特集 新大関 御嶽海 白星の後の無言から感じられたのは 大相撲春場所
相撲
2022年3月13日(日) 午後11:30

大関になって最初の土俵。体重200キロを超える逸ノ城が立ち合いから突っ込んでくる展開に御嶽海が遅れを取った。押し込まれたものの、うまくしのいで体勢を整えると右を差して前に出て、初日を白星で飾った。
ふだんならば取組のあと、取材陣の質問に丁寧に応じる御嶽海だが、この日は対応することなく会場をあとにした。
日本相撲協会の八角理事長は、初日の取組について「立ち合いに思い切りがなく、ちょっと緊張していた。ただ最初は内容よりも勝つことが大事で、また、2日目から自分の力を出し切ればいい」と述べた。
初場所後、大関昇進に関連する行事や取材が続いたことや、新型コロナウイルスに感染したこともあり、およそ3週間まわしをつけられなかった。小学1年生で相撲を始めて以来、ここまで長い期間まわしをつけなかったのは初めてだという。
先月(2月)28日の番付発表の際の記者会見では「状態がいいか悪いかは、まだ正直わからないが2週間ある。しっかり調整して最高な形で初日から入れればいいかなと思う」と話していた。
しこやすり足などの基礎運動を重点的に行って臨んだ初日の相撲。攻め込まれても落ち着いて対応した先場所を思い出させる内容だったが、本来の出足の鋭さは、まだ見られなかった。
記者会見で「大関は言い訳できない地位だ」と話していた御嶽海。白星の後の無言は大関としての責任感、そして今場所にかける強い思いのあらわれにも感じられた。
この記事を書いた人

舟木 卓也 記者
平成25年NHK入局。令和2年秋からスポーツニュース部。
プロ野球(ロッテ)担当を経て、現在は大相撲や柔道など格闘技担当。