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特集 クロスカントリースキー新田佳浩選手(41)7大会連続出場!大ベテランの強さのヒミツとは?北京パラリンピック

パラスポーツ パラリンピック 2022年3月1日(火) 午後0:35

"雪原のマラソン"とも呼ばれる、クロスカントリースキー。この競技で冬のパラリンピックに7大会連続で挑むのが、日本代表の新田佳浩選手です。

 

新田選手は、過去のパラリンピック6大会で、金メダル3個を含め、あわせて5個のメダルを獲得。今回の北京大会が、自分にとって最後のパラリンピックと位置づけて今シーズンに臨んでいます。

 

新田選手の強さの秘密は、どこにあるのか?また、この競技の魅力は?バンクーバー大会のクロスカントリースキーの銀メダリスト、太田渉子さんに聞きました。

新田選手は日本選手団の精神的な支柱

2018年 ピョンチャンパラリンピック クラシカル10km立位で新田選手が金メダルを獲得

 

――太田さんから見て、新田選手は、どんな選手でしょうか?

 

トリノ、バンクーバー、ソチの3大会で一緒にパラリンピックに出場した経験を踏まえると、ストイックに「勝ち」を追求していく姿勢、そして、長年の経験に裏打ちされた専門的な知識を兼ね備えた選手だと思います。

 

新田選手の成績がいいとチーム全体が盛り上がりますし、日本選手団の精神的な支柱と言えると思います。また、ここ数年は、自分のことだけでなく、若手や中堅の選手といった後進の指導にも力を入れていると聞いています。

 

2014年ソチパラリンピックにて 太田さん(左端)新田選手(右端)


――新田選手の強さの理由は、どのようなところにあると思いますか?

 

基本的な技術力の高さ、その技術力の高さから生まれるダイナミックで力強いフォーム。これが強さの秘密だと思います。

 

新田選手が得意としている「クラシカル走法」では、スキー板の中央部分に“グリップ”の力が強いワックスを、それ以外の部分には、滑りやすいワックスを使用します。「クラシカル走法」では、体全体の使い方やキックのタイミングなど、前に進むための要素が全部かみ合わないと、うまく滑ることができません。

 

新田選手は、その技術が優れているので、きれいなフォームでダイナミックに力強く体を動かし、一歩一歩、大きく進むことができます。

 

新田選手のフォーム

 

さらに、もうひとつ、ストックの使い方のうまさです。「クラシカル」の場合、平地や下りではストックの力を駆使して進むことが多いです。この時、片腕の選手は、どうしても両腕を使える選手に比べて不利になります。

 

しかし、新田選手は、ストックの使い方がうまいので、大きく遅れをとることがない。こういう強みが、結果につながっているのだと思います。


クラシカル レース中の新田選手

 

――素晴らしいフォームに注目してレースを見てみたいですね。

 

そうですね。クロスカントリーの選手は、太ももが太く、上半身も肩幅が広くて逆三角形で鍛えられた体をしています。新田選手もトレーニングでしっかり絞り込んでいるので、力強い筋肉の動きも、注目ポイントかもしれません。

 

力強く踏み出す新田選手


レース中の新田選手の様子


また、新田選手は、レース中、口の周りが白くなっていることがあります。これはレース中に口から出た唾が凍って、まるで泡を吹いているように見えるためです。女子選手の場合、見た目を気にして口元をぬぐったりしますが、新田選手は、口を拭く数秒が惜しいのだと思います。ややマニアックかもしれませんが、そこまで、自分を追い込んでいる姿や表情も、ぜひ見てほしいです。

 

レース後、倒れ込む新田選手

 

――新田選手が出場するクロスカントリースキーには、どんな種目があるのでしょうか?

 

クロスカントリースキーは、アップダウンのある山間コースを滑る競技で、コースは下り、平地、上りが1/3くらいずつです。距離によって「スプリント」、「ミドル・ディスタンス」「ロング・ディスタンス」と種目がわかれています。「ロング・ディスタンス」では、最長20キロの距離を走ります。走法は2種類です。1つは、決められた2本の溝の中を、足を左右平行にして進んでいく「クラシカル走法」、もう1つは「フリー走法」です。


クラシカル走法/フリー走法

 

――かなり体力を消耗する厳しい競技だと思いますが、見どころは?

 

やはり、タイムと順位です。30秒おきに1人ずつスタートするので、レースを見ただけでは誰がトップなのかはわかりづらいですが、中継では、一定の地点での各選手の通過タイムを集計し、暫定トップの選手とのタイム差を出してくれます。

 

そこで、トップの選手であればゴールまで逃げ切れるか、トップを追う選手であれば、現在何位なのか、そして、どのくらいタイムを縮めれば追いつけるのかという点に注目してレースを見ると、より楽しめると思います。

北京パラリンピックでは後輩たちと表彰台に!

 

――新田選手のメダル獲得や日本勢の活躍は期待できそうでしょうか?

 

新田選手のメダルへの思いは、人一倍強いものですし、金メダルを期待していいと思います。前回のピョンチャン大会では、若手選手のメダル獲得はなりませんでしたが、新田選手は、ここ数年、若手選手の指導にも力を入れていましたから、彼らと一緒に表彰台に立っている姿を見られることを楽しみにしています。

 


太田渉子(おおた・しょうこ)

高校1年生で、2006年トリノパラリンピックに史上最年少選手として出場、バイアスロンで銅メダル、2010年バンクーバーパラリンピックではクロスカントリースキーのクラシカルスプリントで銀メダル。2014年ソチパラリンピックに出場後、同年3月にスキー競技を引退。

 

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