない存在」という声でした。

 


そんな関脇について、関脇通算在位6場所の元・安美錦、安治川親方に聞きました。

「関脇は“戦場地帯”。相手(下位力士)が必死に挑んでくるため、それを退けていくのは容易ではない」

関脇の地位を維持することの難しさを、身を持って知ったと話してくれました。また、関脇は番付が陥落しやすいことでも知られています。

【番付の陥落条件】
・横綱→なし
・大関→2場所連続 負け越し
・関脇→負け越せば即陥落

平成以降に関脇に昇進した力士のうち、実に9割近くが陥落を経験しています。

関脇の辛さは横綱と対戦する日とも深い関係が!

 

小結と関脇の横綱戦が本場所の何日目に組まれたかを調べたところ、小結は前半戦が多く、初日が断トツ。逆に関脇は後半戦で横綱と対戦することが多く、10日目、11日目、12日目がトップ3という結果でした。

 


後半戦は横綱や大関が精神的にも落ち着いた状態で、全力を出してくることが多いそうで、関脇は、そんな後半戦で上位陣と対戦する宿命があると、元嘉風の中村親方は言います。

大関昇進を左右する条件とは?

一方で、関脇といえばよく聞くのが、大関昇進に向けた話題。大関昇進の目安は “3場所で合計33勝以上”とされています。しかし、平成以降、関脇経験者で大関に昇進できた力士は44%(28/63人)と半数に達しません。目安をクリアするためには何が必要なのか?どすこい研では大関に昇進した力士のデータを分析し、大関昇進を左右する条件が一体何なのか、独自に調査してみました。

 


まず注目したのは、貴景勝。小結時代にあげた13勝に関脇2場所での21勝を加え、3場所合計で34勝をあげています。


星取表を並べてみると、目に付くのは前半7日間の白星の多さ。勝率は76%。

 

 

続いて調べたのは、令和2年に大関昇進を果たした朝乃山。前半戦の勝率は、こちらも76%!そこで、大関に昇進した力士と昇進しなかった力士の、前半7日間・後半7日間の勝率をすべて調べてみると…

 


昇進しなかった力士の場合、前半と後半の勝率の差はわずか5ポイント。一方、昇進した力士の場合、前半の勝率が12ポイントも高いことが分かりました。大関に昇進するためには、下位の力士とあたる前半戦で星を稼ぐ必要がありそうです。

 

この結果に「もう、その通りだと思います」と納得だったのは元横綱・稀勢の里の二所ノ関親方。親方もずっと、前半戦は大事にしていたそう。その上、3場所は半年間と長期にわたるため、その間に力を維持し続けるのはとても難しいこと。それで結果を出した人こそが上にいけるのだといいます。

あなたにとっての名関脇は?

どすこい研では、今回「あなたにとっての名関脇とは?」と題し、番組HPで名関脇のランキング投票を実施。最高位が関脇だった15人の力士をリストアップし、その中から3人を選んでもらいました(リストにない場合は、力士名を記入)。多くの票を集めたのは果して誰だったのでしょうか?

 

栄えある第1位は、若貴フィーバーに沸いた90年代に大活躍した琴錦!

 

 

最強関脇と讃えられることも多かった琴錦の持ち味は、スピード感あふれる相撲。一気に勝負をつける速攻は人呼んで“F1相撲”。横綱キラーと呼ばれ若乃花と貴乃花から、5つの金星をあげました。平幕優勝2回も歴代ただ1人。数々の記録に彩られた名関脇です。

 


関脇在位は、実に22場所。どんな心構えで土俵を務めていたのか、元琴錦の朝日山親方に尋ねたところ、あるエピソードを明かしてくれました。

三役は裏方 お客さんが盛り上がればいい

かつて、まだ新関脇だった嘉風関から「どんな気持ちで土俵に上がるか」と聞かれた時に「我々三役は裏方だから勝とうなんて思っちゃダメ。とにかくこの一番に全力を懸ける、お客さんが盛り上がればいいんだ」と答えたとのこと。看板は、横綱・大関。それ以外は、裏方なのだといいます。

 

朝日山親方曰く、関脇とは“焼肉のミノ”。主役ではない、でも、かめばかむほど味が出て、美味しい。長く噛んでいられるから、長くその地位に君臨して、カルビやロース、ハラミなどの上位を苦しめてあげないとならない…。関脇とは、まさにそんな存在だと話します。

 

関脇としての役割を考えて相撲をとり、場所を盛り上げ続けた琴錦関。関脇とは、まさに琴錦関のような相撲をとる力士を指すのかもしれません。

 

結果を出さなければいつ呼ばれなくなるか分からない、という意味で、番組では、“関脇とはバラエティーにおける準レギュラー”という例えも。レギュラーで大関、冠番組で横綱、などの見方も交えながら相撲や関脇に注目してみると面白いかもしれませんね!

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