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特集 カーリング女子日本代表 北京オリンピックで2大会連続メダル獲得なるか?

オリンピック カーリング 2022年1月28日(金) 午前11:40

去年12月のカーリング女子世界最終予選を勝ち抜き、2大会連続のオリンピック出場を決めた日本代表のロコ・ソラーレ。前回のピョンチャン大会では銅メダルを獲得し、日本中を沸かせました。今回の北京オリンピックでは、どんな戦いぶりを見せてくれるのでしょうか。そして、気になるメダルの行方は?カーリング解説者の市川美余さんに聞きました。

ロコ・ソラーレの進化

―― 最近のロコ・ソラーレの戦いぶりを見て、どんなことを感じていますか?

 

12月の世界最終予選を見た限りでは、チームとしての仕上がりは格段に上がっていると思います。最終予選のアイスは非常にトリッキーで難しいものだったようですが、ロコ・ソラーレは、ほかのどのチームよりも、その特性を理解して、メンバー間で情報を共有し、適応できていたように感じました。

 

左から吉田夕梨花選手、吉田知那美選手、鈴木夕湖選手

 

スイーパーの吉田夕梨花選手と鈴木夕湖選手には、もともと高い対応力と柔軟性がありますが、それに一層、磨きがかかっているようにも思いました。トリッキーなアイスで初めて使うラインではしっかりと予測を立てなくてはいけないのですが、その判断も適切でした。

 

――対応力や柔軟性が、この4年間でさらに進化したということでしょうか?

 

そうですね。そこを自分たちの持ち味として、自信にもつながっているのだと思います。加えて、藤澤五月選手の作戦の“引き出し”が非常に増えているということも感じました。

 

12月、カーリング世界最終予選での藤澤五月選手

 

もともと彼女は頭脳派ですが、作戦の幅がさらに広がったように思います。ピョンチャンオリンピックのあと、ツアーで多くのチームと対戦し、また様々な氷の状況を経験してきたことが大きいのでしょう。

北京オリンピックでメダル獲得のために必要なこと

――4年前よりもさらに進歩しているのであれば、2大会連続のメダル獲得を期待してしまいますが、どのような展開になりそうでしょうか?

 

もちろんメダルを期待していますが、対戦相手はどのチームも強敵ぞろいなので容易ではなく、難しい展開が予想されます。

 

特にカナダ、スウェーデン、スイスは3強とも言える強豪チームですが、カナダはスキップに、ジェニファー・ジョーンズ選手が出場します。彼女は2014年のソチオリンピックでは無敗で優勝していますし、今大会でもかなりの強敵となるでしょう。

 

カナダのスキップ、ジェニファー・ジョーンズ選手

 

ピョンチャンオリンピックで優勝したスウェーデンのスキップ、アンナ・ハッセルボリ選手も勢いがあります。2014年ごろから見ると、グランドスラムではジェニファー・ジョーンズ選手と並んで5回優勝していて、手強い相手になることは間違いありません。

 

スウェーデンのスキップ、アンナ・ハッセルボリ選手

 

スイスも、まだオリンピックでは金メダルをとっていないものの、世界選手権ではこの10年で6回優勝していて、いつでもメダルを狙えるチームです。

 

――上位に食い込むためにロコ・ソラーレが克服するべき課題はありますか?

 

私が見る限り、チームとしてはしっかり仕上がっていて、課題はまったく感じないのですが、強いて言えば、調子の波を作らないことでしょうか。ショット率は70~90%を維持できているので、それを下げないこと。あとは隙をつくらないことです。

 

世界最終予選のトルコ戦では、石の配置は悪くはないけれどパーフェクトではないという状態で、結果的に敗れてしまいました。オリンピックに出場するチームは、そのような隙を逃しません。そこは気をつけたいところですね。

 

世界最終予選の予選リーグで日本は6勝2敗。その敗戦のひとつがトルコだった

ライバルだらけ!目が離せない試合が続く

――日本にとって山場となりそうなのはどの試合でしょうか?

 

カナダ、スウェーデン、スイス、この3チームは本当に強敵ですが、逆に言えば、この3チームのどこかに勝てれば、決勝トーナメントへ進める可能性が一気に高くなります。

 

――日本は、初戦でスウェーデン、第2戦でカナダと対戦。3強のうちの2チームですね。

 

この序盤2戦のうち1つでも勝利を収めて勢いに乗ることができれば、メダル獲得にも期待が持てると考えています。スウェーデンと初戦で当たるのは日本にとって良かったのではないでしょうか。初戦ということは、相手も氷を読み切れていないということですから、チャンスが生まれるのではないかと期待しています。

 

――3強以外に気をつけておきたいチームは?

 

3強の次に続くのが、イギリス。そして、日本、ロシア、アメリカ、韓国が横並びという状況だと思います。ここで気をつけておきたいのは、アメリカです。去年10月にカナダで開催された国際大会では、決勝でアメリカに負けて、日本は2位。北京オリンピックで予選リーグを突破するためには、このアメリカに勝つ必要があると思います。

 

アメリカ代表チーム。2021年10月に開催されたオータム・ゴールド・カーリング・クラシックで、日本はこのチームに敗れて2位になった

 

イギリスは、ピョンチャンオリンピックの3位決定戦で日本に負けてメダルを逃しているので、今回は絶対に勝ちたいと思っているはずです。イギリスとの試合では、そういった気持ちの面で負けないようにしてほしいですね。

 

2018年ピョンチャン五輪の3位決定戦、日本はイギリスに歴史的な勝利を収め、銅メダルを獲得

 

――4年前のピョンチャンオリンピックでは「そだねー」や“もぐもぐタイム”など、試合以外の点にも注目が集まりましたね。

 

実はピョンチャンオリンピックをきっかけに、カーリングの作戦面に関心を持ってくれた方がとても多いんです。「そだねー」が注目されたのは、「選手たちが作戦を話している声がここまで聞こえるのか!」という驚きもあったのだと思いますが、今回は一歩踏み込んで、話している内容にまで関心を持ってもらえたら、より楽しめるのではないかと思います。

 

ピョンチャンオリンピックでは“もぐもぐタイム”が話題となり、カーリングの注目度を一気に高めた

 

今回はスイーパーのすごさにも注目してほしいですね。吉田夕梨花選手と鈴木夕湖選手という小柄な2人のパワフルなスイープと正確なジャッジが、今回はより伝わるといいなと思います。彼女たちは涼しそうな表情でスイープをしていますが、実はものすごい体力を使っています。1試合でスイープする量を距離にすると、銀座の歩行者天国を往復しているのと同じ程度と言われていて、そのような過酷な面もあるということを知っておくと、より面白く観戦できるのはないでしょうか。

 

吉田夕梨花選手と鈴木夕湖選手

 

今回の北京オリンピックは、どのチームも勢いがあり調子も良さそうで、どのような展開になるのか予想しづらいですが、ロコ・ソラーレは世界最終予選を突破して、その後もしっかりと仕上げてきています。この状態をキープしながら、自分たちらしい試合をできれば、良い色のメダルも見えてくるのではないでしょうか。

 

市川美余(いちかわ・みよ)

長野県軽井沢町出身、1989年生まれ。
7歳からカーリングをはじめ、2005年の日本ジュニアカーリング選手権で優勝。高校卒業後の2008年に中部電力に入社し、カーリング部に所属。2011〜2014年、日本カーリング選手権4連覇。日本カーリング界の人気を支えるも2014年に引退し、現在は解説者として活躍中。カーリングのルールを解説した『まんがでわかる カーリングの見方!!』の監修なども行う。

 

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