ストーリーパラスポーツ

家族・伴走者・仲間の支えに感謝 視覚障害者マラソン・道下美里

2019-08-30 午後 03:59

リオパラリンピック視覚障害者マラソンで銀メダルを獲得した、道下美里選手。中学2年生のときに右目を失明し、その後左目の視力も失います。30歳を過ぎてから視覚障害者マラソンを始め、2017年には2時間56分14秒という世界記録を更新。世界のトップランナーとして活躍しています。

 

東京パラリンピックでの金メダル獲得を目指す道下選手に、視覚障害者マラソンならではの「伴走者」の存在や、家族の支えについてうかがいました。聞き手は、増田明美さんです。

※写真:2016年 リオパラリンピック 陸上 女子 マラソン T12 ゴールで両手を上げる道下美里選手(右)と伴走者の堀内規生さん(左)

銀メダルを獲得するも「これは違う」と思った

同表彰式にて 涙をぬぐう道下選手

 

視覚障害者マラソンの女子世界記録保持者でもある道下選手。2016年のリオパラリンピックでは銀メダルを獲得しましたが、本人は「すごく悔しかった」そうです。

 

「金メダルを取ることを目指していて、君が代を表彰台で聴くことをすごくイメージしていたので、スペインの国歌を聴いたときには涙がぼろぼろ出てきて。『これは違う』っていう気持ちでした。」

 

リオでは暑さ対策の練習をやりすぎ、疲れが出てしまったという道下選手。課題は身長144cmの小柄な身長を生かすピッチ走法をレース後半まで持続すること。「スピードをある程度保ちながらの持久力」の強化を意識しながら、地元福岡で練習に励んでいます。

道下選手を支える「家族」と「伴走者」

 

競技に専念するため「月の半分くらいは家にいない」という道下選手。2020年の東京大会を目指すことについて、夫の孝幸さんの反応を、道下選手は…。

「2016年の大会の後、メディアの方から『2020年どうされるんですか』と聞かれ、家族の理解がないと競技はやれないと思って『家族に相談します』と答えたら、その日の他のテレビの取材で、主人がすでに『2020年、大丈夫です。多分彼女は大丈夫です、がんばると思うので応援します。』と言ってくれて。その時にもう2020年を目指すことが決まりました。」

 

理解者である家族に加え、視覚に障害のあるランナーを支える大事な存在が「伴走者」です。

 

ランナーと同じロープを持ち、アップダウンやカーブでの声かけをする伴走者は、スキルはもちろん、ランナーとの相性も大切です。中には、伴走者に恵まれないことで、練習を継続できないランナーもいるのだそうです。

 

“絆”と呼ばれるロープを広げて話す道下選手

 

道下選手も最初は仲間が見つかりませんでしたが、より具体的な目標を口にすることで、次第に仲間が出来たと言います。

 

「例えば、『朝の6時から7時に家の近くを走りたい』など、周りに具体的に伝えてみることにしたんです。そうしたら知り合いの方が、私の同じマンションに住んでいる方に走っている人がいないか探してくれて。そのおかげで、朝練習では同じマンションの方に伴走者をお願いして一緒に走らせてもらっています。(笑)」

 

「おかげで仲間に恵まれて走れています」と、感謝の気持ちを語りました。

見えない恐怖を伴走者に伝えることで、見えているかのような走りができる

そんな道下選手も、マラソンを始めた当初は、足下が砂利道などの不整地に変わるだけで怖く、「マンホールひとつでも教えてほしい」と伴走者にお願いしていたのだそう。何度も転んで痛い思いをし「二度と走るもんか」と思ったこともあったと言います。

 

2019年2月 別府大分毎日マラソン スタート前の道下選手(中)。伴走者の河口恵さん(左)と、青山由佳さん(右)と円陣を組む

 

「でも、人ってだんだん慣れるもので、徐々に伴走者の方を信頼できれば、不安を取り除いていけるんですね。『怖い』と思ったことを素直に伝えるよう心がけることで、不安が取り除かれていって、今では一人で走っているような、まるで見えているかのような走りをさせてもらっています。」

 

東京パラリンピックに向けた目標は、自身の記録から4分短縮となる2時間52分を切ることだという道下選手。「2020年は絶対金メダルを取りたいので、それに向けて日々がんばっていきます。」と力強くコメントしました。

 

※この記事は以下の番組から作成しています。
2019年1月4日放送「増田明美のキキスギ?
内容は放送時のものとなります。

 

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